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野球 コラム 2021年9月14日

【横浜好き】育成から登録された宮國椋丞で始まり、田中健二朗で締めくくった1週間「週刊ベイスターズいいとこどり」9月7日~12日号

野球好きコラム by 大久保泰伸
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横浜DeNAベイスターズ

優勝争いを繰り広げている上位3チームと対戦した9月の第2週。移籍、育成契約を乗り越えてのリベンジ勝利あり、手術からの復活劇ありと、何かと話題の多かった1週間、今回も「いいとこ」を探していきましょう。

ハマスタでの巨人との3連戦は、初戦から興味深いマッチアップが実現。今季育成契約で入団し、8月末に支配下復帰を果たした宮國椋丞が古巣の大エース・菅野智之と対決した。

宮國は初回に2点を失ったが、2回に桑原将志のダイビングキャッチで救われると、以後は粘りの投球で無失点。5回のピンチを凌ぎ、勝利投手の権利を得られるイニングを投げ切ると、その裏に打線が爆発した。

3回に追撃の一打も放った宮崎敏郎のタイムリー二塁打で同点に追いつくと、ソトがレフト線への2点打で逆転。さらに山本祐大のスクイズで三塁走者の牧秀悟が絶妙なヘッドスライディングで生還した後、宮國の代打で登場した楠本泰史が3ラン本塁打を放ち、この回一挙7点のビッグイニングで宮國の移籍後初勝利を決定付けた。

柴田竜拓と佐野恵太もマルチ安打を記録し、9安打で8得点と効率のいい攻撃を見せた。投手陣は宮國の後の受けたシャッケルフォードが2イニング、櫻井周斗、伊勢大夢が1イニングずつを無失点リレーで快勝となった。

第2戦は先発した大貫晋一が6回1失点の好投で自身とこのカード、揃って5連勝を決めた。7回からはエスコバー、山崎康晃、三嶋一輝の必勝パターンの3人がほぼ完璧な投球でリードを守った。

打撃陣は宮崎が先制打と内野ゴロの間の2打点でお立ち台に。牧もタイムリーを放ち、柴田は連日のマルチ安打を記録した。1安打1四球のオースティンは打点がなかったが、4回の守備では本塁へのレーザービーム送球で大貫を救った。

3タテを狙った第3戦は、抑えの三嶋が3点リードを守れず引き分けに終わった。先発した坂本裕哉が5回を投げて自責点ゼロ、2失点で勝ち投手の権利を得たが、8月19日以来となる白星はならなかった。6回はシャッケルフォードが作った満塁のピンチを砂田毅樹が併殺でピンチを凌ぐと、7回エスコバー、8回山崎の必勝パターンに持ち込んだが、最後の三嶋が誤算だった。

打撃陣は初回にオースティンと宮崎が2者連続本塁打。スタメンマスクの戸柱恭孝が貴重な追加点となるタイムリーなど2安打1打点と活躍した。桑原と佐野がまたマルチ安打で打線は11安打を記録したが、9回の無死1・2塁のチャンスを生かせないなど、結果的に拙攻も響いた。

週末はヤクルト、阪神と1試合ずつの変則日程。先発の京山将弥が3回5失点と試合を作れず完敗した神宮でのヤクルト戦では、池谷蒼大が4月10日以来の一軍登板で2回無失点の好投を見せた。打撃陣は柴田と代打で登場した戸柱がタイムリーで打点を記録。宮崎の2安打など1番から5番まで全ての打者が安打を放ったが、打線としてつながりを欠いた。

首位阪神を地元に迎えた日曜日の試合は、エースの快投と一発攻勢で完勝となった。オースティンが2本塁打を含む、3安打5打点の活躍でお立ち台に。佐野は初回の逆転2ラン本塁打で試合の流れを引き寄せた。桑原が2安打1打点、柴田は無安打も2四球に犠打1つと1、2番コンビが機能した。

投手陣は先発した今永昇太が8回1失点、今季2度目の2ケタとなる11奪三振で4勝目をマークした。9回はシャッケルフォードが打者2人を抑えた後、左ひじ手術から育成契約を経て、6月に支配下登録へ返り咲いた田中健二朗が、2018年以来となる一軍マウンドへ。小野寺暖をピッチャーゴロに打ち取って涙の復活劇となった。

宮國で始まり、田中で締めくくった1週間は、Aクラス3チームを相手に3勝1敗1分で優勝争いにも大きく影響する結果となった。中日、広島との日々入れ替わる4位争いも熾烈になっているが、残りの1ヶ月半、ベイスターズはペナントレースのカギを握る存在になる気配もある。

上位3チームの争いに割って入る事が無理だということは、もちろんみんなわかっている。もっと試合があれば、と負け惜しみを言いたくもなる。それでもせめて、残りの30試合超は来季に向けて、という高尚なことだけでなく、優勝戦線をかき回してもらいたい。

◆先週のベイスターズ

7日(火)◯ 8-2 巨人
8日(水)◯ 4-1 巨人
9日(木)△ 5-51巨人
11日(土)● 2-9 ヤクルト
12日(日)◯ 8-1 阪神

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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