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野球 コラム 2022年3月4日

【横浜好き】ホーム初戦、みどころ満載の試合『週刊ベイスターズいいとこどり』

野球好きコラム by 大久保泰伸
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横浜DeNAベイスターズ

オープン戦が始まりました。3月2日は横浜スタジアムでの今季初戦でした。吹く風はまだ冷たく、日陰になると寒さも感じる天候でしたが、ベイスターズの“いいとこ”ばかりで、みどころ満載の試合となりました。

まず、投手陣は3人が登板して9回1失点。先発ローテ入りを目指す左腕、即戦力と期待されるルーキー、リリーフのキーマンとなりそうな右腕と、それぞれが持ち味を発揮した。

先発した坂本裕哉は5回を投げて被安打2、5奪三振で無失点。3回に無死満塁、4回には無死1・3塁とされたが、いずれも併殺でピンチを切り抜けた。坂倉将吾、西川龍馬が不在の広島打線が若手中心のメンバーだったことや、相手の強烈な当たりが野手の正面を突く幸運もあったが、ここまでの実戦3試合で12イニングを1失点と安定した内容で、開幕ローテ入りに大きく前進した。

2番手で登板した徳山壮磨は、早稲田大学からドラフト2位で入団した右腕。2イニング目に3連打で無死満塁とされたが、併殺打の間の1点のみに抑え、2回1失点で本拠地デビュー戦を終えた。最速147キロのストレートは力があり、走者を許しても併殺打2つと崩れることなく、合格点と言える内容だった。

8回から登板した伊勢大夢は、2イニングを被安打0、無失点で試合を締めくくった。変わりばなの先頭打者に9球粘られて四球を与え、続く打者にも2球ボールが続いたが、145キロのストレートで2球ストライクを取った後、最後はスライダーでセンターフライ。

続く、ルーキー中村健人との対決は、初球のスライダーでショート併殺打に打ち取った。9回は三者凡退と危なげない投球で、守護神争いへアピールした。

野手も、開幕一軍を狙う若手やスタメン出場した主軸選手、さらに期待の移籍選手が、軒並み結果を残した。

12安打9得点の打線で、もっとも強烈なインパクトを残したのが、途中出場の細川成也。6回無死1・3塁の場面でこの日最初の打席に立つと、広島3番手の玉村昇悟の真ん中高めに甘く入ったストレートを逃さず、左中間最深部のスタンドに叩き込んだ。

プロ4年目で初の開幕一軍を狙う知野直人は「6番・ショート」で、ただ1人フル出場を果たし、第1打席の四球から安打、二塁打と3打席連続出塁。ライバルである森敬斗が故障で開幕絶望となった定位置奪取へアピールした。

もう1人、途中出場の楠本泰史も、安打と犠牲フライで1安打1得点と活躍。さらに二軍から1試合限定のオープン戦出場となった育成ルーキーの村川凪は4回に代走で二盗を決め、昨季四国ILで盗塁王に輝いた自慢の足を披露した。

桑原将志、牧秀悟、宮崎敏郎、ソトが先発出場した主力組では、宮崎が初回の先制タイムリーから2打席連続安打と早くも全開モード。ソトは最初の打席で犠牲フライを放って打点を記録し、4番で出場した牧は無安打も、2四球を選んで貫禄を示した。

北海道日本ハムからノーテンダーで移籍した大田泰示は「2番・センター」でスタメン出場。第1打席で安打を放ち、高校時代から馴染みのある本拠地でのデビューを飾った。

その他にも神里和毅、大和、出場した3人の捕手(嶺井博希、山本祐大、戸柱恭孝)がいずれもヒットを放つなど、出場した野手18人中、10人が安打を記録した。

JR関内駅のホームから降りる階段の横に並んだ「横浜反撃」のスローガンの下に開催された本拠地初戦は、新シーズンへの期待が、否が応でも高まる結果となりました。

攻撃では反対方向への打球が目立ち、2本の犠飛など得点圏での最低限の打撃、走塁の意識向上で1・3塁の状況を作る理想的な展開など、明らかに“石井琢朗効果”と思える形が目につきました。軽度の脳梗塞で心配された斎藤隆投手コーチも試合前には元気な姿を見せ、投手陣にも今後は新コーチ効果が期待されます。

昨年に続いて今季も最下位から優勝チームを、そんな妄想も夢ではないと思えるスタートとなりました。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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