AIが予測した2024年シーズン成績の答え合わせ：大谷翔平編

AI予測の答え合わせ：大谷翔平

2024年シーズンの開幕前、AIによる選手成績を予測するコラムを掲載した。今シーズンも3月に掲載する予定だが、それに先立ち、昨季のAI予測がどれほど当たったのか？答え合わせをしてみよう。

★AIが予測する大谷翔平のMLB2024シーズン成績
https://news.jsports.co.jp/baseball/article/20190310226716/

昨年はシーズン開幕前に、新たな試みとしてAIが弾き出した日本人選手の成績予測を紹介したわけだが、押し並べて言えたのは、AI予測は兎にも角にも控えめと言うか現実的だったことだ。

有り体に言ってしまえば面白みに欠け、最新テクノロジーを駆使した新時代の人工知能は、心踊るような冒険心を排除した手堅く「置きに行く」予測を繰り返したのだった。

故に、AIが大谷翔平による歴史的なシーズンを予測し得なかったのは、言うまでもないことである。

確かに、史上初の50-50（50本塁打・50盗塁）達成（その過程で史上最速での40-40達成）、あるいは史上初となる両リーグを跨いでの2シーズン連続MVPや、史上初となる指名打者専任の選手によるMVP獲得を成し遂げるシーズンの成績を開幕前に予測として打ち出し、ピタリと的中させるのは至難の業と言えるかもしれない。

しかし、最新のAIには、少なくとも大谷による40-40達成を予測するくらいの力量は期待したいところである。と言うわけで、AIの予測した大谷の2024年シーズンを振り返っておこう。

629打席　540打数　144.6安打　296.2塁打
74.6単打　27.1二塁打　4.3三塁打　38.6本塁打
100.3得点　109.2打点　19.3盗塁　81.2四球　156.2三振　5.3死球
打率.268/出塁率.367/長打率.548 OPS .915

2024年に何が起こったかを知っている人間からすると、よくもまあ、あの大谷さんをここまで過小評価できたものだと、思わざるを得ないわけだが、我らがAIはあくまで慎重な姿勢を崩さないのである。

ちなみに、これに対し、現実の世界で大谷がたたき出した昨季の数字は以下の通りである。

731打席　636打数　197安打　411塁打
98単打　38二塁打　7三塁打　54本塁打
134得点　130打点　59盗塁　81四球　162三振　6死球
打率.310/出塁率.390/長打率.646 OPS 1.036

まず、目につくのは打席数と打数の差で、AI予測はともに100前後下回る大外れとなったのだが、これは主に、シーズン途中から大谷の起用法が変化したことが原因の1つと思われる。

シーズン開幕前、大谷は2番か3番打者として起用されると目されており、AIもそれを想定してこの打席数と打数を算出したのだろう。

実際、シーズンが開幕すると、大谷は2番打者として起用されたわけだが、夏場にリードオフだったムーキー・ベッツが、負傷者リスト入りし、代わって1番打者となった大谷が、ベッツ復帰後も1番に固定されたことで、当初想定していたよりも打席数と打数が増えたのである。

その辺の流れの変化の予測をAIに求めるのは酷かもしれないが、仮にAI予測のペースで大谷が731打席、636打数をこなしていたとすると、

170.3安打、348.9塁打、31.9二塁打、5.1三塁打、45.5本塁打
118.1得点、128.6打点、94.4四球、184三振、6.2死球

となり、AIが大谷のリードオフ起用という未来を予測していたとしても、いい線行っていたのは、打点と死球の数字のみだったのである。

また、打率やOPSなど率に関する数字も、結果的には的外れな数字であり、盗塁に関しては3倍の開きがある。。『ユニコーン』と称される大谷を前にすると、現時点ではAIの精度もまだまだということなのだろう。