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野球 コラム 2024年3月28日

MOBYのMLB取材ノート 「ベースボール・イン・ザ・UK〜ロンドンで野球教室」

野球好きコラム by オカモト"MOBY"タクヤ (SCOOBIE DO)
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〜イギリスの野球指導者向け野球教室に参加〜

 

さて今回のイギリス滞在ではもう1日、正に野球漬けな時間を経験しました。1月27日(土)、リバプールから鉄道で2時間半、ロンドンに到着。そこから地下鉄に乗り換え30分、駅から徒歩で20分のところにある、室内野球施設「The 108」で開催された「Coach Summit 2024」に参加してきました。そこには人工芝の室内練習場、ブルペン2つ、バッティングセンターとしても使われているケージ4つを兼ね備える、非常に立派な野球施設です。MLBが設立に協力したとのことで、MLB30球団の垂れ幕も飾られています。

 

12時からイベントがスタート。参加者は50人前後でしょうか。開催に携わったプロデューサーの方が「昨年はWBCで歴史的な勝利を挙げることが出来た。この勢いにのって、次のWBCでの更なる飛躍、そして2028年のロサンゼルス・オリンピックに向けての第一歩となる重要なイベントである」ということを強調していました。それを経て、まずはイギリス代表コーチがゴロ処理の指導方法、ノックの打ち方、スウィングを指導する際の練習方法、トスやティー打撃の効果的な方法といった、野球指導に関するノウハウを訥々と指導していきます。参加者からの質問にも答えつつ、参加者同士でのディスカッションも熱心に繰り広げられていきました。

 

2コマ目は特別ゲストの登場です。なんとマイアミ・マーリンズ一塁コーチ、2011年にはセントルイス・カージナルスでワールドシリーズ制覇にも貢献したジョン・ジェイ!この日は2回登壇するとのことで、先ずは野球との関わり方について、自分の経験談を非常に流暢に話してくれました。そこでボクも質問。

MOBY:外野での守備率がMLB屈指の記録を誇るあなたが(通算1067試合出場で守備率.996)、感覚的に習得してきた守備に関する経験や技術を、どうやって選手たちに論理的に教えていますか?

ジェイ:ボクは自分の事を話すのは好きではない。そしてボクは才能のある選手でもなかったし、肩も良くなかった。最速の選手でもなかった。だからボクにとっては小さいことを全て完璧に、出来る限り上手くやるしかなかった。方法、プロセス、ルーティンを通じて、とにかく準備をすることを選手たちに伝えている。それをルーティンとして一貫性を持たせることの重要さを選手たちに説いている。コーチとしての役割は、選手たちが主体性を持てるようにすることだと思っている。難しいのは、それをどう理解してもらい、どう信じてもらうかということ。それを理解してもらうと、より流動的になり、良い方向に向かうと思う。

……非常に論理的!上達への近道を教えるのではなく、小さなことの積み重ねを通じ、共通認識を持つことで相互理解を深め、向上していく。野球だけに限らず、何事にも通じることだと感動してしまいました……。これを含め1時間、講義と質疑応答が繰り広げられました。

3コマ目はコンディショニング担当者の講演と実技指導。4コマ目は子供たちに野球に触れてもらう普及活動「MLB First Pitch」の紹介。MLBがベースボールの裾野をしっかりと広げている活動をしていることを実感しました。5コマ目はBaseball 5の紹介と実践。これは男女混合の5人対5人で行う手打ち野球です。2022年に開催された第1回ワールドカップでは日本はキューバに敗れ惜しくも準優勝だったそう。使用するボールは軟式野球でお馴染み、ナガセ社のケンコーボール!

 

 

〜ジョン・ジェイ、ロンドンで大いに語る〜

18時過ぎ、最後となった6コマ目は再びジョン・ジェイの登場。守備と走塁を担当するメジャーリーグのコーチとして、より実践に即した彼の野球指導論を話してくれました。ここはボクなりに訳した、彼の野球論をご紹介出来ればと思います。

マイアミ・マーリンズ一塁コーチのジョン・ジェイ氏と

〜〜〜〜〜〜〜〜
・練習はあなたのベストフレンドになる。守備と走塁は練習を重ねれば必ず上達する。自分の姿勢で、自分の行動をコントロール出来る。それに対し、打撃は相手投手の状況にもよるからちょっと違う。守備と走塁は努力と集中力がすべてなんだ。

・あらゆる状況でどうすればベストを尽くせるかを考える。ボックススコアに表れないようなことが試合の中で大きな違いを生み、試合は守備によって左右され、走塁によって試合は動く。走塁は自分でコントロール出来ることの一つであり、守備にプレッシャーを掛けることが出来る。マーリンズは走塁コーチを長年勤めていたスキップ・シューメイカー監督を中心に走塁を重視していて、対戦相手の怠慢守備の隙を突いて次の塁を陥れ勝利につなげたことが何度もあり、昨年はポストシーズン進出を果たすことが出来た。だからいつも次の塁を狙うように走塁をする。するとそのチームは積極的に次の塁を狙う、と評判になる。相手チームもそれを知り、緊張してミスを犯すようになる。

・私は何事にも正しいやり方があると考えるタイプのコーチではない。みんなそれぞれ違った体格をしていて、それぞれに個性がある。その選手が心地良くプレー出来るものを見つけることが重要なんだ。コーチとしての我々の役割の一つは、選手にとって何が快適なのか、どうすれば快適なのかを見極めることだと思う。

・毎試合、試合開始5時間以上前から準備している。その日の先発投手とリリーフ投手全員のモーションや癖を調べる。例えばもしある相手投手がアングルを変えて投げてくるようなことがあれば、その投手がどんな癖があり、チームで利用できるような癖があるかどうかを見極める必要がある。チームはそういった些細なことにも目を光らせている。深く掘り下げれば掘り下げるほど、調べれば調べるほど、何かを見つけることが出来る。ただそれが相手にバレたら、相手はそれを変えてくる。でも、試合が緊迫してくると、また以前の癖に戻ることが多い。どうすればチームを有利に運べるかを見つけること、それをすぐに出来ることが大事なんだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜
イベントが終了し、ジョン・ジェイにご挨拶。そしてこの施設もタップ(ビールサーバ)が豊富に取り揃えられていたので、参加者同士で歓談。ある参加者は「イギリスのベースボールがもし株価だったとしたら、今が買い時さ。これから実力も人気も上がる一方だから!」と目を細めて語ってくれました。

昨年に続き、今年もロンドンシリーズの開催も予定されています。
オランダ、イタリアといったヨーロッパの野球大国、そしてチェコなどの新興国に追いつき追い越すべく、イギリスのベースボールにもこれから注目して行ければと思います!

ジョン・ジェイ氏と

文・オカモト"MOBY"タクヤ (SCOOBIE DO)

オカモト"MOBY"タクヤ (SCOOBIE DO)

1995年結成、"LIVE CHAMP"の異名を持つロックバンド「SCOOBIE DO」のドラマー兼マネージャー。
MLBコメンテーターとしても精力的に活動し、J SPORTS「MLBミュージック」メインMC、そして2023年シーズンからMLB中継の解説を担当予定。2022年4月には初の著書『ベースボール・イズ・ミュージック~音楽からはじまるメジャーリーグ入門』(左右社)を出版。MLBに関するラジオ出演や執筆活動も多数。2021年にはテレビ東京系ドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』で俳優としてもデビュー。

SCOOBIE DO http://www.scoobie-do.com/
Twitter: @moby_scoobie_do
Instagram: @moby_scoobiedo

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