都市対抗野球の注目選手紹介。プロ野球での活躍が期待される6人のドラフト指名野手

10月11日のドラフト（プロ野球新人選手選択）会議では、社会人野球から15名の選手が指名された。第92回都市対抗野球大会には、そのうち14選手が出場する。今回はそのうち6名の野手を紹介していこう。

昨年のドラフト会議でも社会人から10名が指名された。三菱自動車岡崎から阪神に進んだ中野拓夢はショートのレギュラーを獲得すると、135試合に出場して打率.273を記録。また盗塁王に輝き、守備でもチームを大きく支えた。社会人野球出身選手は即戦力を期待されるケースが大半だが、ドラフト6位でこの活躍はファンにとって嬉しい誤算だったかもしれない。

今ドラフトの指名選手にも、そういう人材が潜んでいる可能性はある。なお、社会人野手の最上位指名は3位で、捕手は1人も指名されていない。

広島3位指名の中村健人（トヨタ自動車）

中村健人（トヨタ自動車）は広島東洋カープの3位指名を受けた。慶應義塾大学を経て入社し、今年が2年目。183センチ・88キロの右打者で、チームの4番を任されている。2次予選は打率.211とやや苦しんだが、第3代表決定戦では勝利を決定づける満塁本塁打を放つなど、勝負強さも見せている。パワーに加えて強肩、走力を兼ね備える外野手だ。

北海道日本ハム3位指名の水野達稀（JR四国）

水野達稀（JR四国）は高卒3年目で北海道日本ハムファイターズの3位指名を受けた。今大会には四国銀行の補強選手として出場する。丸亀城西高校から入社すると、1年目からレギュラーに定着。170センチ・71キロの左打者で俊足、巧守も兼備する。体格からは想像し難いほど“飛ばせる”タイプで、一昨年の都市対抗や今夏の日本選手権では本塁打を打っている。

福岡ソフトバンク4位指名の野村勇（NTT西日本）

野村勇（NTT西日本）は福岡ソフトバンクホークスの4位指名を受けた。拓殖大学から入社して3年目で、175センチ・80キロの右打者だ。今季は主にショートを任されている。2次予選は打率.182と苦しんだものの、複数のポジションをこなす万能性と、高い身体能力を持つ。ソフトバンクは昨年から彼を高く評価して徹底的にマーク。昨年10月の左有鉤骨骨折で指名が今年となったものの、評価は揺らがなかった。

阪神6位指名の豊田寛（日立製作所）

豊田寛（日立製作所）は阪神タイガースの6位指名を受けた。国際武道大学から入社して2年目で、177センチ・85キロの右打者だ。2015年の全国高等学校野球選手権に東海大相模高校の4番として出場し、小笠原慎之介（現中日）らとともに全国制覇を達成。自身も打率.381、1本塁打、6打点と優勝に大きく貢献している。

豊田はその後もU-18日本代表、大学日本代表に選出され、国際武道大学では2年連続の大学野球選手権決勝進出を果たしている。常に世代を代表する外野手で、日立製作所でも中軸を任され、2次予選は3試合で2本塁打と大活躍を見せた。ただ、豊田は野球選手として大柄というわけでなく、また「打力が武器の社会人野手」は外国人選手との競合もあってプロにあまり好まれない。それでもプロから声がかかったところに、彼の真価が見える。

末包昇大（大阪ガス）は広島の6位指名を受けた。東洋大学から入社して3年目で、187センチ・110キロと巨体の右打者だ。大学時代は結果を残せず公式戦の本塁打も0本だったが、社会人で潜在能力が開花。今回の2次予選では4番ライトを任され、打率.308と結果を出し、チーム最多の5打点を記録している。最大の魅力は“飛距離”だが、この体格で俊敏な動きができるアスリートでもある。ライトを任されていることも、守備力の証明だろう。

北海道日本ハム9位指名の上川畑大悟（NTT東日本）

上川畑大悟（NTT東日本）は北海道日本ハムの9位指名を受けた。日本大学から入社して3年目で、167センチ・70キロの左打者だ。三拍子揃ったショートで、2次予選は打率.375、5打点、2盗塁を記録。ドラフトでは支配下選手で指名された77名の最後に名を呼ばれ、同じポジションの水野達稀とポジションを争う可能性も高いが、中野拓夢のような下位指名からの台頭を期待したい。

文：大島和人