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野球 コラム 2018年6月18日

【大学野球選手権】就任三年目の結実(東北福祉大学 vs. 国際武道大学)

野球好きコラム by 岩瀬 孝文
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大学野球選手権第6日
決勝 神宮球場
『就任三年目の結実』
東北福祉大学6-2国際武道大学

先制して、追いつかれても、しぶとさの快打で突き放す。
しかも小刻みな投手交代で打者の目先をかわしつつ、最後には怒涛のエース津森(和歌山東)をマウンドに、それも気迫一番、渾身の投球であった。それが勝利への道。 これが今季の東北福祉大だった。

「受けた恩には恩で返したかったんです。神戸から仙台へ行って伊藤監督の教えを受けて、そのときは準優勝して主将もやって。いま、ここで、ついに勝つことができました」
優勝記者会見場のひな壇に並んだ3選手と、開口一番、大塚監督は明るさあふれる大声で、はきはきと言ってのけた。
東北福祉大は14年ぶり3回目の優勝を遂げた。
「これが、どうなんでしょう、東日本大震災の仙台の皆さんに元気になってもらいなど、というのも…。先輩の奥さんや、関係者の家族の方々が津波に流されていたのです。だから、そういうことで、もう目の前の野球をひたすらにとやろうと、ただ、それだけでした」
大塚監督は2015年の夏に就任。その三年目にしての快挙、全国優勝となった。

東北福祉大学 深江

国際武道大学 青野

「学生はつねに成長できますから、とくにこうやれ、ああやってとはあまり指示しないですね。それと怠けている選手はベンチに入れません。それぞれが工夫してひたむきに練習して。そういうのをみています」
仙山線JR東北福祉大前駅の近くにある練習グラウンドでは愛情をこめていつも、しっかりと選手たちを見つめている大塚監督。
「わたしは打ち方が独特なのですが、監督からは特にそれを変える必要はないよと、伸び伸びとやらせてもらっていました」
準決勝で本塁打、今日も打点をあげたトップバッター吉田(国士館)だった。その活躍で最優秀選手賞(MVP)を獲得した。

初回、4番深江(八戸学院光星)の2点本塁打で先制、2回にすぐに追いつかれるが、その裏にはヒットと2アウトになってからの連打で3点を入れて突き放した。
こうなると、こまめな継投策に出る。
先発の藤川(京都外大西)、1年生の左腕三浦(盛岡大附)に椋木(高川学園)そして抑えで連投になった右サイドスローの津森へと。
「ピッチャーを変えるときは思い切りよくないといけません」
投手交代のタイミングが絶妙といえた大塚監督。
そのもの国際武道大の強打者は、3回以降ヒット4本と打ちあぐねてしまった。
「青野を引っ張りすぎたかな、4年生だからもっと頑張れと温情をかけて、私はそういう野球なんですよ。同点した後にすぐに1点を入れて競り合いたかったのだけど」
しみじみと語るベテランの岩井監督。国際武道大のベンチ前では、それこそ監督の言葉をすべて心に刻み込もうと集中して聞き入る選手たちの姿があった。

東北福祉大学 藤川

優勝してなお大塚監督は過去を振り返った。
「あれは、去年の1回戦、四国学院大に1-0で負けたことからですね。正直、神宮球場に行けば何とかなるというような甘い雰囲気があって、ところが、してやられて参りました。だから今回は徹底して相手を分析しました。選手たちもそれでよく研究していましたよ」
前年の神宮で、大塚監督は敗退後に茫然としていた。その悔しさを1年間、絶対に忘れることなく精進を積み重ねてきた、それが全日本大学選手権優勝となって実を結んだ。

冷静にライトから戦況を見つめて、指示していた古川主将(花咲徳栄)が言う。
「これまで苦しい場面はたくさんありました。その都度、声を張り上げようとしましたが、みんなそれぞれで、すぐに切り替えをしていて。つねに考えながら試合している、私たちはそういうチームなんです」
けっして野球をやらされているのではない、自分たちはどのようにしたいのかを頭に置いて、能動的に前へと進んできた東北福祉大だ。
不屈のエースで最優秀投手、防御率0.00と抑えに大きく貢献していた津森は、にこやかに語る。

「おもいきりよい投球で、やっていて楽しくてたまりませんでした」
これこそが、新しい時代の学生野球であろう。
ていねいに説き、考えさせ、そして促し、プレイする。
そういう野球が心底たのしくてたまらない。

「秋のことは、まだ、なんにも考えていません!」
と、豪快に言い放つ大塚監督。
その顔を暖かい眼差しで見つめる会見場の選手3人。
秋はまた、明治神宮大会で大暴れしてくれそうな予感でいっぱいだった。

岩瀬 孝文

ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。

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