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野球 コラム 2022年5月17日

【広島好き】先週のMVPは開幕の不振から脱したあの選手と、完封勝利のあの投手。『週刊カープいいとこどり』5月10~15日号

野球好きコラム by 大久保泰伸
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甲子園、マツダスタジアムで6連戦の予定も、2試合が雨で中止。屋根のない球場が多いセ・リーグでは、この時期は天候も重要な要素となってきます。昨年あたりまでとは異なり、今季はマツダスタジアム開催試合での雨天中止の判断が早くなっているような気もしますが、いずれにしても、先発ローテーションや好不調の選手への影響など、無視できない要素であることは間違いでしょう。

34年ぶりとなる開幕からの阪神戦7連勝に貢献したのがマクブルーム。初戦に0-0の均衡を破る2ラン本塁打を放って天敵・西勇輝を攻略すると、11日の試合でもマルチ安打を記録。今季の阪神戦での対戦打率は.444となり、ヤクルト戦も含めた4試合全てで安打を放ちました。頼れる4番は4月13日から24試合連続出塁を継続中で、週間打率も.400をマークしています。

阪神との初戦で1番、ヤクルト戦では7番で3試合にスタメン出場した中村健人は、14日にタイムリーを含む2安打、守備でもフェンス側の打球を背走してキャッチするなど攻守で活躍。さらに翌日はプロ初本塁打に初の猛打賞、2四球も含めて6打席で5回出塁と大暴れしました。

坂倉翔吾が捕手で出場した2試合では、三塁手としてスタメン出場した田中広輔が11日に今季初のマルチ安打を記録するなど、2試合で打率.300と復活をアピール。その坂倉は14日に4月28日以来となる今季3号本塁打を放つなど、週間打率は.267ですが、出塁率と長打率を足したOPSは.922と高い数字を残しています。打撃以上に強調したいのが14日の試合。捕手でスタメン出場した坂倉は、3回の守備で山崎晃太朗の二盗を阻止して開幕から39試合目、12球団唯一のチーム盗塁阻止率.000にようやくピリオドを打ちました。

週間打率4割をマークする選手が複数いる中、覚醒モードに入ったのが開幕から不振に苦しみ続けた小園海斗です。10日に2試合連続となるマルチ安打を記録すると、11、14日はカードをまたいで2試合連続で2本の三塁打を含む3安打猛打賞と活躍。15日も2安打で5試合連続マルチ安打となり、週間打率は.556。前回は激励も込めての選出でしたが、今度こそ文句なしの野手週間MVPと言えるでしょう。

投手陣は床田寛樹九里亜蓮森下暢仁がクオリティースタートと、相変わらず先発陣が安定した投球。来日2度目の登板となったアンダーソンが6回途中5失点で降板した15日の試合では、打者1人を抑えた塹江敦也の後、7回から矢崎拓也ケムナ誠栗林良吏森浦大輔薮田和樹ターリーが延長12回まで1イニングずつを無失点に抑えて引き分けに持ち込み、5人の投手がホールドを記録しました。

週間成績では森浦が3試合に登板して無失点、ケムナが2試合無失点。ターリーは14日の試合で村上宗隆に手痛い一発を浴びてしまいましたが、11日には1点リードの2死満塁の場面で登板して佐藤輝明を3球三振に打ち取るなど、2試合では無失点の投球で、貴重な左のリリーフとして存在感を発揮し始めています。

ブルペン陣の頑張りも目立ちましたが、週間MVPとなると、やはり今季初の完投勝利を、昨年9月以来となる自身2度目の完封勝利で飾った床田を選出するしかないでしょう。8回まで散発の3安打、三者凡退が4イニングとほとんど危なげない投球。9回には無死から連打で1・2塁のピンチを招きましたが、マルテ、佐藤輝、大山悠輔のクリーンアップを打ち取り、9回126球、5安打、1四球、奪三振7の快投で今季4勝目をマークしました。

打撃でも5回に安打を放った床田は、続く中村健の左前打での走塁の際、二塁を回ったところで足を滑らせて転倒。ユニフォームが泥だらけで顔まで汚れるほどのアクシデントでしたが、ヒーローインタビューの「バリ恥ずかしかったです」という広島弁は、先週のアンダーソンに続く記憶に残るものとなりました。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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