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野球 コラム 2023年10月16日

レンジャーズがアストロズに先勝、アルトゥーベの歩幅が明暗を分ける。ア・リーグ チャンピオンシップシリーズ

MLBコラム by J SPORTS 編集部
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アストロズvs.レンジャーズ

現地10月15日(日本時間16日)に、ミニッツメイドパークにて幕を開けたテキサス対決のアメリカンリーグ チャンピオンシップシリーズは、このポストシーズン5連勝と波に乗るレンジャーズが、敵地でアストロズに対し2-0と完封勝利を遂げ、プレーオフの連勝を「6」に伸ばす形で先手を取った。

試合前はポストシーズンに入り、さらに爆発力を増したレンジャーズ打線と、ディビジョンシリーズ4試合で4本塁打6打点、1.313 OPSと無双状態にあったヨルダン・アルバレスの打棒に注目が集まったが、蓋を開けてみれば、この第1戦は、控えめに言っても、珠玉の投手戦と形容して差し支えない内容の好勝負となった。

特に、レンジャーズ先発のジョーダン・モンゴメリーは、ポストシーズンのミニッツメイドパークでアストロズ打線相手に、7回途中5安打無失点と出色のパフォーマンスを披露。また、バトンを受けたブルペンも2回2/3を3人で継投し、アストロズ相手に完封リレーを完遂する好リリーフを見せた。

一方、アストロズ先発のジャスティン・バーランダーも、7回途中6安打2失点で、クオリティスタートの達成はもとより、あと一死奪っていればハイクオリティスタート達成という好投で役割を果たしており、この試合の勝敗は、単純に相手を上回ったレンジャーズ投手陣の快投がその行方を決める格好となった。

ただ、敢えてターニングポイントを1つ挙げるとすれば、8回の攻撃でアストロズが許した併殺プレーということになるだろう。

アストロズは2点を追う状況で迎えた8回裏の攻撃で、先頭打者のホセ・アルトゥーベが相手2番手のジョシュ・スボーツから四球選んで出塁すると、続いて打席に入ったアレックス・ブレグマンは、代わってマウンドに上がったアロルディス・チャップマンと対峙することに。

『安定した制球力』という言葉とは無縁のチャップマンにとって、選球眼のあるクラッチヒッターのブレグマンは見るからに相性の悪そうな相手であり、事実、ブレグマンはカウント2-1からホームラン性の大飛球を左中間へ放った。

しかし、フィールドの一番深いところへ飛んだ打球をルーキー右翼手のエバン・カーターが値千金のジャンピングキャッチでアウトにすると、中継を挟んで2塁へ返球。1塁走者のアルトゥーベは、1塁へ帰塁し、一旦はこれが認められるも、レンジャーズがチャレンジした結果、2塁を回っていたアルトゥーベが1塁へ帰塁する際、2塁を踏み直していないことが判明し、併殺プレーが成立することとなった。

これで、一死1塁ではなく二死走者なしと、ある程度プレッシャーのない状況でアルバレスと対戦できたチャップマンは、結果的にことなきを得たのである。実際、現地放送で解説をしていた往年の名投手であるジョン・スモルツも、「一死1塁ではなく二死走者なしでアルバレスと対戦できると、投球の自由度が格段に違ってくる」という趣旨のコメントをしていた。

ちなみに、スモルツはアルトゥーベの帰塁について、「あと2、3歩先へ(3塁方向へ)進んでいれば、自動的に2塁を踏めていただろう」と解説している。確かにリプレーで見ると、アルトゥーベは半歩ほど3塁方向へ進みかけたところで、慌てて2塁をまたぐ形で1塁へ戻っており、もしかすると2歩と言わず、歩幅の大きな1歩であっても、無事2塁を踏みなおすことができていたかもしれないと思わせるほど、それは微妙な間合いだった。

結果として、このワンプレーが勝敗を分けたわけではないが、これは試合後の酒のアテにするには、十分すぎるほど、ベースボール的な含蓄を感じさせる場面ではあった。短期決戦のポストシーズンは、こういうワンプレーの持つ意味合いの大きさが虫眼鏡的に拡大されるところに、それならではの面白さがあると言えるだろう。

J SPORTS編集部

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