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ダルビッシュ有
メジャーは主力やベテラン選手の特権としてホームゲームを中心にオープン戦に出場できる。あるいは、遠征地での出場でも自宅近くの球場など、チームはその選手の体調とスケジュールを優先して調整の融通を効かせる。
3月1日、ダルビッシュ有投手(38)はパドレスの春季キャンプ地のホーム、ピオリアで行われるBゲーム(練習試合)に登板した。相手はホワイトソックスのマイナー選手たち。メジャー経験者5人が並び、今季はマイナー契約ながらメジャーキャンプの招待選手として参加しているメンバーだった。
「Bゲームって聞いていたのに、結構メジャーリーガーが多くて(笑)。その分、気の張りがちゃんとあって、いい試合になった」。この日、オープン戦は約40キロ離れたレッズの本拠地で開催されるため、ダルビッシュは遠征を避け、ホームでの調整登板を望んだ。
「なるべく早く投げて、早く帰りたいっていうことで(笑)」
午前11時開始の練習フィールドには、土曜日で多くの野球ファンがフェンス越しに声援を送った。投球数が50球となった2回2/3を投げた時点で降板。
初回に3ランを含む3安打3失点するが、直球の最速が96マイル(154キロ)をマークするなど力強さは十分。それでも、本人は物足りなさそう。それこそが、好調の証でもあった。
「この前(登板2日前)のブルペンも見ても、もうちょっと(球速が)いかないといけないから、97(マイル=156キロ)ぐらいは出ると思ってた。ただちょっと今日はやっぱりシャープじゃなかった」
この日はやや身体が重く感じたという。それでも、現状では投球フォームの改良が奏功しているようだ。
「メカニクスが、今はすごくいい状況というか、いい感じのメカニクス。今の自分に合っているみたいな。ちょっとこう、なんていうのかな、見つけ出しているというか、そういう感じ」
チームメートと話すダルビッシュ有
果たしてダルビッシュの言う「見つけ出している」新たなメカニクスとはどんな動きを指すのか。見た目には、従来の左足を上げたときの二段モーション気味が弱まり、左足を挙げて、降ろすという一連の動きがスピーディーになっている。
恐らく、右足、右股関節に体重を乗せてからのタメの作り方、並進運動に移行するタイミングとその動き方、が新フォームの一端ではないだろうか。
「同時にやっぱりバッターも(新たなフォームの方が)タイミングを取りやすいのもあると思う。もうちょっとこのままやってみて、メジャーリーグのバッター、ちゃんとした(オープン戦の)観客の方たちがいる中で投げて、どうか。(新フォームが)確立できるのかどうかっていうのが分かってくる」
結果だけみれば、3回途中4失点。ただ、その数字以上に順調さが感じられるマウンドだったことは間違いない。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
X(旧:Twitter)
@YamadaMLB
Instagram
yukiyamada_mlb
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