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野球 コラム 2021年11月26日

【横浜好き】『週刊ベイスターズいいとこどり』号外。今シーズンのサヨナラ勝ちを振り返る

野球好きコラム by 大久保泰伸
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横浜DeNAベイスターズ

日本シリーズ、今年はリーグ優勝チーム同士の対戦に相応しく、白熱した接戦が続いています。特に第1戦は、オリックスが9回に2点ビハインドを跳ね返してのサヨナラ勝ちと劇的な結末となりました。

ホームゲームの観戦で、おそらく最も盛り上がる勝利であるサヨナラ劇。今回はベイスターズの今季のサヨナラゲームを振り返ってみましょう。

今季初のサヨナラ勝ちは交流戦に入った6月6日の千葉ロッテ戦。雨の影響で試合開始が遅れたが、2回にベイスターズがオースティンと牧秀悟の2本のソロ本塁打で幸先良く先制。

今季初先発となった今永昇太が、6回1失点の好投で勝ち投手の権利を持って降板したが、8回に3番手として登板した山崎康晃が3者連続二塁打を許して2点のリードを守れなかった。それでも3-3の同点で迎えた9回裏、先頭打者の宮崎敏郎がヒットで出塁し、2死2塁となった場面で、大和が前進守備のレフトの頭上を越えるフェンス直撃の二塁打を放った。

この日の試合前まで得点圏打率.444と驚異的な数字を残していた大和は、お立ち台で勝負強さの秘訣を聞かれて「規則正しい生活です」と答えてスタンドを沸かせた。五輪会場の関係で前半戦の横浜スタジアム最後となる試合を劇的勝利で飾り、交流戦3カード連続勝ち越しを決めた。

2試合目はペナントレースも大詰めに差し掛かった10月10日の中日戦。この日の先発も今永だった。試合は今永と中日先発・小笠原慎之介の新旧サウスポーによる息詰まる投手戦となった。今永は2回に内野ゴロの間に失点したが、その後は粘りの投球で7回1失点。

ベイスターズは6回にソトのタイムリーで同点に追いつき、1-1のまま最終回を迎えた。9回表は三嶋一輝が2死1・3塁のピンチを迎えたが、京田陽太をサードフライに打ち取って無失点。その裏、中日の守護神R・マルチネスから先頭打者の大和が四球を選び、神里和毅が送った後、桑原将志がライト前に安打を放って1・3塁。

楠本泰史は申告敬遠で1死満塁となり、途中出場の柴田竜拓がレフトへ犠牲フライを放った。ナインの手荒い祝福で水浸しとなった柴田は、お立ち台で「ファンもチームメイトもみんなが喜んでくれたで、それが嬉しかった」と笑顔を見せた。

公式戦でのサヨナラ勝ちは2試合だが、五輪期間中のエキシビジョンマッチで恐らく史上初、そして今後もないであろうサヨナラ勝ちがあった。それは8月8日に京セラドーム大阪で行われたオリックス戦。

横浜スタジアムが使えないベイスターズは、エキシビジョンマッチの10試合を全てビジターで行ったが、この日は後攻めのリズムで試合をやりたいと三浦大輔監督が要望を出し、オリックスが了承してベイスターズ後攻で試合が行われた。

試合は1-4で迎えた9回裏、宮崎の内野ゴロの間と牧の2ラン本塁打で同点に追いつくと、最後は楠本の二塁への内野安打の間に二塁走者の宮本秋明が一気に生還。3点ビハインドを跳ね返し、通常ではあり得ない敵地でのサヨナラ勝ちとなった。

今季はコロナ禍の特別ルールで延長戦が行われなかったこともあり、レギュラーシーズンのサヨナラ勝ちは2試合のみだった。チームのムードを一変するこの劇的勝利が少なかったことが、最後まで調子の波に乗り切れず、最下位に終わった一因であるようにも思える。

ペナントレース終盤頃から新型コロナの徐々に感染者数も減り、世の中は徐々に日常生活を取り戻しつつある。全てを奪った嵐は、通り過ぎた感もある。来季こそは満員の横浜スタジアムで、チームを勢いづける劇的なサヨナラゲームを1試合でも多く見たいものだ。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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