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強い決意を語った新井監督
広島のシーズンが終わった。9月4日まで首位に立ちながら、そこからまさかの急降下。優勝争いだけでなく、Aクラスからも陥落し、2年ぶりBクラスとなる4位に終わった。10月5日のシーズン最終戦、新井貴浩監督はファンに向けて、来季の誓いを口にした。
まずは「このような形となったのは、監督である私の力不足」とファンにわび、そして選手の労をねぎらった。選手には「厳しい練習になる」と予告し、「さまざまなことが変化する年になる」と続けた。さらに「変わるということは、それととともに痛みも生じて来る」と、厳しさものぞかせた。
就任1年目から大胆な世代交代を押し進めるのではなく、経験ある選手に若手をうまく絡めながら起用して勝利をつかみ取ってきた。限られた戦力を最大限に発揮する手腕で、監督1年目からリーグ2位となり、5年ぶりCS進出に導いた。
育成だけでもなければ、結果だけでもない。対極にある両輪をうまく回しながらチームづくりを進めてきた。今季は2人の外国人野手が開幕早々に離脱したこともあり、より多くの若手がベンチ入り。機会を探りながら起用してきた。
6連戦の最終日となる週末の日曜日は主力選手の休養日を含め、若手が多くスタメン起用されることが多かった。たとえば8月4日までの中日3連戦は3日のスタメン野手の平均年齢が30.5歳だったのに対し、4日は26.3歳となった。それは「全員で戦う」と言い続けた新井監督のメッセージでもあった。
8月まではプラン通りに進んでいたに違いない。主力の離脱が相次いだ昨季の反省を生かし、今季は選手のマネジメントを徹底。特に投手陣の運用には気を配り、前半戦は先発4本柱であっても中7日以上の間隔を空けた。中継ぎもワンポイント登板の投手をのぞき、3連投はさせなかった。主力野手も休ませながら起用してきた。
すべては勝負どころと定めた9月戦線のためだったが、ラストスパートをかける前に大きく空転した。投手陣は相性が良かった相手にも攻略されるようになり、逆に打線は相性の悪い相手に同じように抑えられた。新井監督就任から積極性を促進するため、一定のミスが許容されてきた選手たちの勝負どころでのミスも目立った。絶妙なバランスでかみ合っていた投打は歯車が崩れ、立ち直れないままシーズンを終えた。
最終戦でファンに挨拶する監督および選手たち
首位で9月を迎えても、結果、勝てなかったことがすべて。それが今年の広島の力だったと受け入れざるをえない。誰より、指揮を執ってきた新井監督が痛感したに違いない。だからこそ、セレモニーでファンに約束した。
「覚悟と信念を持って、“強いチーム”、“強い選手”を育てていきたい」。
経験やうまさではなく、求めるのは“強さ”だ。来年すぐに強くなれるほど、甘い世界ではない。時間はかかるかもしれない。だからこそ「覚悟と信念を持って」と腹をくくった。チーム内争いも、生き残った者が強いのだ。変革を掲げる新井体制3年目の戦いはもう、始まっている。
文:前原淳
前原淳
カープ取材歴18年。03年に地元福岡の大学を卒業後、上京。編集プロダクションで4年間の下積みをへて、07年に広島の出版社に入社。14年12月にフリー転身。現在は日刊スポーツの契約ライターとして広島担当。日刊スポーツだけでなく、NumberWebにて「一筆入魂」を隔週連載するなど幅広いメディアに原稿を執筆するカープライター。X → @mae_junjun
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