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これは少し前の話だけど、まだスプリング・トレーニングが行われていた春先に現地メディアの間で、カブスのダルビッシュ有のとある特技が話題になったことがあった。
以下、現地スポーツ局『ESPN』が当時、電子版に掲載した記事の抜粋である。
『ユウ・ダルビッシュはこの惑星で次の2つの能力を持ったただ1人の人間である。彼はマウンドから9つの異なる球種を投げることができ、さらに試合後、クラブハウスで寛いでいるとき、このシカゴ・カブスの右腕は、人の血液型を当てられるのだ。
待て。何だって?
これは今まで誰も聞いたことがないような奇妙な隠し芸かもしれないが、カブスの右腕の知る人間にとっては、これまた単に彼が新たに見せている人柄の突飛な部分のひとつに過ぎないのである。
血液型は日本の文化において、一般的な話題の1つではあるのだが、それを踏まえた上でも、ダルビッシュ自身、この風変わりな能力を如何にして身に付けたのか、定かでないという。とにかく、彼には可能なのである。
「これは、僕がざっくばらんな会話で使うようなことなんだ」とダルビッシュはカブスのキャンプで説明した。
「例えば、通りかかった(捕手の)ビクター・カラティーニと会話を続けた時やなんかにね」。そしてダルビッシュはその会話から、血液型を的中させることができるのである。彼は、こう説明した。
「例えばA型の人は、マメなんだ。B型は、必ずしも自己中心的というわけではないけれど、マイペースだね。O型はのんびりしている“何が起こってもOK”的な人なんだ。AB型は風変わり、あるいは人と違う感じだね」。
そう彼が説明していた正にそのとき、彼の女房役が通りかかった。ダルビッシュは通り過ぎるカラティーニを指差した。
「彼はB型だ」とダルビッシュは笑みを浮かべながら言った。「僕には分かるんだ」。
しかし、彼は正しいのだろうか?そこがこの隠し芸の問題点である。誰が自分の血液型なんて知っていようか?
ダルビッシュが血液型を当てられると知った何人かのチームメイトは、にわかに自分の血液型を調べ出そうとした。
「あと少しで母が心臓発作を起こすところだったよ」と、一塁手のアンソニー・リゾは笑いながら言った。
リゾは何の説明もなしに電話で母から血液型を教えてもらおうとしたので、彼女は心配になったのである。また、息子に輸血の必要はなかったわけだが、彼女はリゾの血液型を知らなかった。
同じく、クリス・ブライアントの両親も息子の血液型を知らなかった。しかしながら、ダルビッシュの代理人であるジョエル・ウルフは自身の血液型を知っており、ダルビッシュはそれを的中させている』。
この記事で明らかとなったダルビッシュの能力よりも、日本人としてはアメリカ人の血液型に対する無頓着さに驚かされる。
しかし、考えてみれば、普段の生活で自分の血液型を把握しておく必要は必ずしもないわけで、日本人はいつから血液型に頓着するようになったのか、そっちの方も気になるところである。
J SPORTS 編集部
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