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2年目のシーズンに挑む秋山翔吾
メジャー1年目は54試合に出場、打率.245、本塁打0、打点9、盗塁7、出塁率.357と苦戦した秋山翔吾秋山翔吾。しかし、シーズン終盤の9月には、チーム最高となる月間打率.317、出塁率.459を記録するなど、1番打者として活躍。チームのポストシーズン進出に貢献した。
現在は左太もも裏痛で離脱中だが、順調に回復。4月中旬から下旬をメドに復帰の準備を進めている。今回の多村仁志さんとの対談は、スプリングトレーニング前の2021年1月に行われた。
◆2年目のシーズンに向けての準備
多村:帰国してから自主トレ含めて、どうオフを過ごしていますか?
秋山:11月の頭に帰ってきて、2週間自主隔離をしていました。「ライオンズの施設を使っていい」というお話を頂いたので、そこでボール使って動いて、下田に自主トレに行っていた時期もありましたし、都内でトレーニングをしていました。
多村:自主トレ期間中で自分が重視した練習はありますか?
秋山:毎年テーマとしているのは、とにかく『走る』ということですね。筋力をつけたり、いろいろボールを使って、というのはもちろん大事なんですけど、それを継続させるためにとにかく走る。
自主トレのテーマは走る
野球はどうしても連戦ですし、週明けはよくても、連戦の最後に体力が持たないのは困る。それを続けるための、一瞬ではなくて継続的に出すために体力の維持としてランニングが重要だと思っています。あと、今年はかなりバットを振る量というか、時期をかなり早めましたね。
多村:いつもだったらどのくらいの時期からですか?
秋山:1月に入ってとまでは言わないですが、12月の後半とか半ばくらいからバットを振ればいいかと思っていました。でも、シーズンが終わってシンシナティで1か月くらい、トレーナーからも「ゆっくりしてから、もう1回作り直してくれ」という話をされていたので、その間も体幹トレーニングをしたり、バイクをこいだりとか、柔軟性を高めるトレーニングをやりながら、バットだけは降り続けていました。
◆昨シーズンに感じた課題
多村仁志さんとの対談
多村:それは、どういうきっかけがあってですか?
秋山:昨シーズン、160キロ、大体100マイルくらいのピッチャーと対戦する機会があって、強くしっかり振れないと弾き返せないというのがありました。昨年のオフは、まだ何が上手くアジャスト出来るものになるのか、自分が出来ること出来ないことを、まだ整理できてなかったというか。これからチャレンジする身としては、出来ることを整理してたんですけど。
その中で、僕が一番不得意だったのは、強く振ってアジャストするというのが、叶わなかった。相手を18.44mの距離に立たせたイメージの中で、今のスイングだったら、ちょっとボールが前にとんでないなと思って、変わりました。
多村:それは日本にいた頃は出来ていたということですか?
このオフはバットを振る時期を早めた
秋山:日本ではそこまで強く振ることによって、バットコントロールがおろそかになるとか、バランスが悪くなるというデメリットも分かっていたので、そこを重視するより、ある程度の力でボールコンタクトすれば、ヒットゾーンに飛ぶであったり、ホームランになるというイメージを持っていました。
それが多少形を崩してでも、今は強く振っておくのが重要だと思っています。形を整えるのはキャンプとか、もうちょっと実践入ってからでも出来そうだなと。
多村:強く振るというのは『パワフルに振る』のか『スウィングスピードを上げる』のか、どういう風に重きをおいていますか?
秋山:僕はどちらかというと『パワフルに振る』『力強く振る』という感じです。
多村:昨年の数字をみて、「ホームランを打ってなかったんだ」というのがありましたが、ここの部分はどうですか?
秋山:こういうバッターのタイプとはいえ、パンチがあるのを見せておかないと、攻められ方もそうですし、ポジショニングだったりが変わって、ヒットゾーン自体が狭まることになるので、これが「0」と「1」では大きな違いだと思います。ただ、何本打ちたいから、パワーつけて体重増やして、ハードヒットするためにとは思っていません。
ウェイトも出力が上がるようなイメージで行う
多村:前回、J SPORTSのインタビューで『体形を変えずに力をつける』という話がありましたが、具体的にもう少し教えてください。
秋山:仮に、このオフで体重を5キロ増やしても、いい増え方をしないと思います。単純に増えるとパワーが上がったように誤解されがちですが、結局、守って走れもしないと、僕は生き残れないタイプなので。
多村:昨シーズンは7盗塁でチームトップでした。
秋山:それでも少ないんですが。ただ、こういうタイプの選手も必要だと、首脳陣に思わせるとか、ファンに思ってもらえるには、僕が5キロ増やして打球スピードは上がったけれど、重くて走れなくなるとプレーヤーとして生き残れない。そこが一番の理由です。体重を増やさないというのは、しっかりと動ける身体で強く振るという、相反している取り組みなんですけれど。
多村:外見からはユニホーム着ているから分からないけれど、筋力の密度をしっかりとつけるイメージですか?
秋山:それが理想であり、難しいと思っています。それをこのオフは、なるべく体重をコントロールしながら、バットスイングが変わっていくであったりとか、脚力で走り方含めて、出力が上がるような理想を求めてやっています。
多村:トレーニングは毎年ちょっとずつ変えたりしていますか?
秋山:メジャーで受けた衝撃というか、自分の足りなかったところが露骨に出たところがありました。今年はどういう風に動かして、どこに単純にパワーをつければ、パフォーマンスが上がるかというところは、今までの5年間に比べると考えながらやっているかなと思います。
◆8月の不振から9月好調に転じた理由
多村:9月に秋山選手の力は見せてくれたと思いますが、自分の中では満足いかなかった?
秋山:そうですね、1年目のオフ、初めてメジャーを経験して、こうやっていろんな所で振り返って頂いた時に、8月と9月は分かりやすかったじゃないですか、対比が。いろいろバッティングの試行錯誤をしてですが。
もう少し、8月に準備が出来なかったかなと思う。9月に大きく変化したのは、8月にあれだけダメだったら、オフの取り組みに近いような変化が必要だと思ってやり始めた。もっと落ちる前に気づけなかったかな、というのも正直あるんですね。
多村:何がきっかけで、これだなと思えたのですか?
秋山:そうですね。ダルビッシュさんと対戦するという前後の期間。8月の後半、1回目の時ですね。その時はこのまま打席に立つことさえ失礼だな、と思っていました。
多村:それは数字が出てないからですか?
秋山:数字が一番ですね。いろんなピッチャーと対戦してきて出た数字がそこにあって。日本のメディアの方もそうですけど、一応レベルが違っても日本人対決というので盛り上げてくださって、いろいろと言ってくださった。でも、今の状態で、ひとくくりで日本人対決といっても…、というのがあったんですよ。
そういうのがあったので、これはというタイミングもあって、ちょうどバッティングコーチや、ニコラス・カステヤノスというバッターにも、「ステップを変えてみたら」という話がでたのが、ちょうどその辺りだったんです。
自分でも何を変えていこうということもあって、それがマッチした時期。「ちょっと良くなりそうだな」という「ちょっと」じゃなく、反対の方からアプローチして、それでも近づけなかったら、もうやることないというぐらい、腹くくってやろうというのがあったんです。
多村:いいタイミングでアドバイスもらえた?
秋山:僕が普通にやっていたら、「あまり振れていなくても、まず自由にやってくれ」というのが、コーチ、監督ともに思っていたので、あまり触れてこなかったんですが、ひと月の数字が明らかに出ていたので、それで「ちょっとこういうアプローチどうだ?」というのもあって、自分としても危機的な数字だったので、それは大きく変えなければと思いました。
◆今季の目標は3割、それとホームラン?
多村:昨年は短いシーズンではありましたが、話聞いているといろいろと吸収できたというか、そういうシーズンだったのかなと思います。
秋山:行って、郷に入っては郷に従わないといけないと思いますので。自分のスタイルはこれだからというのよりは、いろんな選手を見て、自分が生き残る術をみながら、やれたかなというのはありますね。
多村:その中で今季、自分での目標はいかがですか?
秋山:やっぱり、3割を打ちたいですね。これはメジャーにいるうちはずっと言い続けられると思います。日本でも、もちろん3割は目標ですけれど。3割でも満足できないし、多分、3割と言ってファンも満足できないと思っていたので、あまり数字はいいたくなかったんです。
去年の数字を踏まえて言えば、3割を目標にして、日本人でも3割打った方は本当にいないですから(※イチロー、松井秀喜のみ)、そこに入る。1シーズンだけでもまずやらないと、それ以降の苦しみもないと思うので。まずは3割打つというところは一番大きな目標ですね。
多村:実績からして、3割は国際大会でも打っていたから、出来るとは思っていたんですが。今シーズンは60試合から162試合に戻りますから、長丁場の中で、ぜひとも達成してもらいたいと思います。
秋山:がんばります。
※カンペに「ホームラン」と書かれていたのを見て…
秋山:いいっすよ、もうホームランは。勘弁してくださいよ。3割で(笑)。
最後にツッコむ多村仁志さん
多村:いやいや、そこはやっぱり(笑)。日本でもホームラン20本以上打っていた選手なんで。
秋山:ホームランは打ちたいですね。
多村:期待しています。
J SPORTS 編集部
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