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新外国人モンテロ&ファビアン
いよいよプロ野球が開幕する。昨季最終盤に急失速した広島にとっては「変革」を掲げて臨むシーズン。大きな期待と、わずかな不安も抱えて開幕を迎える。
不安材料はやはり得点力だろう。昨季はチーム打率、チーム本塁打いずれもリーグワースト。得点数は同5位だった。さらに、昨季チームでただ一人、2桁12本塁打を記録した坂倉将吾は不在。オープン戦もチーム打率.218は12球団10位で、34得点は同ワースト。12球団で唯一1試合平均得点が1点台だった。
得点力不足解消のキーマンに挙げられるのは、新外国人のエレフリス・モンテロとサンドロ・ファビアンの2選手だ。
モンテロはオープン戦で打率.333、2本塁打、3打点。OPS.934をマークした。来日1年目のオープン戦で打率3割超と複数本塁打を記録した外国人選手は近年ではいない。長打率.545と前評判通りのパワーを示しながら、三振率は.139と低かった。すでに新井貴浩監督は、モンテロの開幕4番を明言している。
一方、前評判ではモンテロよりも早く日本に適応するのではないかとみられていたファビアンは、オープン戦では苦しんだ。14日ロッテ戦まで9試合で.080と打率は1割を下回った。
原因は米国時代とは違う投球の組み立てにあった。変化球主体の配球に重心を残す意識が強くなりすぎて、打撃フォームを崩した。降雨の影響で屋内練習場での練習となった16日ロッテ戦前、米国時代の映像を見返した朝山東洋打撃コーチからの助言が復調のきっかけとなった。
「米国時代のように、もっと左足に(力を)ぶつけていって大丈夫」
軸足に重心残す意識から、スイング時にも踏み出した左足に体重移動できていなかった。さらに尻が後ろ側に落ちてしまい力がバットに伝わっていなかった。
「東洋さんが言ってくれたことは自分を助けるものだった。客観的な意見を言ってもらえて自分のスイングも良くなっていると思います」
同日、待望のオープン戦1号が飛び出し、その後最終戦までの打撃成績は6試合で打率.267、2本塁打、4打点。開幕を前に打撃の状態だけでなく、自信を取り戻したことが何より大きい。
「外国人選手は開幕してみないと分からない。慣れとタイミングだと思います」と語る新井貴浩監督は「オープン戦とシーズンは別物」とも言う。それはオープン戦で好結果を残したモンテロにも言えること。順風満帆にいくとは限らないことは理解している。
「オープン戦よりインサイド(への)もより多くなると思う。そこもシーズンに入ってからも早くアジャストしてほしい」
来日1年目の外国人選手が日本球界に適応しようとするのに対し、他球団は収集した情報から徹底的に分析して来る。ファビアンがオープン戦で味わったような浮き沈みはシーズンでもきっとある。それでも自らの力や周囲のサポートを受けながら乗り越えて行くことが求められる。今季の浮沈の鍵は2人のバットにかかっている。
文:前原淳
前原淳
カープ取材歴18年。03年に地元福岡の大学を卒業後、上京。編集プロダクションで4年間の下積みをへて、07年に広島の出版社に入社。14年12月にフリー転身。現在は日刊スポーツの契約ライターとして広島担当。日刊スポーツだけでなく、NumberWebにて「一筆入魂」を隔週連載するなど幅広いメディアに原稿を執筆するカープライター。X → @mae_junjun
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