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野球 コラム 2022年4月5日

【広島好き】地元開幕戦で最高の仕事、そして左腕エース誕生の期待。「週刊カープいいとこどり」

野球好きコラム by 大久保泰伸
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球団タイ記録の開幕6連勝から、長らく鬼門だったナゴヤ(バンテリン)ドームでの3連敗。波乱含みの1週間になりましたが、開幕3カードを終えて貯金3の2位は上々のスタートと言えるでしょう。明るい材料と同時に、徐々に課題のようなものも見えてきた6試合、とりあえず「いいとこ」どりで今週のMVPを選出していきましょう。

入場制限がなくなり、2万8028人がマツダスタジアムのスタンドを埋めた地元開幕戦は、最高の結末になりました。ヒーローとなったのが西川龍馬で、1点ビハインドの一死満塁の場面で、前進守備のライトの頭上を越えるサヨナラ打を放ちました。西川は翌日の試合でも3安打で今季初の猛打賞を記録し、開幕5試合連続安打でマルチ安打が4試合と、好スタートを切ったチームの立役者となりました。

そのサヨナラ劇のお膳立てをしたのが、この日からスタメン出場となった新外国人のマクブルームです。9回に先頭打者として来日初安打を記録すると、翌日は4番に入って来日初打点を含む2安打を放ち、第3戦も2安打1打点。決勝打を放った第3戦は、来日初のお立ち台にも立ちました。

数字以上にトータルな意味で評価したいのが上本崇司です。出場した5試合の打率は.267ですが、地元開幕戦では申告敬遠を含む3四球。9回にはフルカウントから6球ファールで粘って四球をもぎ取り、サヨナラ劇につなげました。ここまで今季の「つなぐ野球」の象徴的存在となっていますが、完封負けした2日の試合では、いずれも先頭打者として投手を強襲する安打を放ってチャンスメーカーとしても機能しています。

投手陣では、地元開幕戦で矢崎拓也が衝撃のプロ初勝利以来となる勝利投手になりました。翌日の試合では、先発した床田寛樹が7回を投げて散発の4安打、無四球で失点はソロ本塁打の1点のみで勝利投手と、昨季までとはひと味違った投球を見せました。

第3戦の勝利投手になった塹江 敦哉は、敗れた2日の中日戦でも延長10回の登板で2死2・3塁のピンチを招きましたが、無失点に抑えてホールドを記録しています。その他でも、復活を目指す中崎翔太が3試合に登板して2ホールド、島内 颯太郎も2試合を投げて無失点で2ホールドと、中継ぎの形は見えてきました。

先週はメモリアルな出来事も多くありました。地元開幕戦では、菊池涼介が3回無死1塁の場面で送りバントを決め、NPB史上8人目の300犠打を達成。通算112本塁打の菊池涼は史上2人目、セ・リーグでは初となる100本塁打&300犠打を果たしました。

同試合では、ドラフト1位ルーキーの黒原拓未がプロ初登板。1点ビハインドの7回2死2・3塁と厳しい状況でしたが、糸原健斗を相手に3球ボールが続いた後、149、150キロのストレート見逃しでフルカウントとした後、カットボールを振らせて三振に打ち取っています。翌日の試合では、ドラ3の中村健人がプロ初安打を記録。7回に代打で登場し、伊藤将司のツーシームをセンター前に弾き返しました。

中日との初戦では大瀬良大地がNPB史上361人目の記録となる1000投球回数を記録しました。翌日の試合では、ルーキー末包昇大がプロ初本塁打。笠原祥太郎から広いバンテリンドームの左中間スタンドに飛び込むメモリアル弾となりました。

投打とも特出した選手が不在の中、週間MVPは野手が久々の大観衆の前で最高の仕事をやってのけた西川、投手は左腕エース誕生の期待も感じさせた投球を見せた床田といったあたりでしょうか。

最後に余談ですが、球団タイ記録の6連勝を決めた翌日、久々に話した広島の局アナが発した「前回の開幕6連勝の時、最終的にチームは最下位だったんですよね」という言葉が、ちょっとだけ心に引っかかった1週間でした。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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