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日韓両国は15日の段階で、17日に東京ドームで開催される決勝戦の出場を決めていた。侍ジャパンはアメリカ、韓国はチャイニーズタイペイを相手に「1敗」を喫していたものの、スーパーラウンドの2位以上は確定済み。
翌日に同じ相手と決勝戦を戦うことを考えれば、隠したい手の内もあるはずで、特に韓国はキム・ギョンムン監督が前日から主力の温存を公言していた。
しかし、いざ東京ドームに足を踏み入れるとスタンドは立ち見多数の盛況で、4万4,224人の満員。三塁側の韓国ファンが必死に声を張り上げ、記者席も両国のメディアで埋め尽くされていた。
サッカーやラグビーのワールドカップと同じ「国際大会」の空気がそこにはあった。
◆試合結果
韓 国|0 0 1 5 0 0 2 0 0| 8
日 本|0 1 6 0 2 0 1 0 X|10
◆侍ジャパンスタメン
1番(一)山田哲人(ヤクルト)
2番(遊)坂本勇人(巨人)
3番(中)丸 佳浩(巨人)
4番(右)鈴木誠也(広島)
5番(指)浅村栄斗(楽天))
6番(左)吉田正尚(オリックス)
7番(三)松田宣浩(ソフトバンク)
8番(捕)會澤 翼(広島)
9番(二)菊池涼介(広島)
(投)岸 孝之(楽天)
1番・山田哲人が打席に入ると、強烈な音圧で「やまーだてつと!」のコールが球場全体から湧き上がる。
山田は3球目にライトフェンス直撃の二塁打を放った。この回のチャンスは得点に結びつかなかったものの、「行ける」という手応えを感じた初回の攻防だった。
侍ジャパンは2回表、8番・會澤翼が二死無走者から3塁線を破る2塁打を放つと、9番・菊池涼介はレフト前タイムリー安打。ぎりぎりのタイミングながら會澤が生還し、日本が1点を先制した。
韓国も3回表に7番ファン・ジェギュンのソロ本塁打で同点に追いつくが、侍ジャパンがその裏に猛攻。
3番・丸佳浩の一塁線バントが内野安打となり無死1・3塁のチャンスを作ると、今大会好調の4番・鈴木誠也が二塁後方にしぶとく落とすタイムリー安打でまず2-1。
5番・浅村栄斗がレフト前にタイムリー安打を放ち3-1。6番・吉田正尚のライト前安打で無死満塁とチャンスを広げ、ここで先発のイ・スンホが降板する。
しかし、侍ジャパンの勢いは止まらない。7番・松田宣浩が押し出し四球を選び、8番・會澤翼はセンター前にタイムリー安打。5−1としてなお無死満塁。
9番・菊池涼介のセンター返しは相手ショートの好プレーに防がれたが、三塁走者が6点目のホームイン。さらに一死2・3塁から1番・山田哲人が中犠飛を放つ。7-1と一気にリードを広げて、早くも試合の趨勢は決したかに思えた。
韓国は既にこの大会における「日本を除くアジアの最上位」も決めており、東京オリンピックの出場権も手に入れている。ただ、そんな中で彼らも想像以上の執念を見せた。試合はもつれにもつれる。
4回表、韓国は2~4番の3連打で2点目を加えると、一死1・2塁から6番カン・ベクホもセンター前タイムリー安打で続く。
二死1・2塁からは7番パク・セヒョクがライト線を破るタイムリーツーベースを放ち、さらに8番キム・サンスが二死2、3塁から左中間を破るタイムリー安打。韓国はこの回一挙5得点で、7-6と1点差に迫って来た。
続く5回裏。韓国はは無死満塁のチャンスを迎える。一死から6番カン・ベクホは日本の2番手・大野雄大からライト線に強烈なライナーを弾き返した。
しかし、ここは侍ジャパンの鈴木誠也が好捕し、三塁走者のタッチアップも見事な中継プレーで本塁タッチアウト。後から考えると日本はこのピンチを無失点で脱したことが大きかった。
ただし、韓国の粘りは収まらない。7回裏、侍ジャパンはは源田壮亮の好守で反撃を断ったかに思えたが、二塁ベース上の判定がリクエストで覆る。
すると6番カン・ベクホが二死1・2塁から2点タイムリーを放ち、試合は再び一点差。
カン・ベクホは若干20歳のスラッガーで、「韓国の大谷翔平」と呼ばれるように注目選手。この日は4打数2安打3打点で、5回のライトライナーも含めて良い振りを見せていた。
侍ジャパンは嘉弥真新也が後続を断ち、9-8と侍ジャパンのリードは続く。そして続く7回裏、途中出場の6番・近藤健介が一死満塁から押し出しの死球を受け10点目。
8回を大竹寛が3人で封じると、最終回は田口麗斗が無失点に抑えて、「巨人リレー」で試合を締めた。最後まで気の抜けない打撃戦を、侍ジャパンが10-8でモノにした。
投手陣は先発・岸孝之の4回6失点が計算外だったが、6投手の継投でリードを守った。
打線は14安打8四死球。稲葉篤紀監督は。フォアボールをしっかり選び、打者が後ろいつないでくれた。明日つながると思います」と選手を讃えていた。
17日はいよいよ決勝戦。指揮官は「1戦1戦戦ってきましたのでこれまで同様、決勝という素晴らしい場所で悔いのないように、全員で結束力を持って戦っていきます」と意気込んでいた。
文:大島和人
◆スーパーラウンド順位
1位 4勝1敗 日本
2位 3勝2敗 韓国
3位 3勝2敗 メキシコ
4位 2勝3敗 アメリカ
5位 2勝3敗 チャイニーズ・タイペイ
6位 1勝4敗 オーストラリア
※同じ勝敗は直接対決の結果
◆11月7日(日)試合日程
・午後0:00 3位決定戦 メキシコ vs. アメリカ
・午後7:00 決勝 日本 vs. 韓国
2019WBSC世界野球 プレミア12 スーパーラウンド
【ハイライト】日本 vs. 韓国
大島 和人
1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty)
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