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野球 コラム 2022年3月10日

【横浜好き】3ケタを背負った育成選手の奮闘『週刊ベイスターズいいとこどり』

野球好きコラム by 大久保泰伸
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横浜DeNAベイスターズ

3月10日時点で8試合を消化して6勝1敗1分と、圧倒的な強さでオープン戦首位を快走するベイスターズ。開幕4番が確定した牧秀悟を筆頭に、投打に好調な選手が多い中で、3ケタの背番号を背負った育成選手の奮闘が目立っています。

横浜スタジアムでの今季最初のオープン戦となった広島との2連戦では、昨季までのチームに欠けていた機動力を武器とした2人の野手が躍動しました。まず、2日の試合で活躍したのが、昨年の育成ドラフト1位で入団した村川凪。4回に四球で出塁した伊藤光の代走として登場すると、次打者の桑原将志の3球目に盗塁を決めました。

さらに翌日の試合では、育成3位入団の大橋武尊が、4回にヒットで出塁した梶原昂希の代走として出場し、次打者のオースティンの打席で二盗、三盗を立て続けに成功させました。7回には先頭打者として打席に入り、8球粘ってレフト前に安打を放つと、相手投手のボークを誘って進塁し、内野ゴロと犠牲フライでホームに生還。続く8回にも1死1・2塁のチャンスでサードへの内野安打を放ってチャンスを拡げました。

ともに1日限定の一軍で自らの武器をアピールし、三浦大輔監督を喜ばせた2人ですが、昨季は独立リーグで自慢の快足を披露していました。村川は四国ILplusの徳島に所属し、63試合で40盗塁をマークして盗塁王のタイトルを獲得。大橋はルートインBCリーグの茨城所属で28盗塁を記録しています。

同じ独立リーグ出身の2人ですが、広島の如水館高校から四日市大学を経て独立リーグと、比較的オーソドックスなルートをたどった村川に対して、大橋はこれまでのプロ野球選手では皆無と言えるほど、異色な経歴の持ち主です。東京の中心である銀座で生まれ育ち、中学では野球部に所属せず、トレーナーを雇って個人練習の日々を過ごしました。

卒業後も日本の高校には進学せず、メジャーリーガーも多く輩出している米国のIMGアカデミーに進学。野球だけでなく、様々な有名スポーツ選手が練習拠点とするほど充実した環境で、五輪の金メダリストを育てた陸上のコーチにも指導を受け、6秒台だった50メートル走のタイムは5秒8まで短縮されました。

米国で1年間を過ごした後、父親の知人を通じて親交のあったアレックス・ラミレス前監督の紹介で茨城の入団テストを受験し、1年でNPB入りを果たしました。

野手の2人は,、今季はひとまず二軍で実績を積むことになりそうですが、6日のオリックス戦で登板した石川達也は、支配下登録から開幕一軍の声もあるほど高評価を受けています。6回から2番手として登板した石川は、昨季本塁打王の杉本裕太郎から空振り三振を奪うなど、パ・リーグ王者相手に2イニングを投げて被安打1、3奪三振、無四球の好投で支配下へアピールしました。

横浜生まれで、地元きっての名門校である横浜高校出身の石川は、小学生の頃に球団イベントに参加し、当時は現役だった三浦監督と交流した経験も持つ生粋のハマっ子です。

横浜高校3年時には、藤平尚真(現楽天)との2枚看板で甲子園に出場し、法政大学でも鈴木昭汰(現ロッテ)らとともにドラフト上位指名の評価を受けていましたが、4年春に左手首を骨折して育成での指名となりました。プロ1年目の昨季はイースタン・リーグでチームトップの4勝、防御率2.35をマークし、支配下登録は目前と言われています。

昨季も育成ドラフトで3名を指名するなど、現在は故障リハビリ組の選手と外国人選手も併せて、11名の育成選手がチームに所属しています。最近10年間で6度の日本一に輝いたソフトバンクは、早い時期から大量の育成選手を獲得し、他の追随を許さない選手層の厚さを誇るチームとなりました。

育成から足という一芸を武器に、侍ジャパンの一員まで上り詰めた周東右京は、村川と大橋にとって理想の将来像と言えるのではないでしょうか。ベイスターズから第2の周東、第2の千賀滉大が登場する日も、そう遠くないのかもしれません。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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