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「2軍では実戦に投げなくてもいいよ。それでいいのかってのを。もう一度考える時間を与えたんだ。まだ20歳だろ。35歳までとしてもあと15年もある。このままじゃあ…」。
寂しいだろ…と続くようにも感じる森監督の表情だった。
近藤投手コーチはこう話す。「開幕投手とはそうなるものです。相手の投手だってエース級が来る。そこで自分はクオリティースタートしているから問題ないでしょとはならない」。
「そもそも、慎之介をそのレベルのスケールでいいとはしていない。ドラゴンズの将来を背負う存在、だからこそ1試合投げ抜くって投球を目指してほしい」。
「俺が投げる日は中継ぎを休ませる。1点しか援護点がないなら、0点に抑えてやるって投球を目指してほしい。慎之介は強い子だよ。それはみんな分かっている。6回100球の壁を越えないと。それができる投手だと信じています」と話す。
思いを素直に言葉にしてきた左腕は今、胸中にある思いをぐっと飲み込み我慢している。
「もっと長いイニングを投げろって事です。次の登板?聞いていません。あるかどうかも分かりません」。そっけなくも見えるが、その表情からは誰よりも勝ちたい思いが伝わってくる。
クオリティースタート(QS)は時に投手を甘やかす。あくまでも指標であり、試合を作る確率を数字化したものだ。QS率の高い投手は勝つ確率もおのずと高い。
しかし、エースと呼ばれる投手たちはこの確率を超えた物を持っている。絶対に点はやらない。絶対に逆転は許さないとする投球を何度も披露してきた。
勝つことへの意欲以上に、己の意地とプライドをマウンドで見せつける投球。そんな姿に多くのプロ野球ファンは魅了されてきた。
エースの階段を登ってこい!そんなメッセージに、いつの日か小笠原慎之介は必ず答えてくれると信じている。
森 貴俊
1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!
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