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野球 コラム 2022年2月14日

【広島好き】打撃のいいカープ歴代エースの系譜『週刊カープいいとこどり』

野球好きコラム by 大久保泰伸
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MLBが今季からナショナル・リーグの指名打者(DH)制の導入を決定しました。これを受けてカープからアメリカに移籍し、現在はミネソタ・ツインズに所属している前田健太が自身のツイッターで、「私はもうMLBでホームランが打てなくなってしまいました」と日本語と英語の両方で投稿しました。

PL学園高時代は4番打者として打撃も超高校級だった前田は、カープでの9年間で通算打率.147、2本塁打を記録しています。一軍デビューした2008年に、旧市民球場の最後の公式戦でプロ初本塁打を放ち、日本最後の年となった2015年にはマツダスタジアムでシーズン終盤に本塁打を記録。さらにMLBのデビュー戦でもメジャー唯一となる本塁打と、節目の試合で自慢の打撃を披露していました。

この前田のように、カープの歴代エースには、打撃もいい選手が多くいました。球団初の200勝投手となった北別府学は、プロ19年間で通算173安打を放って打率.135、5本塁打、55打点を記録しています。

デビューした1976年から引退する1994年まで毎年打点を記録し、現役最終年を除く、18年連続で安打を放ちました。1988年は27試合(11勝)で自己最多となる17安打で打率.230、翌年は23試合(9勝)で打率.240をマークし、出塁率も.306と野手顔負けの数字を残しています。

現監督の佐々岡真司も打撃のいい投手でした。18年の通算成績は96安打で打率.146、2本塁打、38打点。ルーキーイヤーから本塁打を放つなど打率.152をマークし、1993年(32試合、69打席)、1995年(46試合、33打席)、1998年(31試合、39打席)、2000年(21試合、55打席)と4シーズンで打率2割以上を記録。1995年は長打率.300と一発長打を秘めた打力の持ち主でした。

強打者の投手と言えば、2008、09年に所属したコルビー・ルイスを忘れるわけにはいきません。2シーズンの打率こそ.106、.173と2割台に達していませんが、2008年は2本塁打、2009年は3本塁打とパワフルな打撃は、相手投手の脅威となりました。

その本塁打も、2009年には開業したばかりのマツダスタジアムで、推定飛距離150メートルの左翼スタンド後方にあるネット直撃弾、さらに昨年、佐藤輝明(阪神)で話題になった横浜スタジアムの場外弾を、左翼場外に放つなど、193センチ、104キロの堂々とした体格の打撃は迫力満点でした。

現在、カープの投手陣で本塁打を記録しているのは野村祐輔と大瀬良大地の2人だけで、それぞれ1本ずつと、時代が違うとは言え、やや寂しい状況と言わざるを得ません。

ルーキーイヤーに2本の二塁打を放つなど、打率.154、3打点を記録した森下暢仁や2020年に15試合(30打席)で打率.185、昨季は16試合(28打席)で打率.200と、打撃が向上している床田寛樹などにエースの系譜を期待したいところですが、NPBでもセ・リーグのDH制導入を望む声があり、何かとMLBに追随する傾向が強い現状では、日本でも投手が打席に立たない日が来るかもしれません。

ドラフト4位入団の田村俊介(愛工大名電卒)はプロ入り前に二刀流挑戦を熱望しており、一軍キャンプに合流した直後の紅白戦で素晴らしい打撃を披露しましたが、今のところは野手に専念する方針となっています。

エースで4番、というのは時代遅れなのか、大谷翔平でなければできないことなのか。いずれにしても“9人目の打者”と言われる投手の打撃に、これからも注目したいと思います。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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