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今季は後半から出場機会を増やしたオコエ(写真:楽天野球団提供)
2015年にドラフト1位指名されたから、プロ生活はもう6年目。太陽のように眩しいエネルギーを発していた高校生だったのが、5年ほどで見違えるように落ち着いた雰囲気をまとっている。画面越しではあるが、久しぶりにオコエ瑠偉を取材した。
今季は後半からの出場ながら、代走や守備固めのほか、折々でスタメンに名を連ねるなど、一軍で奮闘中だ。昨年から今年前半にかけて、ケガやリハビリのため「ほとんど野球ができなかった」と振り返りながらも、秘めたエネルギーは変わらない様子。話すほどに自身の現在地を冷静に認めながらも、向上心をたぎらせていることがわかった。
◆「これじゃいけない」「やっと学べる土俵に来た」
随分と見違えた印象を伝えると、「いやいや」と照れたような笑顔をみせたオコエ。いわく「やっと学べる土俵に立てたかなってぐらいです」と語る。
もともと守備や走塁は初年度から「即戦力」と評価されていたが、バッティングが課題だった。思えば、プロ入りした初キャンプでは、木製バットに対応することからのスタートだった。
2年目は、右手の痛みを堪えてキャンプインするも、長期離脱するほどの大ケガだったため、療養を経て後半から一軍に合流した。それでも出場は41試合ながら打率3割をマークしている。ところが、その時の成績こそ反省材料と捉えていたという。オコエは述懐する。
「2年目は3割といっても、安打は出ても四球は選べないし、出塁率も低い。チームのためになってない3割。これじゃいけないと思ってた年だったんです。自分の理想は、中長距離で出塁できて、盗塁もできる選手。それで、まずは前に突っ込まない“ステイバック”に取り組み始めました」。
「3年目、4年目もずっと取り組んできたんですけど、2年ぐらいかかって少しずつできるようになってきたかなって感じです。一昨年(2019年)のクライマックス・シリーズでは、千賀さんからホームラン打ったんですけど、これも後で映像を見返すと、突っ込んでないんですよ」。
課題の打撃にも兆しが見える(写真:楽天野球団提供)
「でも、あの頃はヒットを打つか三振かってぐらい差が激しくて、打てば喜ぶし、打てなかったら落ち込んでました。それが今はそういった気持ちのムラはなくなって、周りが見えるようにはなりました」。
◆ライバルは自分の心。「打席に入ったら、自分との戦い」
クライマックス・シリーズで活躍できたということは、注目されることで力を発揮したり、大きな舞台ほど強いタイプかと思いきや、否定する。
「全然、全然っすよ。自分、意外とナイーブですし。そもそも気合いだけでやれる世界じゃないです」と苦笑いする。「気合いMAX」が口癖だったオコエだが、そういった元気印は鎧のようなものらしい。では、なぜ強く見えたのか。
「割り切りっていう部分なら、できる方かもしれないです。やっぱりクライマックス・シリーズはいい例で、(あの時チームは)3位からだったし、一か八かでいかないといけない。だから、結果や理想ではなくて、三振しても関係ないぐらいの気持ちで打席に入ったのが、たまたま結果に繋がったんです」。
ただ、今季はそうした良いイメージも糧にしたといい、選球の改善にも手応えを明かす。
「プロの投げる縦の変化球って、だいたい空振りを取りに来る。自分、ずっとやられてたんですけど、目線をバックスクリーンのちょっと上に向けておくと、フォークなんかも視界から消えるから、振らなくて済むんです。今年はそれで少し良くなった実感があります」。
「でも、まだまだです。やっぱり2ストライクに追い込まれると、三振したくないからフォークのことを考えすぎて、真っ直ぐを差されたり…。せっかくストレートに絞っても、落ち球のタイミングになってしまったら、ストレートなんて打てるはずがないのに…」。
「だから、打席に入ったら、相手がどんないい投手でも、本当に自分との戦いだなと痛感しています」。
◆24時間365日の野球漬けからオンオフを意識するように
オンオフの切り替えをするようになったことも、落ち着いて見えるようになった理由のようだ。
「これまではオンオフの切り替えができてなかったんです。自分ではしてるつもりが、中途半端でできてなかった。例えて言うと、ずっと70%でオンの状態。帰っても次の日のことを考えて、眠れなくなっちゃったりして」。
「それって24時間365日、ずっと仕事みたいなことですよね。朝も早くからティー打ったりするんだけど、そうすると球場で軽めにしたりしていた。となると、周りが100%で取り組んでるのに、自分は70%だから、ぬるく見られたタイミングもあったと思います」と反省する。
「でも今は、オンオフをきっちり分けるようになりました」と晴れやかだ。選手にとっては球場に出てきたら、“出社”ということ。だから、今は出てきたら100%で取り組んでいる。その代わり、帰ったら0%。完全にオフモードだ。野球のことは考えず、少しゲームをやって寝るだけと笑う。
ちなみに、ゲームはというとプレステ5かパソコンゲームで、戦闘系だそう。
「ばんばん戦って、日々闘志を養ってます(笑)」。
そう言うと、「残りシーズンは、実力で落とされたら仕方ないですけど、ケガで落ちるようなことはないよう、何が何でもしがみついていきたい」と力強く語った。
今現在も、オコエはひたむきに絶賛成長中なのだ。
文:松山ようこ/写真:楽天野球団提供
松山 ようこ
翻訳者/ライター/インタビュアー。主にスポーツやエンタメ分野にて実績多数。野球はプロ野球からMLB、他にもマイナースポーツからオリンピック大会まで、国内外の競技場や大会での現地取材を数多く経験するスポーツ好き。アスリートはじめ、一般人から著名人まで幅広くインタビューし、日本語と英語ともに記事やコラムにする。訳書『ピッチングニンジャの投手論』『ベイダータイム』。 ※『ピッチングニンジャの投手論 PitchingNinja's analysis of Japanese MLB Aces』 ※『VADER TIME ベイダータイム: 皇帝戦士の真実 』
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