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野球 コラム 2024年9月25日

【広島好き】カープの球団史を塗り替える記録を回避したい打撃陣と、塗り替えたい投手陣

野球好きコラム by 大久保泰伸
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マツダスタジアム

9月23日の中日戦に0-1で敗れ、リーグ優勝の可能性が完全消滅した今季のカープ。今季24試合目の無得点試合で21度目の完封負けと、今年の戦いぶりを象徴するような内容での終戦となりました。

残り試合はクライマックスシリーズ進出圏内をかけた3位争いとなるわけですが、シーズン成績という意味で、投打で注目すべき数字があります。

まずは今季、リーグ優勝を逃した最大の要因と言える打撃陣で、23日終了時点でチーム打率(.237)、同本塁打ともリーグワーストの成績。特に本塁打数51本は、12球団で唯一、MLBで今季異次元の活躍を見せているドジャース・大谷翔平ひとりの本塁打数(53本)も下回っています。

球団の歴代記録を見ても、今季のシーズン本塁打数は『歴史的』となる可能性があります。これまでのシーズン最少記録は1952年の29本塁打、次いで1951年の42本塁打となっていますが、1952年は120試合、1951年は99試合とシーズンの試合数が少なく、さらに球団創設直後で選手数もままならない弱小球団の時期でした。

1953年に130試合制となり、2001年からは140~146試合(2004年のみ138試合)と、140試合台のシーズンが定着していますが、130試合以上となったシーズンの最少本塁打記録は2011年の52本。144試合制で行われたこのシーズンは、NPBで初めて統一球が導入された年で、12球団の年間本塁打数が前年の1605本から939本で前年比41%減と「飛ばないボール」が話題になったシーズンでした。

新型コロナウィルスの影響で120試合制となった2020年でも110本塁打を記録しており、今季はやはり『異常事態』と言わざるを得ない年となっています。まずは統一球問題の2011年の数字をクリアし、そして大谷翔平の本塁打数を上回ってもらいたいところです。

前記のような『歴史的貧打』ながらも、9月4日まで首位に立っていたチームの原動力となっていたのが、投手陣の頑張りです。床田寛樹と森下暢仁が2ケタ勝利で防御率2点台、大瀬良大地が防御率1点台と、抜群の安定感を誇った先発陣に加え、クローザーの栗林良吏を筆頭に塹江敦哉、黒原拓未が40試合以上に登板して防御率1点台、森浦大輔、島内颯太郎も防御率2点台と好調なリリーフ陣が、明らかに得点力不足の打線をカバーしていました。

9月に入って投手陣も総崩れ状態となり、チーム防御率2.56は阪神(2.47)、巨人(2.49)に次ぐリーグ3位となってしましたが、実はこの数字、1950年のチーム創設後、歴代最少のチーム防御率となっています。昨年までの歴代トップは1959年の2.62。この年は12球団中、8チームがシーズン防御率2点台で、カープはリーグ3位と全体的に投高打低のシーズンでした。

球団創設25年目でリーグ初優勝を達成した1975年は12球団トップの2.96、先日逝去された阿南準郎監督のもと、リーグ5度目の優勝を果たした1986年は12球団唯一の防御率2点台である2.89、今季と同様に強力な投手陣がリーグ6度目の優勝の原動力となった1991年でもチーム防御率が3.23でした。

ちなみに統一球2年目のシーズンとなった2012年にはシーズン防御率2.72を記録していますが、これは前年同様にリーグ4位と使用球の影響が顕著な年でした。以後は緒方孝市監督が就任1年目で、前田健太と黒田博樹の両エースが揃った2015年の2.92(チームは4位)を最後に、シーズン防御率2点台は記録されていません。

リーグ優勝こそ逃しましたが、残り試合で投手陣が最後の踏ん張りを見せて球団歴代記録を更新することができるか。不名誉な記録を回避したい打撃陣と、球団史を塗り替えたい投手陣、最後まで注目したいと思います。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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