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末包昇大 決勝の11号ソロ本塁打(9月30日阪神戦)
『勝てば○○決定』という地元最終戦で勝てなかったのは、これで何度目でしょうか。クライマックスシリーズ(CS)地元開催のかかった阪神との今季レギュラーシーズン最終戦は、最終回の追い上げも届かず、1点差で敗戦。新井カープならば、という期待もありましたが、自力での2位決定はなりませんでした。
それでも3位の横浜DeNAが最終戦に敗れたため、球団史上初となる2位からのCS進出が決定しました。新監督の球団新記録となる74勝を挙げ、5年ぶりとなるCS進出は評価されるべきですが、「低評価の割に…」という免罪符のようなものもあった気がします。
来季以降に向けて、ペナントレースの『伏兵』から『本命』に浮上するためにも、ポストシーズンの戦いが重要になります。
◆先週の試合結果
・29日(金)広島 1-4 中日 ●森下
・30日(土)広島 2-1 阪神 ○島内/S栗林
・01日(日)広島 5-6 阪神 ●床田
◆大瀬良、今季最短降板でレギュラーシーズン終了
自力でのCS地元開催がかかった1日の阪神戦。先発した大瀬良大地は3回途中まで被安打2、3四死球、投球数は61球に達して今季最短イニングで降板となった。今季は節目の試合で結果が残せなかった印象が強い右腕だが、最後の大一番でも新井貴浩監督の起用に応えられなかった。
今季は23試合に先発して6勝11敗、防御率3.61でレギュラーシーズンを終えた大瀬良。前回コラムでは援護率の低さについて触れたが、改めてそのに内容を見ると、129回2/3で規定投球回数に達せず、完投はゼロ。8回を投げた試合もゼロで、7回が6試合で2勝2敗、6回が5試合で3勝1敗、5回が6試合で1勝4敗、4回が2試合で0勝1敗。
イニング途中で降板したのは4試合で、最終戦以外はいずれも負け投手となっており、クオリティスタート(QS)率は47.8%だった。QS率で見ると、森下暢仁の75.0%、床田寛樹の73.9%、九里亜蓮の61.5%と比べると、やはり先発4本柱としては物足りない数字だったが、一戦必勝のポストシーズンで大瀬良の先発はあるのか。指揮官の決断が注目される。
プロ野球2023公式戦
【ハイライト動画】広島 vs.阪神(9月30日)|8回、末包昇大が値千金の決勝本塁打
◆ブルペンに世代交代の波
9月26日の中日戦、8回2死から登板した島内颯太郎がホールド(H)を記録し、今季41ホールドポイント(HP)でリーグトップに浮上。最終的に42HPで最優秀中継ぎ投手賞を獲得した。今季の島内は6月25日から18試合連続無失点を記録するなど、勝ち試合の8回を任されるセットアッパーとして定着。シーズン終盤も9月14日以降は9試合連続無失点で2勝4Hをマークし、プロ5年目の初タイトルとなった。
1日の最終戦では、今季限りでの現役引退を表明した一岡竜司が6回に登板。代打で登場した島田海史に8球粘られながらも、全球ストレートで見逃し三振に打ち取り、スタンドから暖かい声援を浴びた。
一岡は2014年にFA移籍した大竹寛の補償選手として入団し、1年目から31試合に登板して防御率0.58、2勝0敗2セーブ(S)、16Hと大ブレイク。その後もリーグ3連覇時の2017、18年には2年連続で59試合に登板するなど、ブルペンに欠かせぬ存在となり、昨季は通算100HPを達成した。プロ12年間の通算成績は290試合で17勝14敗7S、84H。引退セレモニーのスピーチでは「広島の人間になれたかな」と晴れやかな表情だった。
◆短期決戦のポストシーズン、4番は?
今季はマクブルームから始まり、松山竜平、西川龍馬、デビッドソン、菊池涼介、上本崇司、堂林翔太と7人が4番で起用された。シーズン終盤は堂林が定着し、来季以降を期待する声もあったが、23日に2安打したのを最後に、5試合22打席無安打でレギュラーシーズンを終了。
CSでは9月末に復帰した西川の起用が現実的と思えるが、復帰後の4試合は打率.200、9月の月間打率も.143と本調子には程遠い状態。そこで注目したいのが末包昇大で、先週の4試合は14打数6安打、9月は月間打率.298、4本塁打と勢いがある。レギュラーシーズンでは一度も4番起用がなかったプロ2年目の大抜擢があるか、注目される。
***** 今季レギュラーシーズン最後となる週間MVPは、投手が2戦連続セーブでシーズンを締めくくった栗林良吏をCSでもフル回転の期待を込めて選出。野手は30日に値千金の決勝弾を放った末包でいきたいと思います。
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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