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野球 コラム 2025年5月27日

千賀滉大、防御率トップでも納得しないワケ

MLBコラム by 山田 結軌
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5勝目を上げたメッツ千賀

喜んでいいはずの試合後。メッツの千賀滉大(32)は、5月25日のドジャース戦で5回1/3を5安打1失点にまとめ、5勝目(3敗)を挙げた。大谷翔平(30)に1回、18号の先頭打者本塁打を打たれるが、その後は無失点。走者を出しながらも、粘り、要所を締めた。

「僕は今年、やっぱり立ち上がりから点を取られている。立ち上がりに点を取られやすいというのはデータで出ている。(中盤は)ランナーを出ましたし、球数を使ってしまった」

3登板連続で100球を超える101球を投げた。今季はここまで10登板で中4日はないものの、中5日で安定したゲームメークをしている。5月19日のレッドソックス戦(ボストン)での5回3失点が、今季の最多失点だ。

「満足はいっていないですし、なかなか探り探りの中で自分のものを探している状態。そんなに(勝利投手になっても)手放しで喜べる状態ではないですし、まだまだちゃんとしないと、ケガだったり、成績が悪くなったり、いろいろなことが起きると思うので、自分の中で丁寧に見つめ直していけたらと思っています」

25日のドジャース戦で勝利投手になり、5勝目。そして、規定投球回に復帰し、防御率1.46はナ・リーグ1位をキープしている。しかし、好成績を挙げながらも、試合後の会見に臨む表情は、喜びやうれしいという感情が全くないような引き締まったままだ。

好成績を上げていても自らの望む姿には、まだ遠い。防御率は1位だが、被打率.214はナ・リーグ11位、1イニングあたりに何人の走者を許したか、示すWHIP1.24は同24位。千賀が自身の状態に納得していない理は、これらの数字に表れているのかもしれない。

出力の強度が高く、ケガをするリスクの低いフォーム。千賀は昨季、右上腕の負傷が主な原因で春季キャンプからシーズンの大部分をリハビリで過ごした。「まだまだ全体的に昨年(のケガ)から響いているものがある」と明かす。

負傷のリスクを感じ、恐怖感と向き合いながら新しいフォームを作り上げている途中だ。「探り探り」という表現は、投球フォームを含めた技術の習得へ、まだ多くの乗り越えるべき課題があることをうかがわせた。

「自分の中で納得する、これだったら大丈夫、1年間ケガせずにやれるなというのを、早く見つけたいなと思います」

ドジャースの山本と話すメッツ千賀

理想のイメージに近い投げ方は、ドジャースの山本由伸(26)だ。

「彼のメカニクス(投球フォームの技術)が、日本のピッチャーで一番すごいと思っていますし、彼のすごさを分かっているからこそ、いろいろ野球の話ができるというか、レベルの高い話を聞ける。今回も聞いて、いい答えが返ってきたんですけど僕はできなかったので…。これからまた練習かなと思います」

23日の試合前練習時に約30分間、2人は野球談義をした。千賀は後輩右腕の技術から学び、自分のオリジナルに落とし込む。メッツのローテーションを1年間、守り抜き、2015年以来の地区優勝に導く。

文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。

X(旧:Twitter)
@YamadaMLB

Instagram
yukiyamada_mlb

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