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若き大黒柱の床田寛樹と森下暢仁
ペナントレースも9月戦線に突入した。投手にとって正念場とみられた8月も、広島投手陣は乗り越えた。
8月の月間チーム防御率は2.38(先発防御率2.56、救援防御率1.98)と好成績を残した。同月の9連戦に8先発投手を起用したり、中継ぎの3連投を回避したりと、首脳陣の起用法も奏功している。
先発陣の中では、床田寛樹と森下暢仁の若き大黒柱の安定感が光る。すでに2桁勝利を挙げるだけでなく、クオリティースタート(6回以上、自責3以下)は床田が21試合登板で20度達成し、森下は18試合登板で16度達成している。11人いる規定投球回到達者で8割のクオリティースタート達成率は5人しかいない。
さらにハイクオリティースタート(7回以上、自責2以下)の達成率を見ると、床田は71.4%(15/21)、森下は61.1%(11/18)をマークする。達成率6割超は、セ・リーグの中では2投手しかいない。それだけ安定して投球回を投げてくれれば、ブルペンで控える救援陣の負担も軽減される。今季、野手顔負けの打棒でも注目された2投手は本業の投球でも進化を示し、広島の安定した戦いを支えている。
2投手への期待は登板日からもうかがえる。6連戦初戦にあたる火曜日の先発を交流戦までは床田が務め、交流戦明けは主に森下が務める。
2投手とともに4本柱を担う大瀬良大地と九里亜蓮がかつてそうだったように、彼らも互いの存在がそれぞれを高め合うものとなっているのかもしれない。森下に聞いてみた。
「お互い、勝ち負けでやっぱり意識する部分は絶対にあるので。2人がしっかり勝っていないと。最後までしっかり争いながらやっていけたらいいなと思います」
勝ち星では1歩リードする床田が投球回で上回り、防御率や奪三振数、完投数では森下が上回る。高水準にいるからこそ、自然と意識が向くのだろう。ただ、同じ質問を床田にも投げかけると、対照的な答えが返ってきた。
「僕が森下に(意識するか)ですか? もともと、勝てるとは思っていませんよ。バッティングくらいならいけるだろうみたいな感じでしたけど、今年は大きく離されたので、あいつに勝てるところはないです。どうせ(森下の登板日は)勝つだろうという感じで見ている。むしろ“もっと勝てよ”と」
森下へのライバル心を見せようとはしない。ただ、チームの大黒柱である自覚は強くある。「8月に1勝しかできなかったので、何とか巻き返したい」。ペナントレースの行方を大きく左右する9月戦線も、広島の若き左右の大黒柱がチームをけん引していく。
文:前原淳
前原淳
カープ取材歴18年。03年に地元福岡の大学を卒業後、上京。編集プロダクションで4年間の下積みをへて、07年に広島の出版社に入社。14年12月にフリー転身。現在は日刊スポーツの契約ライターとして広島担当。日刊スポーツだけでなく、NumberWebにて「一筆入魂」を隔週連載するなど幅広いメディアに原稿を執筆するカープライター。X → @mae_junjun
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