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野球 コラム 2022年6月7日

明治大学、東京六大学で一番弱かったチームが挑む3年ぶりの日本一。全日本大学野球選手権

野球好きコラム by 明大スポーツ新聞部
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明治大学、3年ぶり41度目の優勝

「六大学で間違いなく一番弱いチーム」(田中武宏監督)と監督が嘆くほど厳しい状況から始まったシーズンだった。

1月下旬と2月上旬に寮内でクラスターが発生。全体練習すらできない期間が続き、再開したのは3月上旬だった。例年2月下旬から始まるオープン戦も初戦が3月中旬に。投手、野手ともに調整不足が心配された。

さらに「投げられる人を投げさせるしかない」(田中監督)と昨年度のエース・竹田祐投手(令4政経卒・現三菱重工west)が抜けた投手陣。明大伝統のエース番号「11」を着ける投手は現れず、エース不在の異例の年に。頼れる大黒柱がいないことは事実だった。

そんな不穏な空気が立ち込める中、追い打ちをかけるかのように村松開人主将(情コミ4=静岡)が膝の手術により離脱。昨年度春秋リーグトップの打率を誇った強力打線の中軸を担ってきた主将の不在は、不安をより一層感じさせた。決して前評判も高くないまま迎えたシーズン開幕。だが、そんな下馬評を覆し天皇杯をつかみ取ったのが今季の明治大学だった。

一番の課題であった投手陣では、2人の3年生投手が覚醒の時を迎えた。蒔田稔投手(商3=九州学院)は第1先発として台頭。4回戦までもつれた法政大学戦では1回戦目は落とすも、3回戦目では「集中力を持って投げた」と完封勝利。明大の全15試合中、9試合を先発としてマウンドに上がり、4勝1敗、防御率はリーグ4位の1.90をマークしベストナインを獲得した。

また、村田賢一投手(商3=春日部共栄)は第2先発として8試合に登板。勝てば優勝に大手が懸かる立教大学との2回戦では、9回を1人で投げ抜き、優勝へ向け大きな白星を手繰り寄せた。村田の最大の武器は精密なコントロール。その持ち味を存分に発揮し、見事5大学全てから白星を挙げた。

一方の野手陣は、主軸が安定した成績を残した。宗山塁内野手(商2=広陵)は打率4割2分9厘をマークし、首位打者を獲得。2年生ながら主軸として大活躍を果たした。さらに、主砲・上田希由翔内野手(国際3=愛産大三河)も打率3割6分8厘、打点はリーグ2位の15打点を記録。宗山、上田の3、4番コンビだけで28打点を稼ぐなど2人の活躍が大きく光った。

3年ぶりの日本一を目指す

だが、4年生も負けてはいない。副将・山田陸人内野手(法4=桐光学園)は、負ければ優勝が遠のく法大2回戦。9回2死から執念の適時打を放ち、同点に持ち込んだ。さらに、課題とされていた外野手も慶應義塾大学との1回戦で本塁打を放った明新大地外野手(政経4=明大中野)や長南佳洋外野手(文4=八戸学院光星)が3割台の打率を残すなど4年生たちが穴を埋めてみせた。

明大から5人の選手がベストナインに選出されるなど、戦力十分な明大。だが、優勝をつかんだ一番のカギとなったのは、どの大学よりも強い勝ちへの執念だ。今年度の4年生は3年前の頂点を知る最後の世代。もう一度あの頂へ。「自分たちの代で必ず優勝がしたい」(村松主将)。その強い思いが強い原動力になった。

「勝つためには上下関係は要らない」(村松主将)と4年生が率先して準備片付けを行い、下級生が意見を言いやすく、伸び伸びとプレーしやすい雰囲気づくりを徹底。スタメンとして出場する4年生は決して多くなかったが、ベンチから声を張り上げ、常にチームを鼓舞した。そんな思いが後輩たちの力に変わった。誰もが「4年生と優勝がしたい」と口をそろえるように。

優勝へ大手を懸けた立大3回戦。試合は延長までもつれ込み、迎えた11回裏1死一、三塁。これまで、投手陣を引っ張ってきた副将・蓑尾海斗捕手(文4=日南学園)がサヨナラの犠打を放ち、3年ぶり41度目の優勝を決めた。最後まで決して諦めない猪軍団たちの強い執念と、全員の気持ちでつかみ取った優勝。全日本選手権でも、全員野球に注目だ。

◆6月8日(水)神宮球場
・9:00 明治大学vs.神奈川大学

文:宮本果林/写真:西村美夕(明大スポーツ新聞部)

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明大スポーツ新聞部

1953年(昭和28年)創部。現在明治大学において唯一の学生新聞部。明治大学体育会43部の競技成績や、学内外の話題を幅広く紙面・WEBサイト上にて掲載、発信。 現在の部員数は56名。

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