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◆12年以上、続けているオフの社会貢献活動
少しの立ち話ながら、オフの活動についても水を向けた。今江は、2006年から続けている障害者野球チーム「群馬アトム」のサポートをはじめ、同年に「今江スマイルプロジェクト」を設立。
長年、オフになると千葉県にある児童養護施設を訪問して回り、11年からは被災地の福島県いわき市の子どもたちとの交流も続けるなど、恐らく現役で最もたくさんの社会貢献活動を、長く続けているプロ野球選手の一人だ。
なかには、小児がん患者を支援するNPO団体「ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ」など、寄付金を集めて贈るものもあれど、今江は夫婦で理事を務めるなど、活動の域は金銭の支援に留まらない。何より、今江は共に触れ合うひと時を過ごすことに重きを置く。
「もちろんお金も大事なんですけれども、やっぱり直接会いに行って、目と目を合わせて会話をすることが、一番大切なんじゃないかと思うんです」。理由は、「お金と違って、時間は代わりがきかない」から。
「実際、僕が行くことに意味があると感じられるから、行っているんですね。僕が会いに行くことで喜んでくれる、応援してくれる人が出てくる」。
「応援して僕のことを見ていてくれるとなれば、僕も結果を出して、喜んでもらいたいと力にもなる」。お互いが笑顔になれるループを生む、まさに”スマイルプロジェクト”なのだ。
今江は熱を込めて続ける。「僕が交流したことで、元気とか生きる勇気とか、そういうのを持ってもらえるかもしれないんです。僕はそういうことは、野球選手でもなくても、世の中に名前が知られている人、影響力のある人の使命だと思うんです」。
そうして会いに行った子どもの中には、プロ野球選手になった少年もいる。西武ライオンズの相内誠だ。互いにプロ野球選手として再会した時、今江は相内に「たまに施設に顔出してるんか?」と声をかけたと破顔した。
こちらがシーズンの辛い思い出からオフの活動まで、次々と質問を投げかけるも、すぐに意図を汲み取るかのように、率直かつ明快に語ってくれる。
バッターボックスの今江は、打席ごとにアプローチを変え、スイングも変えているという。相手の球を的確に捉えるために。機転の良さは、そこかしこに滲む。
今江は、プロ野球選手としての資質を磨き続け、フィールド内外で使命を全うすることに余念がない。成熟した34歳。選手としても、人としても、“ロールモデル”だ。
松山 ようこ
フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo
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