人気ランキング

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム一覧

野球 コラム 2025年5月31日

菅野智之、初コンビの苦戦と修正

MLBコラム by 山田 結軌
  • Line

試合前で投球練習を終えた菅野は初バッテリーを組むトロンプとハグを交わした

どうなるかと思った立ち上がり。しかし、終わってみれば、大崩れせず試合とまとめた。そして、降板する時には勝利投手の権利があった。

オリオールズの菅野智之(35)は5月27日のカージナルス戦に先発。6回途中、3失点だったが、勝利投手にはなれなかった(4勝3敗)。1回に4安打されるなど1失点。2回にはヌートバーに8号2ランを浴びるなど、序盤の2イニングで3失点、51球を要した。

「とにかく初回以降、1点で終われたのが、今日のピッチングの最終的な結果のすべて。よく粘れたな、と思う」

結果的に失点は、2回までの3失点。3回から5回1/3まで無失点だった。この日、今季初めてバッテリーを組んだのは、30歳の捕手トロンプ。前日にマイナーから昇格したばかりだった。4月中旬にマイナー契約を結んだため、菅野はキャンプやオープン戦、ブルペン投球を通じて、このトロンプに投げたことはない。

正捕手のラッチマンは、ファウルチップがマスクに直撃した影響(脳震とうの懸念)でスタメンを外れていた。さらに2番手捕手のサンチェスは、右手首痛で10日間の負傷者リスト入りしていた事情で急造バッテリーとなった。

「キャッチャーと初めてのコンビだったので話し合いながら、進めることができたのが(投球を立て直すことができた)一番大きな要因だと思います」

序盤は捕手の癖なのか、トロンプの構えが、投手有利なボールカウントでも全体的に真ん中に寄っていた。ストライクゾーンとボールゾーンの『出し入れ』やコンビネーションで勝負する菅野にとっては、内外角や高低にメリハリをつけて構えてほしい。お互いの認識をイニング間ですり合わせ、修正。2回以降は安定してアウトを積み重ねた。

試合直前、ブルペンで米国国歌を聞く菅野

「向こう(カージナルス打線)もけっこう早めから仕掛けてきているイメージもありましたし、チームもやっぱり状態がいいんだろうなと投げながら感じていた。とはいえ、ボールから入ったり、ビハインドになっちゃうと、こっちがきつくなる。そこは打たれてもいいから、とりあえず打たれたら考えようっていう精神でやっていました」

打者24人に対して初球ストライク(初球打ちとヒットも含む)は、15度。積極的にストライクゾーン内にアタックする。決してパワーピッチャーではないと自認する菅野は、それでもストライクゾーンに投げ込み、凡打を誘い、空振りを奪う。

テンポよくアウトを重ねながら、打線の奮起を待った。1−3の5回には3得点し、逆転。4−7で敗れるが、反撃できたことは前向きな要素だった。

「結果的に負けちゃいましたけど逆転して、いいところまではいっている。今までチームにない戦い方ができているのでこういう試合内容を続けていきたいです」

優勝候補に挙げられながら、ア・リーグ東地区最下位。菅野は、自分の投球に集中しながら、チームのV字回復のために全力を尽くす。

文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。

X(旧:Twitter)
@YamadaMLB

Instagram
yukiyamada_mlb

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
野球を応援しよう!

野球の放送・配信ページへ