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横浜DeNAベイスターズ
今シーズン最後の6連戦、相手は2位・阪神と5位・中日。優勝争い真っ最中のチーム相手の“上位いじめ”と、最下位脱出に向けての“直接対決”は3勝3敗に終わり、結果的には順位は変わりませんでしたが、思わぬところで「いいとこ」もありました。
快進撃の首位・ヤクルトを追う阪神との初戦は、先発の坂本裕哉が3回5失点と誤算。悩めるルーキー・佐藤輝明に60打席ぶりとなる安打を許すなど、初回から4失点とゲームを作れなかった。4回以降は櫻井周斗とピープルズが2イニングずつ、三上朋也と田中健二朗が1イニングずつを無失点と阪神に追加点を許さなかったが、打線がつながらなかった。
複数安打が出たのは得点した5回のみで、森敬斗の安打と戸柱恭孝の二塁打で作ったチャンスに代打・関根大気のセカンドゴロの間に1点、さらにこの日、唯一のマルチ安打を記録した桑原将志のタイムリー二塁打で記録した2得点に終わった。
投手戦となった第2戦は、相手と同じ8安打を記録しながら、タイムリーが出ず完封負け。先発した大貫晋一が毎回のように得点圏に走者を許しながら、7回途中まで粘りの投球を見せたが、ロハス・ジュニアに浴びた一発に泣いた。大貫が残した1死2、3塁のピンチは三上朋也と田中が切り抜け、ピープルズ、砂田毅樹、平田慎吾も無失点に抑えた。
打撃陣は、プロ初の4番に入った牧秀悟がヒットと二塁打の2安打、戸柱も2安打を記録したが、4回の無死1・3塁の好機に宮崎敏郎、ソト、大和が走者を還せなかったのが痛かった。
第3戦は序盤の3点ビハインドを逆転し、首位攻防戦を前にした相手に手痛い1敗を与えた。先発したロメロが序盤に3失点したが、以降は立ち直り、8回まで投げて勝利投手となり、打のヒーローのソトとともにお立ち台に上がった。クローザー不在の9回はエスコバーが奪三振2の三者凡退と完璧なリリーフを見せた。
ソトが逆転の決勝2ラン本塁打など3打点、スタメンマスクの山本祐大が一塁ヘッドスライディングの気迫のタイムリー内野安打で1打点を記録した。大和がマルチ安打、この日も4番に入った牧が3連戦全てで安打を放った。
最下位争いとなった中日との3連戦は、初戦先発の上茶谷大河が初回に2点を失ったが、7回3失点の好投で遅ればせながらの今季初勝利をマーク。8回はピープルズ、9回は三嶋一輝が無失点に抑えた。
14安打9得点と久々に爆発した打線は、佐野恵太が反撃の口火を切るソロ、勝敗を決定付ける満塁弾の2打席連続本塁打で5打点。3四球を選んだ桑原は押し出し四球と、2ラン本塁打で3打点をマークした。
4番の牧が猛打賞を超える4安打の大当たり。ソトが試合を振り出しに戻すタイムリー二塁打を放った。8番・ショートでスタメン出場した知野直人は2安打を記録し、守備でも三遊間の当たりを好捕して上茶谷を救った。
日替わり守護神の伊勢大夢がリードを守れず逆転負けを喫した第2戦は、先発した京山将弥が7回101球を投げて被安打5、6奪三振で無失点と文句なしの投球を見せたが、リリーフ陣が打たれた。
攻撃陣はスタメン出場の楠本泰史がタイムリー安打など、全得点となる2打点。代打で登場した神里和毅が今季20安打目となる二塁打を放つなど、散発的に安打は出たが、佐野、ソトが無安打でブレーキとなった。
中日が10安打、ベイスターズが9安打を記録するも、最少スコアで試合が進んだ第3戦は、途中出場した柴田竜拓の犠牲フライでサヨナラ勝ち。先発した今永昇太が7回を投げて内野ゴロの間の1失点のみと好投し、8回はエスコバー、9回は三嶋が無失点と開幕時からの勝ちパターンの継投で勝ち星を手にした。
ライト前にしぶとく落ちる同点打を放ったソトは2四球を選び、4打席中3打席で出塁。桑原、佐野がマルチ安打を記録し、この日も安打を放った今永は打率.286と野手並みの数字を残している。
3連勝なら最下位脱出だった中日3連戦だが、1つ負けたことで結果的にいいことがあった。11日に開催された今年度のドラフト会議では、2巡目以降のウエーバー順が10日時点での順位で決定するため、セ・リーグ最下位のベイスターズが1番目に指名できることになった。
ちなみに昨年の2位指名は、新人王に向けて安打を積み重ねている牧。今年もこの災い転じた福を生かすことができるか。どんな状況であっても、悪いことばかりではない。ペナントレースは残り10試合。いいことがあると信じて、ただがむしゃらに最後まで走り続けていきましょう。
◆先週のベイスターズ
5日(火)● 2-5 阪神
6日(水)● 0-2 阪神
7日(木)◯ 4-3 阪神
8日(金)◯ 9-3 中日
9日(土)● 2-4 中日
10日(日)◯ 2-1 中日
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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