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春季キャンプ直前の左膝内側半月板損傷から復帰した末包昇大は、同7試合の出場で打率.235。17打数4安打の成績ですが、4本の全ては全て単打で、昨季見せた爆発力はまだ戻っていないようです。4月中の一軍昇格を目指して調整を続けていますが、ここまでチーム本塁打がわずか1本と長打力不足が顕著なチーム状況で、数少ない一発の魅力を秘める選手として、早期の一軍復帰が期待されるところです。
オープン戦では外野争いに加わっていた中村貴浩と中村健人の同姓コンビは、貴浩が15試合出場で打率.231。チーム2位タイの6打点をマークしていますが、一軍昇格には打率アップが必須でしょう。
昨季の一軍出場なしからリベンジを誓った健人は、8試合出場で打率.227と低迷。5安打は全て単打と、今季も打撃力が一軍昇格への課題となりそうです。さらに2020年の支配下契約以降、コンスタントに一軍出場を続けている大盛穂も、13試合で打率.138と打撃不振に陥っています。
ドミニカアカデミー出身のラミレス、ロベルトが打率1割台に満たない中、育成選手としてダークホース的な存在となりつつあるのが、育成ドラフト2位入団のルーキー・佐藤啓介です。
佐藤はここまでウエスタン・リーグで13試合に出場し、規定打席には到達していませんが、31打数12安打でチームトップの打率.387を記録。1本塁打に二塁打1本、三塁打2本と長打力もあり、9四球と選球眼も良く、出塁率.525、長打力.645でOPSは10割超えと驚異的な数字を残しています。
国立大学である静岡大学出身の佐藤は左打ちの内野手で、ファームでは二塁手のレギュラー格となっています。大学時代から広角に長打を打てる打撃の評価が高い選手で、現在の好調をキープできれば、1年目からの支配下登録もありそうです。
ファームでは無双状態だった中村奨成が一軍では結果を残せなかったように、二軍の数字を鵜呑みにすることはできませんが、育成の場で結果を残した選手が、一軍の救世主になることを期待したいところです(成績は全て4月10日現在)。
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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