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野球 コラム 2022年6月16日

【広島好き】週間MVPはプロ10年目の遊撃手と最年長の投手。『週刊カープいいとこどり』6月7日~12日号

野球好きコラム by 大久保泰伸
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最後の2カードも負け越し、交流戦は5勝13敗で3年連続最下位。チーム防御率(4.38)、打率(.217)、得点(33)、本塁打数(2)の全てが12球団ワーストと厳しい結果でした。

さらに18試合制になった2015年以降、13敗は歴代ワースト2位、33得点はワースト記録を更新した惨状から、リーグ戦再開に向けて救世主となる選手は現れるのでしょうか。

敵地での楽天、西武との6試合、打数こそ少ないですが、3試合に出場して週間打率.429をマークしたのが長野久義です。9日の楽天戦で8番・レフトでスタメン出場すると、自身4月7日以来となるタイムリーを放つなど3打数2安打1四球と活躍。

11日の西武戦は代打で安打を放ちました。今季も代打出場が主となっている長野ですが、昨季終了時までに1419安打をマークし、首位打者経験もあるベテランは、得意の夏場に打線のカンフル剤に期待したいところです。

経験値のあるベテランと言えば、會澤翼は3試合でスタメンマスクを被るなど、4試合に出場して週間打率.300を記録。7日の楽天戦で4月22日以来の打点となるタイムリー、10日にはマルチ安打と復調をアピールしました。先週の2勝はいずれも會澤がフル出場し、好リードで投手を引っ張っています。

ベテランが渋い活躍を見せる中、6試合全てに出場し、週間打率.353をマークしたのがプロ10年目の上本崇司です。5試合のスタメン出場のうち、3試合が不振の小園海斗に代わるショートで、2試合はセンターとマルチぶりを発揮。4試合で安打を放ち、9、10日には2試合連続マルチ安打、犠打も2つ記録しました。交流戦中に急降下した打撃陣で、6月は月間打率.409をマークした上本を野手MVPに選出します。

投手陣では、床田寛樹が9日の楽天戦で7回1失点の好投。相手先発の田中将大に投げ勝ち、リーグトップタイの6勝目を挙げました。床田は2019年の同カードで、4本の本塁打を打たれて2回途中7失点でKOされており、リベンジを果たした結果になりました。

8日に先発した遠藤淳志は7回無失点の快投を見せましたが、打線の援護がゼロで勝ち負けは付かず。9日の九里亜蓮と11日の森下暢仁はいずれも6回2失点と試合は作りましたが、チームは敗れています。リリーフ陣は、栗林良吏が勝利した2試合に登板し、いずれも三者凡退と絶対的守護神ぶりを発揮。特に7日の楽天戦は、3者連続空振り三振と圧巻の内容でした。

野手陣と同様にチームを救ったベテランが、投手最年長の野村祐輔でした。今季初登板となった10日の西武戦では、初回から失点するなど3失点で6回途中降板も、打線の援護で今季初勝利。昨季はプロ初の未勝利に終わりましたが、自身618日ぶりの白星となりました。苦戦が続いた交流戦で、デビューから続く初登板からの連続先発登板の記録を「194」に延ばした「帰ってきた元最多勝右腕」を投手MVPに選出したいと思います。

交流戦前に「6」あった貯金が、終わってみれば借金「2」でのリーグ再開となってしまいました。最後の1週間で存在感を発揮したベテラン勢の活躍が、今後の反抗に不可欠なのは間違いないところですが、もう1つ、先週の試合ではこれからの戦いのカギを握るキーワードがありました。10日の西武戦、勝敗を決めたのは、それまでゼロだった、菊池涼介と坂倉将吾が放った2本のホームランでした。

鈴木誠也という大砲を失った今季、「つなぎの野球」で好スタートを切ったチームですが、試合の流れを一気に変える一発の魅力は、長いシーズンを勝ち抜く上でやはり必要です。ここからは、ルーキーながら開幕スタメンで鮮烈デビューの末包昇大や、昨年プチブレイクを果たした林晃汰、地元・広島出身の大砲候補の正隨優弥など、若きスラッガーの躍動に期待したいところです。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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