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交流戦で際立つ存在感を放つ大盛
ベンチに控える切り札だった大盛穂が、交流戦で際立つ存在感を放っている。交流戦が始まるまでスタメン出場は一度もなかったが、18日までに5試合で先発出場。そのうち3試合連続を含む4試合で1番に起用されている。
7日西武戦で代走から巡ってきた打席で今季1号を放ち、それを号砲に快音が止まらなくなった。18日のソフトバンク戦までに出場した7試合すべてで安打を記録し、13日の日本ハム戦からは4試合連続マルチ安打。この4試合だけで、昨季の安打数を上回る活躍を見せている。
18日のソフトバンク戦では、左打者の被打率が右打者より1割2分も低い.153だった前田純が先発したが、大盛は1番で起用された。新井監督は「左投手でもスタメンというのは、昨日の結果で彼が勝ち取ったもの」と説明。2安打2四球で4度出塁、さらに1盗塁2得点と起用に応えてみせた。
今年1月、ソフトバンクの近藤やオリックスの西川らと2年連続で合同自主トレを行い、打撃を磨いてきた成果が表れている。昨季も同様の打撃スタイルを学んでいたが、シーズンが始まると役割に応じて元のスタイルに戻してしまった。そうした悔しさと打者としての向上心から、今季は学んできたスタイルを貫く決意を、開幕前から固めていた。
「今年は貫きます。多少、足の上げ方を変えることはあっても、根本は変えない。あとは自分の腕次第。何とかやってきたことを証明できれば」
3月22日のソフトバンクとのオープン戦では、オスナからライトへ二塁打を放ち、シーズンへと弾みをつけた。打撃の理解が深まり、完成度が上がったという手応えが、決意を支える後押しにもなった。
首脳陣の大盛に対する評価は、今季1号のホームランで一気に高まったわけではない。守備固めでの起用からも、すでに一定の信頼がうかがえた。
たとえば、4月6日のDeNA戦では2点リードの8回表に守備固めで起用され、ファビアンの6番ではなく、次の回に打席が回ってくる9番に入った。山足も同様に守備固めで起用されたが4番に入り、ベンチにはまだ6人の控え選手がいた。
また、4月29日と5月1日の巨人戦でも、試合終盤の守備固めとして、次の回に打席が回る打順で起用された。いずれも守護神・マルティネスの登板が予想される場面だった。藤井ヘッドコーチは「真っすぐに強いし、どこかで打席をとは考えている」と認めていた。
代走や守備固めといった役割は、チームにとって代打の切り札と同じくらい重要だ。しかし、一選手にとっての目標はやはりレギュラーの座。ファビアン、末包、そして実績ある秋山や野間らがひしめく広島外野陣の中で、大盛は強烈なアピールを続けている。
文:前原淳
前原淳
カープ取材歴18年。03年に地元福岡の大学を卒業後、上京。編集プロダクションで4年間の下積みをへて、07年に広島の出版社に入社。14年12月にフリー転身。現在は日刊スポーツの契約ライターとして広島担当。日刊スポーツだけでなく、NumberWebにて「一筆入魂」を隔週連載するなど幅広いメディアに原稿を執筆するカープライター。X → @mae_junjun
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