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野球 コラム 2021年11月2日

【横浜好き】牧秀悟の数々の記録達成で全日程終了。今シーズン最後の「週刊ベイスターズいいとこどり」10月26日~28日号

野球好きコラム by 大久保泰伸
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横浜DeNAベイスターズ

コロナ禍の中、東京五輪の中断を挟んで10月いっぱいまで行われた長いペナントレースが、ついに終わりました。シーズン直後の10連敗から交流戦での巻き返し、ハマスタが使えなかった夏など、いろいろあったシーズンでしたが、10月最終週の2試合、最後の最後まで「いいとこ」を探していきましょう。

甲子園での阪神の結果待ちでヤクルトの優勝が決まり、試合後のセレモニーが遅れた今季の地元最終戦は、新人王へラストスパートの牧秀悟がまたしても快挙を達成した。

第1打席のタイムリー二塁打から3打席連続で二塁打を放ち、23日の中日戦の第3打席から5打席連続二塁打のNPB新記録を樹立。今季の二塁打数は35本となり、あの長嶋茂雄氏の持つセ・リーグ新人最多記録を64年ぶりに塗り替えた。

2番でスタメンの森敬斗も第1打席から2打席連続二塁打を放ち、ソトもマルチ安打を記録したが、得点は初回の1点のみに終わった。投手陣は先発した今永昇太が3回5失点で降板した後、三上朋也が2イニング、平田慎吾が1イニングをパーフェクト投球。

7回は田中健二朗が連続三振で二死を取った後、ピープルズが打者1人を抑え、8回は山崎康晃、9回は伊勢大夢が三者凡退と、6人の投手がヤクルト打線を1安打のみに封じて追加点を許さなかったが、この敗戦で今季の最下位が決定した。

広島との今季最終戦は完封負けでシーズン143試合を終えた。投打に精彩を欠いた試合で、最後まで輝きを放ったのが牧。初回の第1打席は1死1・3塁のチャンスで痛烈な当たりも、小園海斗の好守に阻まれて併殺打となったが、2、3打席目で連続安打を放って今季153安打となり、これも長嶋茂雄氏の1年目の安打数に並んだ。

さらに安打を記録すればシーズン猛打賞の新記録となる第4打席は敬遠気味の四球で、一塁へ歩く牧は悔しい表情を隠さなかった。リーグ3位の打率.314は2リーグ制後の新人右打者では最高、ルーキーの3割打者は23年ぶりの快挙となった。

その他の選手では桑原将志が2安打を放ち、最終的にリーグ5位となる打率.310でシーズンを終了。5番でスタメンの楠本泰史も安打を記録したが、6番以降の選手が無安打に終わった。

投手陣は先発の京山将弥が5回まで無失点に抑えたが、6回に集中打を浴びて4点を失い、さらに無死満塁として降板。2番手の櫻井周斗も押し出し四球と2点適時打で3点を奪われた。7回はプロ二度目のリリーフ登板となった上茶谷大河が三塁打を打たれたが、1イニングを0で抑え、8回は伊勢が無失点に抑えた。

三浦大輔監督の1年目は54勝73敗16分、5位中日と1.5ゲーム差の最下位に終わった。シーズン当初の外国人選手の来日遅れや球場問題などの不運もあり、前途多難の1年となったが、シーズン終了の翌日には朗報があった。

今季、国内FA権を取得した宮崎が会見を行い、権利を行使せず残留が決定。九州出身の宮崎は、同ポジションの松田宣浩の後釜を探すソフトバンクへの移籍も噂されていたが、チーム愛を貫き、異例とも言える6年の長期契約で事実上の“生涯ベイスターズ”が決まった。31日にはソト、エスコバーの契約更新も発表されるなど、来季への準備も着々と進みつつある。

今季はセのヤクルトだけでなく、パ・リーグも前年最下位だったオリックスがリーグ優勝を果たした。そんなドラマチックな展開を奇跡ではなく、令和のトレンドにするために、来季のベイスターズには期待したい。

まだまだ予断は許さない状況とは言え、新型コロナウイルスもようやく終息の気配が見えてきた。来年はもっとたくさんの「いいとこ」を見つけられるように。そしてシーズンの終盤には、ハイタッチして抱き合いながら、涙を拭いて喜びたい。そんな瞬間を思い浮かべながら、前に進んでいきましょう。

◆先週のベイスターズ

26日(火)● 1-5 ヤクルト
28日(木)● 0-7 広島

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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