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野球 コラム 2022年2月7日

【広島好き】裏方として“第二の人生”に奮闘している元選手たち「週刊カープいいとこどり」

野球好きコラム by 大久保泰伸
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広島好きコラム

春季キャンプがスタートしました。新しい年が始まるわけですが、毎年この時期になると、各球団から報道機関向けのメンバー表が送られてきます。選手名鑑を作成する際には、この表をもとに首脳陣と選手の出身校や生年月日、身長、体重などを記載するわけですが、この表に記載されているのはユニフォームを着ている人たちだけではありません。

打撃投手やトレーナー、スコアラーや広報など、いわゆる裏方と呼ばれる方々の名前も載っているのです。近年は選手のセカンドキャリアとして、いわゆる“背広組”と呼ばれる人たちにも元選手が多く、ファンにとって懐かしい名前も多く見られます。今回はこの表から“第二の人生”に奮闘している元選手を紹介したいと思います(文中敬称略)。

まず、報道陣と接する機会も多い広報は河内貴哉。現役時代は球団のレジェンドである大野豊氏の背番号24を受け継いだ大型左腕として期待されましたが、大きな故障もあり、プロ16年間の通算成績は166試合の登板で16勝28敗、防御率5.06に終わりました。

國學院久我山高校では甲子園出場はありませんでしたが、ドラフトでは広島と中日、大阪近鉄の3球団が競合。甲子園出場がない高校生の1位競合は、あの江夏豊氏以来という期待の星を、当時の達川晃豊(現在は光男)監督が見事にクジを引き当て、懐に忍ばせていたタバコのラッキーストライクの箱をテレビカメラに向けて高々と掲げたシーンは印象的でした。

入団時から将来の左腕エースとして期待され、5年目の2004年には自己最高となる8勝を挙げましたが、その後は投球フォームが定まらず制球難に苦しみ、2008年には左肩を痛めて手術を余儀なくされました。

その後は長いリハビリ期間に入り、育成契約も経て2012年に支配下復帰。中継ぎ登板で2904日ぶりに一軍で勝利投手となり、翌年は開幕から21試合連続無失点と見事な復活劇を見せました。2015年限りで現役引退して一軍広報となりましたが、シーズン中の勝ちゲームで、ヒーロー選手を誘導する姿をテレビなどで見ている人も多いのではないでしょうか。

他球団の試合観戦に赴き、選手のデータ集積や分析などの仕事を行うスコアラーには、岩本貴裕の名前があります。広島市東区出身で広島商業高校卒の岩本は、“がんちゃん”の愛称で地元では特に愛された選手でした。広島商ではエースで4番として甲子園に出場。亜細亜大学に進学し、東都大学リーグを代表するスラッガーとして2008年ドラフト1位で、相思相愛だったカープに入団しました。

当時のチームは新井貴浩が阪神に移籍した直後で、プロ2年目の2010年には14本塁打をマークするなど、栗原健太とともに次代の4番打者として期待されました。しかし、好不調の波が激しく、なかなか結果が残せない状態が続き、結局、規定打席到達したシーズンがないまま、2019年限りで現役生活に幕を閉じました。

プロ11年間の通算成績は打率.253、31本塁打、131打点でしたが、毎年のように夏場の1ヶ月間など、短期間に驚異的な爆発力を見せる時期があり、今度こそはと何度も夢を見させる選手でした。個人的に最も印象に残っているのは、チームが初のクライマックスシリーズ進出を果たした2013年。阪神とのファーストステージの初戦、9回に代打でダメ押しの3ラン本塁打を放ち、ファイナルステージ出場に貢献した試合でしょうか。

温和な性格で誰からも愛されたキャラクターでしたが、打撃コーチとして数々の名選手を育てた内田順三氏の「指導者として最大の後悔。名球会級の才能だった」という言葉は、多くのファンも同じ気持ちだったのではないでしょうか。

その他にも、編成・ファーム担当部長には山根雅仁、一軍担当マネージャーには篠田純平と、かつてのドラフト1位選手の名前があり、他にも「あー、あの選手が」という人たちが大勢います。もっと紹介したいところですが、長くなってしまったので、反響でもあるようならまた別の機会に、ということで今回は終わりにしておきます。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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