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得失点差113。2000年以降のパ・リーグ勝率1位チームが刻んできた数字の平均値だ。
得点を増やしながら失点を抑える戦いができれば、勝利が近付くのは言うまでもない。言い換えれば、得失点差を高めるほどリーグ優勝への視界が開けてくる。
極端な打高投低と投高打低時代が含まれていることもあり、1得点ごとの価値は年度ごとで異なるかもしれないが、この値をクリアしながら勝率2位以下となったのは4チームのみだ(最終戦までリーグ優勝を争った2014年のバファローズも含む)。
他球団に先んじてペナントレースのゴールテープを切るための、一つの目安になる数字だろう。
今季のパ・リーグは、前半戦終了時点で首位を行くライオンズがリーグベストの得失点差74をマークした。2位のファイターズが42、同率3位のバファローズが±0、ホークスが-1で続く。
単純に計算すると、バファローズがシーズンで得失点差113を上回るためには、後半63試合で平均2得点近くも相手チームを超える必要がある。これは現実的なラインとは思えないので、ハードルを下げて考えてみよう。
2003年のホークスが得失点差234をマークしたのを筆頭に、150以上を記録している、いわば「勝つべきチーム」が平均値を挙げてはいるが、18チーム中9チームが3ケタを割っているのがミソだ。
バファローズが残り試合で平均1得点ずつを上乗せする戦いが展開できれば、得失点差63が記録されることになる。
この数字を下回ってリーグ勝率トップに輝いたチームも5例あり、猛牛軍団大逆転劇のシナリオはこのあたりで描けてくるのではないだろうか。もちろん、少ない得失点差ながらリーグ最高勝率を記録したチームにも裏付けがある。
やはりと言うべきか、その5チームはいずれも以下のように、2点差以内の接戦で貯金の半分以上を稼ぎ出していた。
2000年 ホークス →36勝27敗(貯金9)
2001年 バファローズ →34勝24敗(貯金10)
2007年 ファイターズ →46勝27敗(貯金19)
2010年 ホークス→ 41勝20敗(貯金21)
2012年 ファイターズ →44勝36敗(貯金8)
同じ条件で、現在のバファローズは17勝15敗(1点差は12勝8敗)。得点力不足ではあるが、リード時における継投のパターンが確立されたチーム状況を考えれば、この点で優位を作りたい。
意外だったのは、上記5チームとも勝率2位チームとの直接対決で勝ち越せていない事実だ。今季、リーグ首位のライオンズに4勝6敗と負け越しているバファローズには、7月24日からの4週間で3連戦が3カード用意されている。
だが、過去の事例を見る限りでは、チームの趨勢を占うのはむしろ他チームとの戦いであることが示唆された。
混沌としてきたパ・リーグ上位チームの強みはライオンズが「打撃力」、ファイターズは「投手力」、ホークスの「総合力」といったところだろうか。生まれ変わっている最中のマリーンズとイーグルスも侮れないだろう。
バファローズは投打に主役級がまだ本調子ではないが、新戦力の台頭も目立つ。その両方が噛み合った時にこそ、このチームの「潜在力」が証明されるはずだ。
藤原 彬
アルバイト時代を含めて10年余り野球専門誌の制作に携わり、2016年にFAとなったさすらいのスポーツウォッチャー。「二兎を追う」を信条に、編集、執筆、写真、発信、校閲をこなす5ツール・プレーヤーを目指して勉強中。食にうるさい関西人だが、行く先々で「あんまり面白くないね」と言われる。同い年のレブロン・ジェームズは誇り。
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