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鉄鋼メーカー対決、北信越の雄と優勝候補の対戦、優勝経験のある2チームの激突。広島、日本ハムのドラフト指名選手も登場。都市対抗野球大会5日目・12月2日(木)のみどころ
野球好きコラム by 大島 和人12月2日(木)は1回戦3試合
11月28日(日)に開幕した第92回都市対抗野球大会。12月2日(木)も引き続いて1回戦の3試合が行われる。
◆10:00 JFE東日本(千葉市)vs.日本製鉄東海REX(東海市)
JFE東日本は南関東第3代表として、3年連続の出場。2019年の第90回大会で初優勝を果たしたものの、昨年は初戦敗退を喫している。
今大会も2次予選は5試合のチーム防御率が4.60と苦しんだが、新戦力の台頭は頼もしい兆候。山田啓太は新人ながら東海大相模高校、白鴎大学のエースだった実戦派左腕だ。大柄ではないものの、140キロ台中盤の速球を投げ込む力強さもある。
須田幸太は元DeNAベイスターズの35歳。2年前は元プロとして史上初めて橋戸賞(MVP)に輝いた右腕だ。2年前のエースだった右腕・本田健一郎も健在。加えてオールフロンティアからの補強で技巧派の好左腕・高橋京介も加わっている。それぞれの調整がうまく行けば、かなり人材豊富な投手陣だ。
打線は峯本匠、平山快、岡田耕太といった2年前に新人として大活躍をした“黄金世代”が名を連ねる。平山は4番サードを任され、2次予選は打率4割、7打点とチームを引っ張った。
日本製鉄東海REXは東海第6代表で、激戦区における最後の1枠を勝ち取った粘りのチーム。4年ぶりの出場で、投手陣は都市対抗経験のない入社1~3年目が主力を占めている。浦本千広は九州産業大学から入社して2年目で最速152キロ。第6代表決定戦の先発を任されたエース格の右腕だ。他にも3年目の右腕・続木悠登、新人右腕・孕石幸寛と“都市対抗デビュー”の期待される本格派が揃う。
吉位翔伍は中京学院大学から入社した左打ちの内野手で高校、大学の所属、選手としてのタイプが吉川尚輝(巨人)と重なる。2次予選は3番サードで起用され、4割を超す打率で打力を証明している。阿保拓真は入社2年目ながら正捕手として起用され、2次予選の7試合で打率.346を記録した。
◆14:00 伏木海陸運送(高岡市)vs.大阪ガス(大阪市)
伏木海陸運送は近年レベルアップが著しい北信越の代表。2年連続の都市対抗出場だが、今年は頼もしい新エースがいる。西納敦史は三菱重工名古屋で活躍し、都市対抗での登板経験も豊富な30歳の右サイドハンド。チーム統合・再編の中で、富山大学出身の西納は伏木海陸運送入りを決断した。2次予選の準決勝、決勝は中0日だったものの彼は連投。合計14イニングを無失点に抑え、東京ドーム行きの立役者になった。
2次予選では森川未来、島快莉、番場駿、乙野賢人と4番までの上位打線が揃って打率3割超え。3番ショートの番場は昨年第91回大会の1回戦で4打数3安打を記録している。昨年はパナソニックに1-2と惜敗。今大会も強敵との対戦だが、念願の初戦突破が掛かる。
大阪ガスは社会人野球日本選手権を2連覇中で、近畿第1代表。今大会の優勝候補としてまず名の挙がるチームだ。河野佳は広陵高校から入社してまだ2年目の20歳だが、チームのエースとして起用されている。140キロ台後半の速球と変化球を駆使し、制球力も高い。
右腕・温水賀一、左腕・高橋拓巳(日本生命からの補強)は2018年の第89回大会で優勝に貢献し、優秀選手賞を獲得している。また、阪本大樹は2019年の日本選手権で最高殊勲選手(MVP)に輝いた右腕。決勝までの5試合を難なく切り盛りできる投手陣だ。
野手陣も人材豊富で4番ライトの末包昇大は広島東洋カープ6位のスラッガー。大卒1年目ながらショートのレギュラーを掴んだ児玉亮涼は守備で注目されている。さらに日本生命の正捕手・古川昌平。三拍子揃った外野手・上西主起も補強された。
2018年の優勝時は近本光司(阪神タイガース)、小深田大翔(東北楽天ゴールデンイーグルス)が大活躍を見せてプロへの足がかりを掴んだ。「2022年のドラフト候補も探す」という意味でも、楽しみなチームだ。
◆18:00 NTT東日本(東京都)vs.トヨタ自動車(豊田市)
NTT東日本の投手陣は特定のエースこそ不在だが、高いレベルで競い合う状況だ。2次予選では國學院大學から入社して1年目の右腕・上出拓真が、4試合中3試合で先発しているが、防御率が6点台とやや苦しんだ。
ただし、リリーフ陣は豊富だ。大竹飛鳥は36歳の大ベテランで、都市対抗の“名物”的な右腕。140キロ台中盤の速球とスライダー、打者を飲み込む強気に加えて、ロジンバッグを豪快に使うマウンドアクションもおなじみだ。2次予選では優秀選手賞を受賞している。鷺宮製作所から左腕・野口亮太、本格派右腕・小孫竜二も補強されており“持ち札”は十分だ。
日本ハム9位指名の上川畑大悟
打線はショートの上川畑大悟が北海道日本ハムファイターズの9位指名を受けている。167センチの小兵だが、スピードあふれる守備、走塁は社会人でもトップレベルだろう。第3代表決定戦の延長10回には、出場を決めるサヨナラ安打も放っている。中村迅は法政大学から入社して1年目ながら、2次予選は3番サードで起用された注目株。上川畑に次ぐ4打点を記録している。
トヨタ自動車は昨年のエース栗林良吏がプロに進み、新人ながら広島のクローザーとして大活躍。東京五輪の金メダルにも貢献している。栗林の穴はあるかもしれないが、それでも人材は豊富。
東海2次予選では大卒2年目の渕上佳輝が新エースとして台頭し、第3代表決定戦は6イニングのロングリリーフで胴上げ投手になった。渕上とともに150キロ級の速球を持つ大型右腕・嘉陽宗一郎、技巧派左腕・諏訪洸なども、予選で重要な場面を任されている。
コーチ兼捕手でプロ野球経験のある細山田武史、“ミスター社会人”と称される右腕・佐竹功年といった“オーバー35”のベテランは出場機会こそ減っているがベンチを締める。今もチームのピンチを救う実力はあるだろう。
広島3位指名の中村健人(トヨタ自動車)
中村健人は4番センターを任され、広島の3位指名を受けた右の強打者。他にも逢澤崚介、樺澤健と同等レベルの人材がラインアップに名を連ねる。和田佳大は2次予選で打率.462を記録しつつ、守備で“魅せる”ショートストップ。源田壮亮ら名ショートの系譜を持つチームの歴史に、名を残す存在だろう。
文:大島和人
大島 和人
1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty)
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