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野球 コラム 2023年9月5日

【広島好き】今週は3位と首位と直接対決、ヤマ場と言える1週間。『週刊カープいいとこどり』

野球好きコラム by 大久保泰伸
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好守を見せた菊池涼介

疲労が見え始めたリリーフ陣に矢崎拓也が復帰したかと思えば、8月に今季初めて月間得点が3ケタに到達した打線では、西川龍馬が再び脇腹の違和感発症でスタメン落ち。自力優勝は再び消滅してしまいましたが、リーグ優勝の可能性も、クライマックスシリーズ出場を逃す可能性も、まだなくなったわけではありません。

先週は巨人に敵地で2勝1敗の後、地元での中日3連戦はまさかの負け越し。今週は3位横浜DeNAと首位阪神との6連戦と、最後のヤマ場と言える1週間になりそうですが、残り7試合を残した阪神戦はもちろん、最下位中日との残り4試合も、順位争いのカギを握るカードになりそうです。

◆先週の試合結果
29日(火)巨人 4-5 広島 ○アドゥワ/S矢崎
30日(水)巨人 1-2 広島 ○大瀬良/S矢崎
31日(木)巨人 2-0 広島 ●床田
01日(金)広島 3-5 中日 ●島内
02日(土)広島 3-1 中日 ○森下
03日(日)広島 0-3 中日 ●九里

◆復帰の4番・西川が再び戦線離脱か?

右脇肉離れでの離脱から8月上旬に復帰後、4番打者としてコンスタントに数字を残し、DeNA・宮崎敏郎が故障離脱で規定打席数を割った時期には、首位打者にも浮上した西川龍馬。29日からの巨人戦でも初戦に先制タイムリー二塁打、30日には2試合連続の先制打など3安打猛打賞を記録したが、2日の中日戦で右脇腹に違和感を訴えて3回の打席で代打を送られた。

西川が欠場した翌3日は、今季12度目の完封負けで最下位相手にまさかのカード負け越し。新井貴浩監督は大事に至る前の処置で、登録抹消はしない意向を表明しているが、離脱につながった故障箇所だけに不安も大きい。今週の6連戦ではマクブルームの復帰が予定されているが、残り20試合、打線への影響が懸念される。

◆菊池、攻守に存在感

ペナントレースの勝負どころを迎えたこの時期に、リーグ3連覇の主力メンバーだった菊池涼介が攻守で存在感を発揮している。先週の週間打率.389はチームトップで、同出塁率.421と1番打者として優秀な数字を残した。

プロ野球2023公式戦

【ハイライト動画】広島 vs.中日(9月2日) 森下暢仁、9回1失点の完投

二塁守備では相変わらず投手を助ける好守をしばしば見せているが、圧巻だったのが30日の巨人戦。1点リードの4回表、2死満塁の場面で打者・菅野智之のピッチャー返しを大瀬良大地がグラブに当て、高く上がってバウンドしたところを菊池が素手でキャッチし、そのまま一塁に送球して間一髪でアウトにした。

その他にも1・2塁間のヒット性の当たりを絶妙な動きで処理してアウトにするなど、ファインプレー3連発で勝利に貢献。10年連続ゴールデングラブ賞がダテではない異次元のプレーを見せた。

◆安定の先発4本柱も、打線の援護が…

先週、先発投手で勝ち投手になったのが30日の大瀬良と2日の森下暢仁。大瀬良は菅野とのかつてのエース対決で6回無失点。味方の好守備にも助けられて今季6勝目をマークした。森下は三者凡退が3イニングと、常に走者を背負う苦しい投球だったが、9回116球を投げ切り、失点はソロ本塁打の1点のみで、今季二度目の完投勝利を挙げた。

2人の他にも31日は床田寛樹が初回に守備の乱れもあり2失点したが、2回以降は立ち直って7回2失点。味方の援護がゼロで、岐阜長良川球場での凱旋登板を白星で飾れなかったが、ハイクオリティースタートで試合はつくった。

29日の九里亜蓮は7回途中4失点で勝敗なしだったが、2021年以来10月以来となる中4日で先発した3日は、炎天下でのデーゲームの中、5回1失点と好投。打線の援護がなく6敗目を喫したが、先発投手として結果を残した。先週の6試合中、5試合が3得点以下で完封負けが2試合と、打撃陣の奮起が望まれる。

*****

週間MVPは、投手はリリーフ陣で大道温貴が3試合、中崎翔太、アンダーソンが2試合で無失点、アドゥワ誠が勝利投手と地味ながら活躍を見せていますが、印象度という意味では9月に入ったとは言え、猛暑が続く中でのデーゲームを一人で投げ切った森下を選出。

野手は、末包昇大がプロ初の代打本塁打など3試合連続本塁打を記録し、小園海斗(.320)、デビッドソン(.316)西川(.313)、堂林翔太(.308)が週間打率3割超えを記録していますが、やはり守備でのインパクトが強烈だった菊池にしたいと思います。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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