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野球 コラム 2022年5月31日

【広島好き】苦しい交流戦で奮闘する野手キャプテン。『週刊カープいいとこどり』5月24~29日号

野球好きコラム by 大久保泰伸
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試合を作れない先発投手、対戦数の少ない投手に対応できない打線…、心配していたことが現実になりつつある交流戦の最初の2カード。今季もまた「鬼門」という名の落とし穴にハマってしまうのでしょうか。そんな状況を打破できる選手はいないのか、まずは好調な選手を探してみましょう。

6試合で3度の完封負けを喫した打線ですが、5月に入り、高打率をキープしている小園海斗は6試合で週間打率.318、菊池涼介も同じく6試合で週間打率.292と、二遊間コンビはまずまずの成績を残しています。

さらに3試合でスタメンマスクを被った磯村嘉孝も、先週唯一の勝利となった25日のロッテ戦で同点となる押し出し四球を選ぶなど、週間打率.300。4番のマクブルームは6試合で週間打率は.200となっていますが、25日には決勝点となる勝ち越しの2点タイムリーを放ち、翌日は無安打も犠牲フライで1打点、28日にはソフトバンクとの3連戦で唯一の得点となる先制タイムリーを初回に放つなど、ポイントゲッターの仕事はこなしています。

そんな中、絶好調と言えるのが “遅れてきた野手キャプテン”の野間峻祥です。交流戦初戦となった24日のロッテ戦で3安打猛打賞を記録すると、翌日は2安打。26日には2本の二塁打を放つなど、またも3安打猛打賞で3試合連続マルチ安打を記録しました。

27日の初戦から3、6、4安打と打線が沈黙したソフトバンク3連戦でも全ての試合で安打を放ち、交流戦に入って6試合連続安打を継続。26打数11安打で週間打率.423をマークしています。内容的にも、右中間方向への力強い長打あり、反対方向へうまく流し打った一打あり、俊足を生かした内野安打ありと、リードオフマンとして申し分ない働きを見せており、2週連続となりますが、野手の週間MVPはこの人を選ぶしかないでしょう。

投手陣は、24日に先発した床田寛樹が7回3失点とクオリティースタートの投球も、打線の援護がなく敗戦投手に。26日からは九里亜蓮大瀬良大地と今季の好調の原動力となっていた先発陣が試合を作れず、森下暢仁に至っては自己ワーストとなる9失点の大乱調。新戦力のアンダーソンも来日初黒星を喫しました。

そんな先発陣総崩れの状況で、先週、唯一の勝ち試合となった25日は塹江敦哉森浦大輔、そして守護神の栗林良吏と、勝ちパターンの投手がいずれも被安打0の無失点と好投しましたが、彼らの出番はこの日のみでした。

ビハインドの展開を任される投手の中で、最も良い成績を残したのが新外国人のターリーで、4試合を投げて自責点0、ケムナ誠が2試合に登板して週間防御率0.00をマークしましたが、その他の投手は不安定な投球が続き、リリーフ陣も苦しい状況となっています。

そんな投手陣で、必然的に週間MVPとなるのが、先週唯一の勝ち投手となった遠藤淳志です。前回登板の巨人戦では8回まで無失点の投球を見せましたが、栗林が体調不良で登板できなかった事情もあり、プロ初完封を目指した9回に打たれてチームはサヨナラ負けと悔しい結果に終わりました。

その雪辱を晴らすべく、マウンドに上がった25日は、7回途中まで連打なしの被安打4、失点は2本のソロ本塁打のみの投球で、交流戦で自身初勝利をマーク。チームで交流戦の先発投手が勝利を挙げるのは、2019年の九里以来、実に3年ぶりの出来事となりました。

交流戦を6試合終えて、早くも単独で12球団最下位となってしまいました。特にソフトバンクとの3試合で26対1の惨敗は、衝撃の結果と言うしかありません。「今年もまた…」という雰囲気になりつつありますが、もちろんこのまま、単に「苦手」や「鬼門」の言葉で片付けていいわけもありません。今シーズンの結果につながってしまいかねない残り12試合。最低でも勝率5割を目指して、球団や首脳陣には何かしらの対策を打ってもらいたいところです。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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