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野球 コラム 2021年6月8日

【楽天好き】岡島豪郎、3度のポジションチェンジを経て完全復活

野球好きコラム by 松山 ようこ
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2020年は捕手登録だった岡島(右)

岡島豪郎(タケロー)の活躍に、たくさんの楽天ファンが湧いている。コロナ禍で球場に足を運べない人も多いからか、ツイッターでもトレンド入りしたりと、これまで以上にSNSが盛り上がっているようだ。

岡島が登場すれば「待ってました!」「頼むよ!」、打てば「さすがタケロー」「優勝には優勝を知る男が不可欠!」、外野守備でダイビングキャッチをすれば、「このガッツあふれるプレーが大好き」と賑々しい。

シーズン前に誰がこの活躍を予想できただろうか。

開幕スタメンではなく、途中出場からのレギュラー定着だ。だから、岡島はまだ規定打席にこそ到達していないのだが、ここまで147打数51安打でチームダントツトップの打率.347をマークし、21打点に23得点、6本塁打(6月7日現在)と好調をキープ。もはや誰もが認めるチームになくてはならない存在だ。

感慨もひとしおなのは、度重なるケガからの完全復活を印象づけることだ。ここ数年は、ケガの影響で成績もふるわず…。岡島は左肩を、2017年にその持ち前のガッツあふれる守備のプレーの際に負傷退場して以来、何度も脱臼するようになり、2019年には根本治療すべく鏡視下バンカート法修復術を実施。

さらに同年は、右肘のクリーニング手術も行い、術後リハビリからの再スタートを余儀なくされ、一軍での出場はなし。昨季は2年ぶりに1軍の舞台に戻るも、35試合の出場で打率.200、ノーアーチ、9打点だった。

だが、岡島は着実に復活へと努力を続けていた。

長らくケガで第一線から離れていたのだ。今季、再び一軍の戦力として復帰するには、数少ないチャンスが巡ってきたときに掴むしかない。そうした状況を想定して、オフは特にバッティングを重点的に練習。「打撃の質にこだわって、1打席で結果を出せるよう、バットを振り込んできた」という。

キャンプ中にも藤田一也が、「岡島は頑張っていますね」と名前をあげて絶賛していたが、二軍にいながら「30歳を過ぎて練習態度はじめ、取り組み方にもこだわって、アップを最後までしっかりやるようにするなど、できる事は全力でやりたいと思ってます」と表舞台への準備に勤しんできた。

並々ならぬ気概は今も変わらない。折に触れて、石井一久監督が岡島を褒めるわけである。

人一倍、チャンスに貪欲で、変化を恐れないのも今につながっているのだろう。熱いプレーだが視野の広さが感じられるように、ひたすら一本気に邁進するタイプではない。

プロ入りしてから出場機会を求めて、捕手から外野手、外野手から捕手、そしてまた今季から外野手に戻るという、3度のポジションチェンジに挑んでいるのだ。もともと捕手だったとはいえ、簡単なことではない。さらなるケガに見舞われるなど、茨の道でもあった。

だが、岡島にとって無駄な経験は何一つなかったのだろう。再びの捕手挑戦を経て外野手に戻ったことについても「また捕手をやって色々な配球を考えたことで、自分の打席では相手がどう仕掛けるかという思索に生きている」と手応えを明かしていたのだ。

ちなみに最初のポジションチェンジは、楽天が優勝した2013年。この時に右肘を痛め、嶋基宏との正捕手争いに敗れた岡島は、当時の星野監督に「外野で使ってください」と直訴。「よし」と同監督に認められると、見事に外野手として成功を収めて、優勝の輪のなかにいた。このかけがえのない1年こそが岡島の原点なのかもしれない。

シーズン前に岡島は、「2013年優勝した瞬間にグラウンドに立っていたこと、星野監督に外野をやらせてくださいと直訴したことは、何よりも忘れられない出来事で自分の支えになっています」と語っていた。

そして、今季の目標を「1日でも長く一軍にいること。今年、優勝の輪に自分がいれるように頑張りたいです」と控えめに掲げていた。そんな岡島が今、チームを優勝に導く勢いで活躍している。

文/写真:松山ようこ

松山ようこ

松山 ようこ

フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo

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