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マツダスタジアム
昨年までの通算勝率が.419(166勝227敗15分)という『鬼門』の交流戦で7年ぶりの勝ち越しを決めました。
福岡ソフトバンクに3連敗した以外の5球団全てに勝ち越し、10勝8敗で12球団中5位タイの成績でした。2005年のスタート以来、19年間(2020年はコロナ禍のため開催なし)で交流戦勝ち越しは4回しかありませんが、その4年間の活躍選手やその年のシーズン最終順位など、いつものように調べてみました。
交流戦で勝ち越したのは2008、09、16、17年。交流戦は当初、ホームとビジター3試合ずつで行われおり、スタートした2005年からカープは11勝24敗1分で11位でした。24試合制となった07年も5勝18敗1分で12球団最下位と鬼門になりつつある中、ようやく球団初の勝ち越しを記録したのが2008年でした。
◆2008年:広島市民球場最後のシーズン、東出輝裕、栗原健太が大当たり
この年は千葉ロッテと埼玉西武に3勝1敗、北海道日本ハム、東北楽天、オリックスと2勝2敗、ソフトバンクに1勝3敗となっています。投手陣で最も活躍したのがコルビー・ルイスで6試合に先発して5勝1敗、防御率2.51をマーク。リリーフ陣では永川勝浩が10セーブを挙げています。
打撃陣では、東出輝裕が12球団2位の打率.395と大当たり。栗原健太は打率.347、3本塁打、17打点をマークしています。この年は旧広島市民球場最後のシーズンで、球団初のクライマックスシリーズまであと一歩のところまでいきましたが、最終順位は4位に終わっています。
◆2009年:マツダスタジアム元年、ローテ入りした前田健太が活躍
2009年は14勝9敗1分で12球団中3位。オリックス、ロッテ、楽天に3勝1敗、西武と2勝1敗1分、日本ハムと2勝2敗、ソフトバンクは1勝3敗でした。投手陣で先発としてもっとも活躍したのが、この年から先発ローテ入りした前田健太で6試合3勝1敗、防御率は3.38でした。リリーフ陣では永川が9セーブ、中継ぎのマイク・シュルツが14試合に登板し、失点は2試合のみと好投しました。
野手で打率3割をマークした選手はいませんでしたが、赤松真人が打率.286でチームトップの成績。赤松は前年にも当時日本ハムに所属していたダルビッシュ有から本塁打を放つなど、交流戦での活躍が光りました。2年連続で交流戦勝ち越しとなりましたが、マツダスタジアム元年のこの年は5位でシーズンを終えています。
◆2016年:『神ってる』鈴木誠也が2試合連続サヨナラ本塁打
2010年からは5年連続負け越し、うち2年が12球団最下位と苦戦が続きましたが、現在の18試合制に移行した2015年に9勝9敗の勝率5割で終えると、その翌年の2016年は11勝6敗1分で、12球団中3位と躍進。西武、オリックスに3勝0敗、日本ハムに2勝1敗、ロッテと楽天には1勝2敗でしたが、ソフトバンクには1勝1敗1分の五分でした。
この年の交流戦と言えば、なんといっても鈴木誠也。オリックス戦で2試合連続サヨナラ本塁打を放つなど、打率.381、4本塁打、13打点と大活躍でした。投手陣では野村祐輔が3試合に先発して3勝、防御率1.00とほぼ完璧な内容。この年の野村はシーズン16勝3敗で最多勝と最高勝率のタイトルを獲得しました。
リリーフ陣では、ジェイ・ジャクソンが9試合に登板し、失点は日本ハム戦の3失点のみで、他の5球団は防御率0.00に抑えています。この年は25年ぶりのリーグ優勝を果たしたシーズンで、前述の選手も含めて、交流戦の勢いがそのままシーズンにつながった結果となりました。
◆2017年:交流戦最高成績の2位、セ・リーグでは2連覇
2017年は12勝6敗で12球団中2位。交流戦優勝に最も近づいたシーズンでした。日本ハム、オリックスに3勝0敗、ロッテ、西武に2勝1敗で、楽天、ソフトバンクに1勝2敗でした。
投手で最も活躍したのが薮田和樹で3試合に先発して3勝、防御率は1.35でした。前年の野村に続き、この年の薮田はシーズン15勝3敗で最高勝率のタイトルを獲得しています。リリーフでは今村猛が5セーブをマークしています。
野手では丸佳浩が打率.411で交流戦首位打者、安打数、出塁率もトップで、表彰選手となる日本生命賞に輝いています。シーズンでも圧倒的な強さでリーグ2連覇を達成しましたが、3連覇となった2018年の交流戦は7勝11敗で9位でした。
今季は先発陣が交流戦歴代1位となる防御率1.49をマークし、ノーヒットノーランも記録した大瀬良大地が3試合で防御率0.00の活躍。野手の打率トップは1番に定着した秋山翔吾(.296)でした。
注目したいのが、前回勝率5割で終えた2015年から勝ち越した2016年はリーグ優勝、連覇を果たしています。同じく前年5割→勝ち越しの今季はどうなるのか、ちょっと期待したいところです。
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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