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野球 コラム 2022年5月30日

【楽天好き】プロ野球選手の育成にとって重要な「骨端線」。管理栄養士・長坂聡子さんに聞く

野球好きコラム by 松山 ようこ
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イーグルスの管理栄養士・長坂聡子さん

最近は大谷翔平や佐々木朗希の裏話として、見聞きしたことがある人も多いかもしれないが、野球選手の育成方法を決める重要な要素の1つに、「骨端線」(こったんせん)というのがある。骨の末端にある成長しきっていない軟骨のことで、レントゲンでこれが見えると、骨が成長期にある(骨端線が開いている)状態だそうだ。

まだ骨の連結部分が軟骨で未成熟なため、ケガのリスクも高い。また、栄養素や成長ホルモンの働きなどで成長するため、楽天イーグルスでも選手たちは入団時に必ず検査をするのだという。選手たちを専任サポートする管理栄養士・公認スポーツ栄養士の長坂聡子さんが、詳しく教えてくれたのでお伝えしたい。

もし、選手の骨端線が開いていた場合、チームのスポーツ栄養士としてどのような指導をするのか。

「骨端線が開いていると骨は成長するし、高校を卒業してすぐの選手は身体自体がまだ成長する可能性があるので、十分な食事量の確保と、特に骨に関係する栄養素としてたんぱく質やカルシウム、ビタミンDといった、強い骨を作るために必要な栄養素をしっかり摂るようにと話しますね」。

「それにプロ野球選手として増量させる身体づくりにしても、成長過程でもあるので、食べた分がそのまま体重になることはなく、成長にも使われてしまいます。また、やはりケガにつながる可能性もあるため、チームのトレーナーやトレーニングコーチとも相談しながら、体重をどう増やしていくか、身体をどうつくっていくかなど、これまでの他の選手の成長過程のデータなども見ながら、計画を立てていきます」。

骨の成長といえば、カルシウムのイメージがあるが、たんぱく質が非常に重要という。そもそもアスリートにとって、たんぱく質は日々欠かせない重要な栄養素だ。長坂さんの指導によって、選手たちはそれぞれの身体づくりの目標やコンディションに応じて、工夫して摂っているのだという。

「たんぱく質=鶏ささみ、鶏むね肉、というイメージがあるかもしれませんが、たんぱく質が多く含まれている食品には、それぞれ他にもアスリートに必要な栄養素が含まれているので、目的に合わせて、選手の数だけ摂り方を工夫する必要があるんです」。

「例えば、体重や体脂肪の量を落としたいというのであれば、鶏のささみやむね肉を油をなるべく使わず調理したメニューでいいと思いますが、体重を増やしたい選手であれば、鶏のささみやむね肉などだけではなく、鶏もも肉の唐揚げなどで脂質も一緒に摂って、たんぱく質だけでなく摂取するエネルギー量も増やすということがあります」。

「また、疲労回復を重視するなら、ビタミンB1が多く含まれている豚肉がいいですし、発汗量が多く鉄分を補うことを考えると牛肉がいいです」。他にも、一般には、野菜から食べるというベジファーストが浸透しているが、選手たちにとっては禁忌なことも。

「ベジファーストは、野菜に含まれている食物繊維を先に摂ることで糖質の吸収を抑え、血糖値の急上昇を防ぐことが目的とされていますが、その効果が選手たちに必要なのか、と考えると実は逆なんです。エネルギー補給や早くエネルギーを回復させるためには、いかに早く体内に糖質を吸収させるかということが重要になりますから。そのため、むしろ野菜は最後に食べるようにとアドバイスする場合もあるんです」。

「痩せやすく太りにくい選手にも、野菜でお腹いっぱいになってしまうとエネルギーが十分に取れなくなってしまう可能性があるので、『野菜はデザートと思って最後に食べて』って言ったりします。試合前だと、できるだけ試合で使うためのエネルギーを取ってもらいたいので、サラダをたくさん食べるよりも、お米や麺など糖質が多く含まれている料理を中心に、お肉や卵などたんぱく質が多く含まれている料理をプラスして取ってと伝えています」。

「そもそもシーズン中は、試合を中心に考える必要があります。そのため、食事の取り方についても、それ特有になるんですね。だから『食育』とは違って、3食必ず野菜を食べましょう!という指導ではなく、エネルギーを蓄える必要があるのか、疲労を回復させたいのかなど、目的を考えて食事を選ぶよう意識してもらうようにしているんです」。

堀内謙伍選手

最後に高校を卒業後に入団して以来、地道に身体づくりをして、見事にプロ野球選手らしい進化を見せた選手の名前を教えてくれた。7年目の堀内謙伍だ。私も何度か取材した選手の1人なので、年を重ねるほどに大きくなっていった姿をよく覚えている。3年ほど前には、生き生きとウエイトトレーニングに取り組んでいることを教えてくれたことがある。長坂さんはうなずいて言う。

「そうですね。そのぐらいから頑張って身体を大きくしていますね。でも、実はここ数年は体重を少し落としていて、トレーニングだけではなく食事内容にも気を配りながら、筋肉量を増やしているんです。以前、ウエイトトレーニング中の後ろ姿を見た時、背中がかなり大きくなっていたので驚きました」。

選手にとって身体は何よりの資本。長坂さんのようなプロフェッショナルなスタッフのサポートを得られることで、よりハイレベルなパフォーマンスが発揮できるのだ。他にも、様々なプロが裏方で選手たちを支えているので、またお伝えしていきたい。

取材・文:松山ようこ/写真提供:東北楽天ゴールデンイーグルス

松山ようこ

松山 ようこ

フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo

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