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野球 コラム 2023年7月13日

攝津正、比嘉幹貴、阿部翔太、栗林良吏、加藤貴之。プロで活躍した都市対抗野球出身の投手たち

野球好きコラム by 大島 和人
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昨年優勝のENEOS

2021・22年のプロ野球ドラフト会議ではいずれも社会人球界から15名が指名を受けた。2021年は9名、2022年は12名が投手だった。企業チームは育成ドラフトの対象にならないため、全員が「支配下」の契約だ。今年もおそらくそれと同じくらいの「都市対抗卒業生」がプロの世界進むことだろう。今回は現在と過去の記憶に残る投手たちを紹介したい。

もう引退した選手だが、都市対抗出身者として忘れられない投手は、まず攝津正(JR東日本東北→福岡ソフトバンクホークス)だ。2008年の第79回大会で七十七銀行から補強された当時26歳の彼は、セガサミーとの1回戦に登板。8回1失点、10奪三振の好投を見せながら、0-1の惜敗で敗戦投手になった。ただ制球力が高く変化球も良く、球速は当時の社会人ならば悪くない数字で、ドラフト6位のプロ入りは納得できた。

攝津は1年目に70試合に登板し、5勝34ホールドを記録する大車輪の活躍で新人王を獲得する。3年目からは先発に転向し、5年連続で2桁勝利を挙げ、最多勝や沢村賞を獲得する大投手に化けていった、それは誰も想像しない出世だった。

攝津が指名された翌年には比嘉幹貴(日立製作所→オリックス・バファローズ)、翌々年には牧田和久(日本通運→埼玉西武ライオンズほか)と「25歳以上」の投手がいずれも2位指名を受けて、いずれもプロでも大活躍を見せた。今思えば攝津の活躍はその呼び水になった。もっとも攝津のような「下位指名からプロで大活躍した投手」は、野手に比べると例が少ない。逆に言うとそれは各球団にとって投手の需要がそれだけ高いということだろう。

入団直後に大活躍を見せた投手といえば、近年だと栗林良吏(元トヨタ自動車)がいる。2020年に広島カープの1位指名を受けた直後、第91回大会のセガサミー戦は7回2失点で敗戦投手となっている。しかし、プロでは1年目から37セーブを挙げるともに、同年に開催された東京オリンピックでも2勝3セーブという大活躍で金メダルに貢献した。今春のWBCはコンディション不良で大会期間中に離脱する事態に見舞われ、今季の序盤戦も苦しんだが、夏場に入って本来の調子を取り戻しつつある。

第94回 都市対抗野球大会

【俺たちの都市対抗】オリックス・比嘉幹貴選手インタビュー

先ほど名前を出した比嘉と阿部翔太(元日本生命)はいずれもオリックスのブルペン陣で活躍している。比嘉は国際武道大学から入社して5年、阿部は成美大学から入社して6年の社会人生活を経験した遅咲きだ。石山泰雅(ヤマハ→東京ヤクルトスワローズ)や酒居知史(大阪ガス→千葉ロッテマリーンズ→東北楽天ゴールデンイーグルス)など、中継ぎとして欠かせない活躍を果たしている都市対抗の卒業生は他にもいる。

加藤貴之(新日鐵住金かずさマジック→北海道日本ハムファイターズ)は拓大紅陵高校から入社し、社会人で5年プレーしてからプロ入りした。かずさ時代も今と同じように制球力、多彩な変化球で勝負する技巧派だった。今や日本ハムのエース格として安定した投球を見せている。

2019年の第90回大会で橋戸賞を受賞した須田幸太(JFE東日本→横浜DeNAベイスターズ)のように、プロで経験を積み、社会人に復帰して「もう一花」を咲かせた例もある。最短距離で出世していく選手もいるが、社会人野球があったからこそプロや世界の大舞台に進出できた人材は多い。社会人野球は日本野球の生態系を豊かにする、大切なカテゴリーだ。

文:大島和人

大島 和人

大島 和人

1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty

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