【WBC現地レポート】大会初出場のチェコ、監督は神経科医、主将は金融アナリスト。社会人のチームが歴史的勝利をつかんだ理由

チェコでの野球人気については、まさにこの大会での自分たちの活躍にかかっているとバート選手。アメリカ出身でチェコ人の奥さんとチェコに住む彼は、名声をあげることの難しさも重々承知といった様子で言う。

「このWBC出場はまたとない機会。あとはヨーロッパにおいて野球がマーケティングや露出、試合機会が増えて、各地域の人たちに応援してもらう存在になること」と課題を語りつつ、「でも、アイスホッケーやサッカーでチェコのトップ選手が生まれたように、野球もそうした時はすぐそこに来ている」と未来を見据える。

「今大会は1つでも多くの勝利をもぎとって、このチームがどこまで行けるか見てみたい。何せ、まだ帰国する準備はしていないからね。最高のチームと戦って勝ちたい」と笑顔で語った。ボイテハ選手も同じように、目を輝かせて強い相手との対戦を喜んでいたのが印象的だった。

「当然、日本との戦いは相当にタフになると思う。こんな球場で日本の大きな声援のなかで戦うことも未経験だしね」と言いながらも、「逆境もすべて楽しんで勝利を掴み取りたい」と言うのだ。

ちなみに、チェコ代表は本大会前に宮崎でキャンプをしていたといい、宮崎牛と海鮮に『ドはまり』して連日のように食べていたのだとか。夢の舞台ですばらしいひと時を過ごしているチェコはこの後、侍ジャパンと全勝対決に挑む。

取材・文：松山ようこ