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練習を引き上げながら笑顔をみせるカブス・鈴木
メジャー4年目で初のプレーオフ進出に向かう。カブスの鈴木誠也外野手(30)だ。前半戦では、チーム96試合中、92試合に出場した。
右手首を痛め欠場した数試合を除き、主軸打者としてナ・リーグ中地区で首位を走るチームを支えた。打率.263、25本塁打はナ・リーグ4位タイ、77打点は同2位タイで後半戦に向かう。過去3シーズンは負傷者リスト(IL)に入り、離脱期間があった。しかし、今季は充実した濃密な前半戦を過ごした。
「まあ、疲れた」
前半戦ラストゲームの7月13日。ヤンキース戦を終えた、ヤンキースタジアムのクラブハウスだった。総括会見の終盤、ふと疲労が言葉になった。
「この1週間バテたっす。打球速度も全然出ないし、ああ、バテてるなと思いながら(出場していた)。初めてここまで大きなケガなく出続けていたので、もうちょっと(疲労の)対策はこれから課題になってくる」
チームは首位で折り返し。しかし、2位のブルワーズが1ゲーム差に迫っている。2020年以来、5年ぶりの地区優勝へ、66試合を走り切らなければいけない。
スタメンでは、DHで63試合、左翼で13試合、右翼で16試合に出場。外野守備にこだわりがある誠也としては、DH専任は望んだポジションではなかった。しかし、右翼にはタッカーがアストロズからトレード加入。打率.280、17本塁打、56打点、22盗塁と走攻守でカブスの快進撃を支えている。
キャッチボールをする鈴木
誠也は前半戦だけで、過去メジャー3シーズンで最多だった21本塁打を更新。シーズン162試合換算では、42本塁打&129打点のペースだ。急上昇したホームランペースに目が行きがちだが、これを否定する。
「ホームランは本当たまたま。僕はあんまりホームランというよりは(外野手の)間を抜いくバッティングが持ち味だと思っている。シーズン途中ぐらいはホームランばっかり出て、ヒットが出てなかったのですごく気持ち悪くて、どうしちゃったんだろうなって思ったんですけど」
今季の鈴木は、ゴロが減って、ライナーが増えている。2022年から、ゴロ率は40.7%→43.6%→33.7%と推移した。しかし、今季は28.7%に激減している。ライナー打球は同様にメジャー1年目から27.2%→28.6%→26.7%→29.8%と今季は前半戦までながら、過去最高の割合でライナー性の打球を放っている。
「ゴロを打たないと意識して打席には入っているんで、そこは数多く出せている」と鈴木本人も手応えを感じている。着実にメジャーの投手に適応し、さまざまなことにチャレンジしながら、本来の能力を発揮しつつある。初めてのプレーオフ出場たのめ、シーズンを完走するつもりだ。
「今年はできるだけ休みたくない思いで、ずっとやっている。休んでしまうと悪い結果も、いい結果も出なくなる。できるだけ大きなケガなく、後半もしっかりやっていきたいです」
10月の戦いを目指す後半戦。シカゴに歓喜をもたらす一打を打つ。誠也は、一戦必勝の日々で輝きを増す。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
X(旧:Twitter)
@YamadaMLB
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