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横浜DeNAベイスターズ
今週末から日本シリーズが始まります。セパともに前年最下位からリーグ優勝したチームがクライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜き、正真正銘の日本一決定戦となりました。
CSファイナルが終了してから1週間以上のブレイクは間延びした感もありますが、こんな時期までプロ野球を楽しめることを素直に喜びましょう。来年こそは、ベイスターズが前年最下位からの大舞台、を信じて――。
前置きが長くなりましたが、『週刊ベイスターズいいとこどり』が選ぶ、今季のMVP。30回のコラムで一番多く名前が出た選手、前回の“投手編”に続き、今回はいよいよベスト5、MVP選手の発表です(文中の回数集計は筆者)。
◆5位:桑原将志(65回)打率.310/打点43/本塁打14
昨季は一軍定着後、最少となる34試合の出場に終わったリードオフマンが、三浦大輔監督の下で見事な復活劇を見せた。今季はキャリアハイの打率.310をマークし、首位打者争いにも参戦。積極打法で3本の先頭打者本塁打を放ち、通算4度目となる先頭打者初球本塁打は、来季から古巣復帰が決まった石井琢朗氏に並ぶ球団最多記録となった。守備でも代名詞となりつつあるダイビングキャッチで再三ピンチを救うなど、シーズンを通じてチームに活気をもたらし続けた。
◆4位:宮崎敏郎(67回)打率.301/打点73/本塁打16
ハマのヒットメーカーは2年連続、自身4度目となる打率3割台を記録。今季は西勇輝(阪神)との対戦打率.571を筆頭に、菅野智之(巨人)、大瀬良大地(広島)とは.500とエース級の相手に強く、チーム最多となる50試合でマルチ安打を記録。9月29日のヤクルト戦では通算100号を達成するなど、16本塁打で6年連続2ケタ本塁打もマークした。シーズン中に国内FA権を取得したが、最終戦の翌日に会見を開いて球団史上最長となる6年契約を結び、“生涯横浜”を宣言した。
◆3位:オースティン(69回)打率.303/打点74/本塁打28
新型コロナウイルスの影響で来日が遅れて107試合の出場にとどまったが、6月には14試合連続安打を記録するなど、コンスタントに活躍した。地元横浜スタジアムで行われた東京オリンピックでも米国代表の主力打者として全6試合に出場し、打率.417、2本塁打、7打点の活躍で銀メダル獲得に貢献。シーズンでもハマスタでは打率.367、12本塁打をマークし、同球場での出塁率(.461)と長打率(.741)を足したOPSは、1.202と驚異的な数字を残した。
◆2位:佐野恵太(77回)打率.303/打点72/本塁打17
首位打者に輝いた昨季ほどのインパクトはなかったが、今季も打率3割をクリア(.303)。プロ5年目で初の全試合出場&全試合スタメンも果たした。4番打者としてスタートし、5月からは3番、シーズン終盤には2番でも出場。4月下旬から14試合、9月下旬には11試合と2度、2ケタ試合の連続安打を記録したが、特筆すべきなのが、.376と高い出塁率で、4月上旬から27試合連続出塁を記録した。もうひとつ、注目すべきなのが対左投手の成績で、打率.341とデビュー当初の苦手克服を通り越して、むしろカモとしている。
◆1位:牧秀悟(78回)打率.314/打点71/本塁打22
2位の佐野と僅差で今季の『週刊ベイスターズいいとこどり』が選ぶ『MVP』に輝いたのはルーキーの牧秀悟。ドラフト2位で入団した牧は「3番・一塁」で開幕スタメン。開幕3戦目でプロ初の3安打猛打賞を記録すると、8月25日の阪神戦では新人選手として公式戦史上初となるサイクル安打を達成。
4番に抜擢された10月には月間打率.452をマークし、例年にないハイレベルの新人王獲得へ、猛チャージをかけた。マルチ安打37試合は球団新人新記録で、猛打賞14回はあの長嶋茂雄氏に並ぶ歴代新人最多記録。シーズン終盤にはNPB記録となる5打席連続二塁打もマークした。特筆すべきなのが満塁での成績で、打率.467、14打点と勝負強さを裏付ける数字となった。
2021年のMVPは牧秀悟。数字的にも印象的にも、文句なしの結果だったと言えるのではないでしょうか。史上4人目となる新人で3割&20本塁打をクリアし、通常ならば新人王は確定のはずですが、今季は広島の絶対的守護神として37セーブ、防御率0.87と大魔神・佐々木主浩クラスの成績を残した栗林良吏、1年目から盗塁王のタイトルを獲得した阪神の中野拓夢など、史上稀に見るハイレベルな新人王争いとなっています。
記者投票による選出のため、シーズン前半の話題をさらった阪神の佐藤輝明や高卒2年目で9勝をマークし、ポストシーズンでも活躍したヤクルトの奥川恭伸などへの投票もありそうです。数字か、印象か、優勝への貢献度か。投票結果に注目です。
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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