【楽天好き】キャンプレポート：初日からルーキー投手が勢揃い。岸孝之は最後の最後に…

キャンプがスタート

気温22度、晴れ。今年もキャンプ初日は、沖縄の暖かい気候に恵まれた。選手たちはストレッチやウォーミングアップ、軽めのキャッチボールを終えると、野手陣は10:50には内外野にわかれて守備練習。投手陣は11:00過ぎにはブルペンに則本昂大、瀧中瞭太、松井裕樹、西口直人、辛島航が並んで登板。5つある投球レーンはすぐに活気に満ちた。

真ん中のレーンで投球をしていた松井は、WBC球をまるで普段扱っている公式球のように投げている。J SPORTS実況の中田浩光さんも「ボールを気にしている素振りは見られませんね」と感心。

松井裕樹

解説のギャオス内藤さんも「いつもキャンプでは悩んでいる素振りを見せていたのに、それがない。自分のかたちが見いだせたのではないか」としみじみ語り、「今年はWBCで刺激を得て、きっとさらにすごい抑えになる」と期待する。

ドラフト2位の小孫竜二

12:00を過ぎると、続々と注目ルーキーがブルペンに並んだ。石井監督と先にこの日のブルペン投球を終えた則本もそれぞれ近くで見守る。まずはドラフト2位の小孫竜二。力強いストレートが、伊志嶺忠ブルペン捕手のミットに小気味よく収まる。「速いです」と中田実況。ギャオスさんは「あくまで第一印象で言うと、中継ぎの1枚目（に使いたい）。7回、8回に投げさせたい。クイックもうまそう」。

パーンと乾いたミットの音をさせてキャッチした瞬間、伊志嶺忠ブルペンキャッチャーも満足そうに頷く。すると「スライダーお願いします」と小孫の声。エースや監督から見つめられながらも堂々とした佇まいで、ストレートのみならず変化球も投げ込んだ。

ドラフト1位の荘司康誠もやって来る。身長189センチの長身で、ブルペンのマウンドに立っただけで存在感を発揮。ギャオスさんも「かっこいい。イケメンだし、スタイルめちゃめちゃいい。何より構えた時の立ち姿がいい。もうこの雰囲気だけで先発候補で決まりですよね。って俺が言うなって？」と興奮気味にまくし立てたほど。

ドラフト1位の荘司康誠

荘司はおよそ15分ほど投げこんだが、その中でストレートだけでなく、スライダーやカットボールなど変化球も披露。小山伸一郎投手コーチとしばらく話す姿も見られた。

ドラフト3位の渡辺翔太

パームボールを武器にしているというドラフト3位の渡辺翔太もブルペン入り。パームボールとは手のひらで押し出すように投げる変化球で、ギャオスさんいわく「チェンジアップで代用する投手が多く、これも球が来ているようで来ないゆえにタイミングを外すことができる」球だという。プロでも使い手が少ないので、そんな『魔球』にも期待が高まる。

ドラフト4位の伊藤茉央は、サイドスロー。幼い頃から楽天ファンだったという福島県出身の期待の星だ。そんなルーキーが4人とも、熱心にブルペンで投げ込んでいたが、石井監督と小山投手コーチは、終始それを見守っては話しかけていたのが印象的だった。

岸孝之

中継時間が終わりに近づいた午後1:30ごろ、ようやく岸孝之が長坂健冶ブルペン捕手と準備段階と思われるキャッチボールを始めた。チーム最年長38歳のベテラン岸は、任せられたマイペース調整なのだが、なかなかブルペンに入らなかったり、調整がスローかと思えば、いきなりブルペンで黙々と200球以上を投げ込んだりするなどして（本人いわく、『球数は意識していない』）、その鉄腕と職人気質で耳目を集めている。

そんな岸はこの日、J SPORTSの中継が終わる10分前に、誰もいなくなったブルペンに入った。すぐにカメラが切り替わる。するとギャオスさんも「キター！」と声を張り、立ち姿と投球動作を見るやいなや、「さすが、岸（のマイペース）調整。相変わらず美しい。なんの心配もないですね」と嘆息した。

文：松山ようこ