【広島好き】「100点満点」のドラフト会議、将来性のある高校生に即戦力の社会人投手。カープのドラフト指名選手紹介

広島好きコラム

新井貴浩新監督の初仕事、10月20日にドラフト会議が行われました。カープはドラフト前に苫小牧中央高校・斉藤優汰投手の1位指名を公表。単独指名に成功し、2位では利根商業高校・内田湘大内野手を指名と、いずれも甲子園未出場ながら将来性を重視した、いわば原点回帰のような上位指名となりました。

ドラフト1週間前に1位指名を公表され、一躍注目の的となった斉藤優汰は189センチの長身から投げ下ろす最速151キロのストレートが武器の本格派右腕。甲子園出場はないですが、3年夏は地区予選2試合で計29奪三振、南北海道大会では2試合で完投勝利をマークしています。

変化球はキレのあるスライダーにフォーク、カーブがありますが、ストレートも含めてどの球種も伸びしろのありそうな好素材で、将来のエース候補として期待されています。カープが高校生投手を1位指名するのは2009年の今村猛、甲子園未出場選手では1999年の河内貴哉以来。母子家庭の育ちで、ドラフト指名後は母親に花束を渡して感謝を伝え、プロでの活躍を誓いました。

2位の内田は高校通算36本塁打の強打に、投手としても最速149キロの速球を投げる『二刀流』選手。守備は一塁が主でしたが、抜群の身体能力で三塁や外野などでもいけそうです。本人の目標は大きく「投手として160キロ、打者としては鈴木誠也さんの記録を抜きたい」と、現在メジャーリーガーとなったチームの先輩の名前を挙げました。甲子園未出場で2位指名、スケールの大きな打撃に強肩、俊足も武器と、確かに本家を彷彿させる大型選手です。

3位以下では、3位に益田武尚（東京ガス）、5位に河野佳（大阪ガス）、6位で長谷部銀次（トヨタ自動車）と3人の社会人投手を指名しました。大瀬良大地や森下暢仁など、近年は大学出身選手が投手陣の中心となっていましたが、栗林良吏が成功したことで、社会人出身投手の株が再評価されてきたのかもしれません。

3人の中でも、3位の益田は1位指名候補にも名前が挙がっていた社会人屈指の本格派右腕です。高校時代は、無名高で本人も目立った活躍はありませんでしたが、中田賢一（元中日など）を輩出した北九州市立大学で、3年秋に4勝をマークしてMVPを獲得。同年の神宮大会予選となる九州選手権で152キロをマークしました。

東京ガスでは先発、中継ぎ、抑えと全てを経験し、チームは都市対抗で優勝、2年目も準優勝と結果を残しましたが、本人は1年目にケガで途中離脱、2年目も決勝戦で連続被弾を浴びて敗戦と、悔しい思いもしています。それでも10月8日に行われたヤクルトとの練習試合では、武器の最速153キロの速球で村上宗隆から空振り三振を奪い、プロのスカウトに猛アピールしました。

5位の河野は地元・広陵高校出身で甲子園にも2度出場した右腕。大阪ガスでは都市対抗にも3度出場と大舞台の経験が豊富で、2021年の日本選手権ではベストナイン、最多勝、最優秀防御率の投手3冠に輝いています。6位の長谷部は先発でもリリーフでもいけそうな長身左腕で、トヨタ自動車では栗林の背番号「12」を継承。江戸時代の蘭学者である杉田玄白の子孫としても話題となっています。

残りの2選手は、4位の健大高崎高校・清水叶人が二塁送球タイム1秒8の強肩でチームの盗塁阻止率改善が期待される捕手。『機動破壊』がスローガンの同校出身らしく50m走6秒4の俊足に高校通算25本塁打の打撃も高評価で、また1人『打てる捕手』が増えるかもしれません。7位の大阪観光大学・久保修は、俊足強肩で高い身体能力が売りの外野手で、これまでプロ野球には縁遠かった大学の出身という点から右の大盛穂というイメージでしょうか。

地元・瀬戸内高校出身や、自身と同名の選手などの育成枠指名の3名を加えて、新監督のドラフト総評は「100点満点」。新しいチームで、10名がどんな選手に育っていくのか、楽しみです。

文：大久保泰伸