AIが予測した2024年シーズン成績の答え合わせ：前田健太

AI予測の答え合わせ：前田健太編

J SPORTSでは2024年シーズンの開幕前、AIによる選手成績を予測するコラムを掲載した。今シーズンも開幕前に掲載する予定だが、それに先立ち、昨季のAI予測がどれほど当たったのか？答え合わせをしてみよう。

★AIが予測する前田健太のMLB2024シーズン成績
https://news.jsports.co.jp/baseball/article/20190310226727/

2024年、デトロイトに新天地を求めた前田健太だったが、ポストシーズン進出を果たしたチームにあって、当人は期待されたベテランの安定感を発揮できない不本意なシーズンとなった。早速だが、以下はベテラン右腕がメジャー8シーズン目に残した数字である。

登板29 先発17 投球回112.1 防御率6.09
勝利3 敗戦7 セーブ0 奪三振96 与四球31 与死球5
自責点76 失点80 被安打124 被本塁打22
奪三振率7.69 与四球率2.48 被本塁打率1.76 被打率.281
BABIP.309 FIP4.96 WHIP1.38

残念なことに、前田にとって昨季は、防御率、勝利数、被本塁打、奪三振率、被本塁打率、被打率、FIP、そしてWHIPと多くの項目でMLBキャリアワーストを更新してしまうシーズンとなった（被本塁打のみ自己ワーストタイ）。

ちなみに、上記以外でも、クオリティスタート数（2）、ストライク率（.630）、1イニングあたりの平均投球数（17.43）、被OPS（.822）、K/BB（3.10）といった数字もMLBでは自己ワーストとなっている。

では、想定外の不審に陥った右腕について、AIはシーズン前にどのような予想を打ち出していたのか。

登板31.4 先発23.9 投球回129.2 防御率4.82
勝利6.9 敗戦8.7 セーブ0 奪三振132.3 与四球37 与死球12
自責点63.6 失点69.2 被安打117.7 被本塁打17.6
奪三振率9.21 与四球率2.58 被本塁打率1.23 被打率.239
BABIP.306 FIP4.12 WHIP1.20

流石に、現実ほどのスランプは予想できなかったのか、あるいはベテランに対するリスペクトが働いたのかは定かではないが、ほぼ的中という範疇に入るのはBABIPくらいであるものの、2023年よりも改善すると予想した被本塁打を除くと、全体的なパフォーマンス悪化という傾向はしっかりと捉えており、何よりシーズン全体の流れを読み切った予想は見事の一言である。

この予想が出た当初、この場では「特筆すべきは、『登板31.4、先発23.9』から分かる通り、AIが前田のシーズン途中でのブルペン行きを予想している点だ」。

先発試合数に対して、インセンティブの付帯していたドジャース時代の契約と違い、今回の契約には、そうしたボーナスは付帯していないため（球団側が意図的に先発登板数を減らすのではなく）、AIは単純に前田が調子を落として、先発ローテーションを守れないと予測しているものと思われる」と記しているが、まさにその通りのことが起こったのである。

AIは24試合に先発登板した後のブルペン行きを予想しており、実際には16試合に先発登板した後にブルペンへの配置転換となったわけだが（その後、9月末に1度だけ先発登板している）、経験豊富なベテランがここまでの不審に陥るのを予想するのはかなり困難だったことを加味すると、誤差の範囲内と言えなくもない。

また、数字のみでは、その背後にあったAIによる読みの根拠は計り知れないが、あるいは現実のように、一度ブルペン行きを申し渡されつつ、シーズン終盤の何試合かで先発に復帰するシナリオを予想していたかもしれず、もしそうなのであれば、膝を突き合わせ、酒でも飲みながらAIの話に耳を傾けてみたいものである。

繰り返しになるが、ベテラン右腕によるブルペン落ちという、大まかな流れを的中させた今回のAI予想には、素直に感服の意を表したい。