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野球 コラム 2024年5月8日

【楽天好き】楽天イーグルス創設20周年企画:選手から裏方へ。データ部門と選手を繋ぐ「ピッチングコーディネーター」釜田佳直さん

野球好きコラム by 松山 ようこ
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ピッチングコーディネーターの釜田佳直さん(写真:楽天野球団提供)

東北楽天ゴールデンイーグルスは、今シーズンで球団創設20周年。この大きな節目を記念して、チームの変遷を知る人々に話を伺います。

シリーズ第2弾は、2022年限りで11年間の現役生活から引退した、元投手の釜田佳直さん。ご存知「釜ちゃん」だ。選手時代は高卒1年目から主力として活躍するも、その後はケガと闘いながら、長く挑戦を続けた苦労の人。その勇姿と不屈の精神は、多くのファンの記憶に残っている。

引退後の2023年シーズンからは、球団のスコアラーとして活躍。同年は主に野手を研究してきたが、今シーズンからは投手専門となり「ピッチングコーディネーター」という立場でチームを支える。現役時代から細かなポイントを探求しながら野球を見ることが好きだったという釜田さん。自身の知見を活かして、データを扱う仕事をしてみたかったという。

ピッチングコーディネーターについて尋ねると、「データ分析をしてチームの投手を専門にサポートします。これまでも同様の仕事をしていた方々はいたけれど、こうした肩書きとともに実践するのは、球団で僕が初めてと聞いています。先人の教えを踏まえて、どうすればより良い結果に繋がるかを、考えながらやっています」と語る。

そもそも、『coordinator』(コーディネーター)とは、異なる分野の活動や人を取りまとめる人材という意味を持つ。聞けば楽天では、データを専門に扱う部署は大半がデータに特化した分野出身の人で構成されているため、元投手である釜田さんがデータ部門と選手との仕事を繋ぐことになる。いわば架け橋のような存在となるようだ。

「データを元に選手に伝える時も、選手側の経験がある僕だからこそ、数字はもちろんですけど、技術面も含めて多面的に話せると思うんです。それこそが僕に求められた役割と考えているので、より深く選手にフィードバックして、みんながいい成績残せるように、という思いで仕事に取り組んでいます」。

仕事について語る釜田佳直さん(写真:楽天野球団提供)

とはいえ、伝え方に正解はない。どの選手にどう伝えるべきかを思案する日々でもあるという。「1人1人、性格も違えば受け取り方も違う。例えば、早川(隆久)と藤平(尚真)に対しても、同じように伝えることはなくて。負担や圧力を感じず、すっと入るように考えます」。

「だから、試合で打たれた後は、興奮もしているので言いません。声の掛け方も工夫して、とにかく自分本位にならないよう気をつけています」と、さり気ないサポートを心掛ける。そうした取り組みが実を結んで選手に結果が出ることで、やり甲斐を覚えるのだという。

高校を卒業して以来、ずっとプロ野球選手として働いてきた釜田さん。データ収集は元よりパソコン仕事も未経験からの再スタートだった。当初はレポートの作成1つ取っても悪戦苦闘したという。

「何もかも教えてもらって、実際にやってみないと何もできないことを痛感しました。でも、何度も頼るわけにいかないので、教わったことは全部ノートに書き込んで、身体に叩き込んでいきました」。

創意工夫が必要であるだけでなく、時間がかかることも少なくない。シーズン中も、投手1人1人のデータを集約していくので、ナイターで多くの投手が投げたり、試合が長引いたりすると、日付が変わっても球場に居残って仕事をすることも多々あるという。

また、一軍の投手陣と帯同してデータを収集するだけでなく、二軍の投手陣も見ているため、現場での目視や映像確認など、相当に多忙そうな様子が伺える。

体調にはくれぐれも気をつけてくださいと伝えると、「忙しいけれど、元気にやっています!」と釜田さんは爽やかな笑顔をみせてくれた。

取材・文:松山ようこ/写真:楽天野球団提供

松山ようこ

松山 ようこ

フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo

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