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野球 コラム 2022年12月6日

【広島好き】今季は森下暢仁、菊池涼介が受賞。カープの「ゴールデングラブ賞」歴代受賞者を振り返る

野球好きコラム by 大久保泰伸
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11月29日に三井ゴールデン・グラブ賞の表彰式が行われ、カープは投手部門で森下暢仁、二塁手部門で菊池涼介が受賞しました。森下はプロ3年目で初受賞、この賞ではもはや常連となった菊池は10年連続10回目の受賞となりました。菊池はチーム歴代最多の山本浩二に並ぶ受賞回数になりましたが、今回はカープの歴代受賞者を振り返ってみましょう(文中全て敬称略)。

1972年にダイヤモンドグラブ賞として創設されたこの賞は、守備のベストナインとして、ひとつの権威となっています。1986年から三井物産スポーツ用品販売の協賛となり、MLBのゴールドグラブ賞に似た現在の名称となりました。

カープではこれまで28人が同賞を受賞していますが、今回、菊池が歴代最多に並んだ山本浩二は、外野手部門で1972年の第1回から10年連続で受賞しています。山本浩二といえばミスター赤ヘル、強打の4番打者としてのイメージが強いですが、入団当初は俊足、強肩が売りの選手で、センターからの矢のような送球は「腰の高さのまま、キャッチャーにノーバウンドで届いた」という逸話があるほどです。チームの第1期黄金時代と言われた1970年台後半には、強肩強打で鳴らした助っ人選手で来日以来、4年連続で同賞を受賞したジム・ライトルらと鉄壁の外野陣を形成しました。

山本、菊池に次ぐのが、外野手部門で7回受賞の丸佳浩です。2016年からのリーグ3連覇時に不動のセンターだった丸は、セカンドの菊池、ショートの田中広輔と強固なセンターラインを誇りました。チームが低迷期の2000年から2007年まで、カープの同賞受賞者は2005年の黒田博樹(投手部門)のみで、チームが強い時は守備陣も強力だったということがよくわかります。

外野手では1995年から5年連続受賞の緒方孝市、近年では5回受賞の鈴木誠也が続き、他にも1991年から4年連続の前田智徳、1980年代中盤に4回受賞の長嶋清幸、山崎隆造などがおり、攻走守三拍子揃った外野手は、山本浩二から始まったチームの伝統というところでしょうか。

内野手で菊池に次ぐ5回受賞したのが、同じ二塁手の正田耕三です。1987年から5年連銅賞に輝いた正田は、87年にスイッチヒッターとして史上初の首位打者となり、さらに翌年も打率.340をマークして2年連続で打撃でもタイトルホルダーになっています。

三塁手部門では鉄人・衣笠祥雄、一塁手では低迷期の4番打者としてチームを支えた栗原健太が、ともに3回ずつ受賞しています。少し意外に思えるのが遊撃手部門で、野村謙二郎(95年)、梵英心(10年)、田中広輔(18年)が、いずれも1回のみの受賞。エラーが多かったとはいえ、高橋慶彦も一度ぐらいは受賞していてもよさそうなところですが、ここは川相昌弘(巨人)や宮本慎也(ヤクルト)、井端弘和(中日)など、まさに『守備の名手』が揃うポジションで、「守備のベストナイン」ならではと言ったところでしょうか。

捕手部門では達川光男(当時)が3回、西山秀二が2回、石原慶幸が1回と、それぞれ80、90、2000年代のチームを代表するキャッチャーが受賞しています。忘れてはならないのが投手部門の前田健太で、10年から4年連続を含む5回、同賞に輝いています。

その他では大下剛史(75年、二塁手)、北別府学(86年、投手)、江藤智(96年、三塁手)、ウェイド・ロードン(89年、三塁手)、廣瀬純(10年、外野手)が同賞を受賞。外野手では音重鎮(95年)と赤松真人(10年)が、いずれもフェンス際のスーパーキャッチで話題になりました。

ミスター赤ヘルの球団記録に並んだ菊池は、球団記録の更新、さらには福本豊(阪急)が持つ両リーグ最多の12回も視野に入ってきました。授賞式で菊池は「広島の山本浩二さんを抜いちゃダメなんですよ」と冗談混じりに話していましたが、現に今年の投票では、投票率で山田哲人(ヤクルト)や吉川尚輝(巨人)に迫られており、記録更新はそう簡単なものではなさそうです。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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