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野球 コラム 2022年12月10日

【横浜好き】砂田毅樹とのトレードで加入した京田陽太はどんな選手?

野球好きコラム by 大久保泰伸
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横浜DeNAベイスターズ

シーズンオフの人事もひと息ついた感がありますが、12月5日に中日から移籍が決まった京田陽太の入団会見が行われました。育成出身選手ではNPB史上最年少でプロ初勝利をマークし、2017、18年は62、70試合、2021年には58試合とワンポイント、ロングリリーフとフル回転した鉄腕左腕・砂田毅樹を放出してまで獲得した京田とは、どんな選手なのでしょうか。

砂田と1対1の交換トレードで移籍が決まった京田は、石川県出身ですが青森山田高校に進学し、1年時からショートのレギュラーを奪取。同学年には現・阪神の木浪聖也がいましたが、甲子園出場はありませんでした。日本大学に進学後、3年時には東都大学リーグの秋季リーグで遊撃手としてベストナインに選出され、日米大学野球の日本代表にも選ばれて現・巨人の吉川尚輝と二遊間を組みました。

ドラフト2位で中日に入団後は、ルーキーイヤーから開幕スタメンを勝ち取り、141試合に出場してこの年のセ・リーグの新人野手でただ一人、規定打席に到達。チームの新人安打記録を更新する149安打をマークし、盗塁数はチームの新人選手としては、現・中日監督の立浪和義以来となる20盗塁(最終的には23盗塁)を記録しました。同年にはベイスターズの濱口遥大が1年目で10勝をマークして新人王の有力候補でしたが、記者投票で京田が有効投票数の7割強を集めて新人王となりました。

同年にはアジアプロ野球チャンピオンシップの日本代表に選出され、本職ではない二塁手も務めるなど、全3試合に先発出場してチームに貢献。球界を代表する若き内野手の誕生と思われましたが、2年目以降は打撃不振に苦しみました。2年目は143試合フル出場を果たしましたが、開幕直後に23打席連続無安打、7月にも31打席連続無安打を記録するなど打率.235でシーズンを終了。

その後も遊撃手でリーグトップの守備率を記録するなど、堅守が評価されてレギュラーの座を守っていましたが、100試合以上に出場した21年まで打率は2割5分前後で、1年目の打率(.264)を超えることはありませんでした。立浪新監督が就任した昨季は、チームの主軸として期待されましたが、新型コロナ陽性による離脱もあり、43試合と出場数が激減。5月にハマスタで行われた試合では、途中交代した試合中に二軍降格を通達されるなど、監督の信頼を失っていました。

移籍会見で京田は「チャンスをくださったベイスターズに感謝の気持ちでいっぱい」と、笑顔で決意表明。背番号「98」は、昨年27歳の若さで亡くなった元チームメイトの木下雄介さんの番号を受け継いだということです。ベイスターズでは、かつての名遊撃手で、現在は打撃指導に定評のある石井琢朗チーフ打撃コーチのもと、打撃開眼も期待されています。もともと守備は球界でもトップクラスの評価を得ているだけに、再生すれば貴重な左のリリーバーを放出した以上の見返りもありそうです。

今季、ベイスターズのショートのスタメンは、大和が最多の65試合で、新鋭の森敬斗が42試合、柴田竜拓が36試合となっています。レギュラー奪取が期待されている森にとっても、京田の存在は大きな壁となると同時に、格好のお手本になるのではないでしょうか。また、セカンドには牧秀悟という不動のレギュラーがいますが、守備的な布陣を敷く場合は牧をファーストに回し、セカンドで京田を起用するなど、オプションも増えそうです。

牧と言えば、昨年は新人としてあの『長嶋茂雄氏超え』が話題になりましたが、牧の前に長嶋氏に次ぐリーグ歴代2位の新人安打数を記録したのが京田でした。まだ28歳と若く、球界でも屈指のポテンシャルを持つ京田が新天地で再ブレイクを果たせば、今季果たせなかった頂点へ、大きな力となることは間違いないはずです。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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